高齢期にかかる一般的な病気である白内障。2020年4月より、白内障多焦点眼内レンズの取扱いが、先進医療から選定療養に変更されました。今回は、白内障手術の概要や多焦点眼内レンズを用いるメリット、先進医療と選定療養の違いについて説明します。

白内障とは?多焦点眼内レンズが注目される理由

金融
(画像= sdecoret/stock.adobe.com)

白内障は、レンズの働きをする水晶体が濁ってしまう病気です。早ければ40歳から発症し、その後加齢とともに白内障になる確率は上がっていきます。高齢期にかかる一般的な病気といえるでしょう。

症状は徐々に進行するものの、きちんと治療すれば白内障で失明する心配はありません。しかし、薬だけでは治らないため手術が必要です。

白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、人工の水晶体である「眼内レンズ」を入れます。それによって視力は回復しますが、調節力まで回復するわけではありません。そのため、遠方または近方のどちらかに焦点を合わせ、焦点が合わない方については眼鏡が必要でした。

そこで登場したのが、多焦点眼内レンズです。従来の眼内レンズは単焦点だったのに対し、多焦点眼内レンズでは、遠方・近方のそれぞれに焦点を合わせることができます。そのため、眼鏡への依存度が減り、より快適に日常生活を送れるようになります。

先進医療と選定療養の違いは?

白内障の治療法として人気のある多焦点眼内レンズですが、2020年4月から、先進医療から選定療養に変更されることとなりました。

先進医療とは、「評価療養」の1つです。評価療養とは、新しい治療法や新薬のうち、将来的に健康保険を適用するかどうかを評価する位置づけの療養を指します。

これに対して、選定療養とは、患者自らが選択する療養のことで、健康保険の適用を検討する項目ではありません。選定療養には、入院時に個室を希望した場合に支払う差額ベッド代などがあります。

先進医療と選定療養で費用負担は変わるの?

多焦点眼内レンズの水晶体再建術について、先進医療が適用された場合、レンズ代・手術費用は患者が負担しなければなりません。しかし、選定療養になれば、レンズ代のみが自己負担となり、手術費用には保険が適用されます。

ちなみに、単焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術には、基本的に健康保険が適用されます。

民間保険で先進医療特約に加入している場合を除けば、2020年4月以降は患者側の費用負担は小さくなる可能性が高いでしょう。