米国では、ライフプランニングの一環として、「ファイナンシャル・ウェルネス」への取り組みが加速しています。多くの企業や銀行が、顧客や従業員に対して、経済的安定と自由を確立するための支援やサービスを提供しています。バンク・オブ・アメリカの事例を交えて紹介します。

金融リテラシーの次なるステップ「ファイナンシャル・ウェルネス」

金融
(画像= William W. Potter/stock.adobe.com)

日本でも定着した「金融リテラシー」は、お金に関する知識や情報を理解し、適切な判断を下すことができる能力を指します。一方ファイナンシャル・ウェルネスは、金融リテラシーで身につけた能力を生かして、健全で安定した経済環境の確立を目指しています。

具体的には、将来の目標を考慮に入れ、長期的な視点から家計を上手に管理したり、負債を減らして経済的安定や自由を手に入れたりすることで、「現在そして未来において、お金の状況に満足している状態へ自分自身を導く」という概念です。

お金で幸せは買えないものの、お金と幸福感の関連性は数々の研究で立証されています。経済的に満ち足りた環境を手に入れることによって幸福感が増す反面、お金の問題がストレスとなって精神や肉体を病むこともあります。

金融ウェルネスサービスによって経済的満足度が上昇?

米国では従来の金融サービス(貯蓄、融資など)から一歩踏み出し、顧客のファイナンシャル・ウェルネスを向上させるサービスを提供する銀行が増えています。

例えば、バンク・オブ・アメリカは「ライフプラン(人生設計)」というファイナンシャル・プラニング・アプリを顧客に提供しています。「クルマの購入」「結婚」「子育て」など貯蓄の目標を選択すると、収支や負債、資産状況に合わせた資金計画を、役立つ情報とともに提案してくれるという優れものです。

手間やコストがハードルとなり、ファイナンシャル・アドバイザーなど専門家への相談をためらっている人でも気軽に利用できるため、より多くの人がファイナンシャル・ウェルネスの向上を図れます。

このような取り組みが功を奏し、米国における個人のファイナンシャル・ウェルネスは改善傾向にあります。個人の経済的な満足度を指数で表したPFSiでは、2019年第4四半期の満足度指数は41.2と、前年同期から8.6ポイント上昇しました。

日本においても、ファイナンシャル・ウェルネスへの取り組みが徐々に広がっていくかもしれません。今後広範囲に普及することで、多くの人にとってライフプランニングがより身近な存在となり、人生の充実度の向上にも貢献してくれるのではないでしょうか。