純資産3,000万ドル以上の超富裕層一族が永続的な繁栄を目的に、所有する事業や資産の管理・運用を行う「ファミリーオフィス」。
富裕層向けのサービスという点はプライベートバンクと共通するものの、完全にプライベートでカスタマイズされているため合理性と利便性が高く、世界各地で急増しています。
富裕層を魅了する理由
ファミリーオフィスの先駆けとして19世紀のロックフェラー家が有名ですが、紀元前27~紀元14年にわたりローマ帝国を支配した初代皇帝アウグストゥスなど、その概念は遙か以前から「富と権力をもった一族」の資産管理法として受け継がれてきました。
ファミリーオフィスを一言で説明すると、一族専用の資産管理・運用サービスで、事業経営から投資、税金対策、慈善団体への寄付、継承問題まで、資産に関するあらゆる側面を、専属の専門家(資産運用マネージャーや会計士、弁護士など)が対応します。
近年は対応範囲が広がり、ビジネス・コンサルティングや、子どもの学校選びや旅行の手配といったコンシェルジュ・サービスを含むオフィスも増えています。
単体の一族に特化したシングルオフィスと、複数の一族にサービスを提供するマルチオフィスがあります。
アジアの超富裕層間でも人気が加速
超富裕層の特権といえるファミリーオフィスは2017年、2008年の10倍を超える1万以上に急増していたことが、EY(アーンスト・アンド・ヤング)の調査から明らかになっています。同社は富の集中とグローバル化を、増加の主な理由として挙げています。
USBの調査によると、平均資産、AUM(運用資産残高)ともに欧州を拠点とするファミリーオフィスが最も高く、それぞれ14億ドルと8.6億ドル。北米は平均資産13億ドル、AUM8.5億ドル、アジア太平洋は平均資産9億ドル、AUM6億ドル。
しかし、2010年以降に設立された割合が最も多いのはアジア太平洋圏であることから、今後、アジアの超富裕層間でもファミリーオフィスの設立が、さらに加速する可能性が考えられます。