病気やケガ、事故など保険金が発生する事態になった時、損害保険リサーチという会社が第三者機関として調査に入ることがあります。損害保険リサーチはどんな会社でどのように調査を進めているのでしょうか。事故などに遭って自分が調査を受ける際に注意すべき点とあわせて解説します。
損害保険リサーチは保険会社が調査を依頼する調査会社
損害保険リサーチは1973年に損害保険各社が共同で出資して設立された保険の調査会社で、現在年間12万件以上の調査を実施しています。
通常、病気やケガなどで保険金が発生する事態になった時、被保険者(補償を受ける人)が保険会社に連絡することで保険金が支払われます。しかし、交通事故などで過失割合を決めなくてはならない場合や、保険加入後すぐに入院や手術となり加入前に申告した健康状態に疑義がある場合は、保険会社が損害保険リサーチなどの調査会社に調査を依頼することがあります。
国内には損害保険リサーチの他にも、審調社、あいおいニッセイ同和損害調査、東京損害保険調査など、多数の調査会社があります。
損害保険から生命保険まで専門家と連携して幅広く調査
損害保険リサーチの事業内容は、交通事故や火災・盗難、病気やケガをはじめとした保険金の支払いに関するあらゆる調査です。損害保険だけでなく、生命保険の調査も請け負っています。
調査は被害者・加害者双方から調査員が直接話を聞く聞き取り調査や、ドライブレコーダーの分析、医療機関への確認、専門家による現場確認などさまざまな調査方法が用いられます。
また、店舗の休業損害については、事故がなければ得られただろう営業利益を税理士・公認会計士などの専門家と連携して見積もることもあります。
こうしたさまざまな方法で損害額を算出し、報告書としてまとめるのが損害保険リサーチをはじめとした調査会社の仕事です。調査報告書は依頼者である保険会社に提出されます。
調査を受ける際の心構えや注意点とは
病気やケガですぐに保険金が支払われると思っていたら、保険会社から調査があるといわれ、調査員が派遣されることがあります。調査といわれると、何か疑われているのではないか、保険金が支払われないのではないかと不安を感じる人もいます。
調査会社の調査に応じる法的な義務はありません。しかし、調査協力は保険の約款に記載されていることがほとんどです。できれば調査には協力することが望ましいといえます。
また、調査を拒むといつまで経っても事故状況に関する報告が損害保険会社にあがりません。そうすると結果的に保険金の支払いが遅れたり、被保険者にとって不利な状況に陥ったりします。
交通事故などで加害者・被害者がいる場合、一方が調査協力を拒むともう一方の言い分だけで調査報告書がまとめられてしまうリスクもあります。
交通事故などで双方の過失割合を決めなくてはならない場合や、病気・ケガに至った経緯に疑義がある場合に入るのが調査会社です。そのため、事故状況について何度も詳しく話を聞かれたり、不本意な質問を受けたりすることもあるかもしれません。
しかし、可能な限り調査に応じる姿勢を見せることが大切です。また、調査会社はあくまで損害保険会社の依頼を受けて調査しているため、被保険者に調査報告書を提出することはありません。作成された調査報告書を確認したい場合はその旨を伝えておく必要があります。
弁護士を立てて対応することもできる
場合によっては、弁護士の立ち合いのもと調査を受けることも可能です。弁護士の立ち合いがあれば、調査報告書が正確に作成されているか確かめるのも容易で、調査報告書の内容に不備がある場合は弁護士が調査会社との間で調整してくれます。
調査会社は公正・中立な立場をとっていますが、報酬を支払って依頼しているのはあくまで保険会社です。また損害保険リサーチをはじめとして、調査会社は損害保険会社の共同出資で設立されている場合が多々あります。
このことから、依頼者である損害保険会社の意向をくんだ調査報告書になっているのではないかという批判もあります。一度調査報告書が提出されると、調査報告書の内容は裁判などでも公正な資料として扱われることが一般的です。
調査報告書は自身でしっかりと確認する
交通事故や病気・ケガなどに遭って調査を受けた際には、「事実をきちんと伝える」「できるだけ調査報告書の内容を自分で確認する」など、必要な自衛策を講じておくと安心です。
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