乗馬というと「お金持ちが嗜む趣味」というイメージが定着しています。確かに海外の富裕層の子どもの多くが乗馬を習っていますが、けっしてステータスだけが目的ではありません。子どもへの投資を惜しまない富裕層が乗馬を習い事の1つとして選ぶ背景には、主に4つの理由があります。
子どもに乗馬を習わせる4つの理由
乗馬が子どもの心身にもたらすメリットは、数々の調査で立証されています。ここでは富裕層が乗馬に投資する、4つの理由をご紹介しましょう。
乗馬を習わせる理由1:ポジティブな感情やスキル、個性を育む
2006年にアメリカ青年馬協議会(AYHC)がスポンサーを務めた調査では、定期的な乗馬活動が子どもの個性とライフスキルの育成に役立つことが明らかになりました。
乗馬活動にはただ馬に乗るだけではなく、馬やポニーの世話も含まれており、言葉で意思疎通ができない動物に、自分の意思を伝えるコミュニケーション能力が必要です。
子どもは馬とのコミュニケーションを通して、自分の選択や態度、行動が周囲にどのように影響するかを学びます。これにより責任感や忍耐力、分別、共感、優しさ、自己鍛錬などポジティブな感情やスキルを自然に身につけていくでしょう。
乗馬を習わせる理由2:認知能力が向上する
麻布大学の研究者グループが10~12歳の106人を対象に行った実験からは、乗馬中に感じる振動が脳の交感神経を活性化し、認知能力を向上させる可能性が指摘されています。
認知能力は問題解決能力や学習能力と関連性が深く、乗馬を通して集中力も鍛えられることから、学業の向上も期待されます。
乗馬を習わせる理由3:心と体の健康を維持する
全身の筋肉を使うスポーツである乗馬は体の健康によいだけではなく、動物と触れ合うことでストレスや不安感が軽減されるため、精神の健康にも効果的です。
欧米ではセラピーとして、精神疾患患者や身体障害者に低コストの乗馬活動を提供している、乗馬スクールや馬舎もあります。
乗馬を習わせる理由4:自信と自尊心が向上する
「自分の体より大きな乗り物(馬)を自分の意思でコントロールできる」という達成感が、自信や自尊心を育むことにもつながり、「やればできる」というグロースマインド(成長思考)が刺激されます。
その結果、失敗を恐れず、新しいことにも物怖じせずに取り組むチャレンジ精神旺盛な子どもに育ちます。
親子で楽しさを共有できるのも魅力
乗馬は子どもだけでなく、大人も楽しめる点が魅力の1つです。親子で乗馬を習い、子どもと同じ時間を共有するというのも、得がたい体験になりそうです。子どもの健やかでたくましい成長を促し、家族共通の趣味をもてる点で、乗馬の魅力を再確認してみてはいかがでしょうか。
文・Allan
国際コンサル企業などの翻訳業務を経て、ファイナンシャルライターに転身。現在は欧州を基盤に、多数の大手金融メディアで執筆活動中。国際経済から投資、資産運用、FinTech、ビジネス、行動経済学まで、広範囲に渡る「お金の情報」にアンテナを張っている