資産運用に対し安定志向の人は多いでしょう。しかし、超低金利下では元本保証型の債券では利息はほとんど期待できません。そこで着目したいのが日本の銀行株への投資です。株価は割安で、配当利回りも総じて高めです。本記事では銀行株を買う4つのメリットを紹介します。

銀行株を買うメリット1:超出遅れで株価が割安

金融
(画像= and4me/stock.adobe.com)

銀行株は株式市場で超出遅れ状態にあり、株価が割安に放置されています。日本取引所が毎月発表している、「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧」の統計によると、2020年5月末の銀行株の平均PER(株価収益率、数値が低いほうが割安)は6.8倍となっています。東証1部の全業種平均が16.6倍なので、約半分という低い数字で、全33業種中の最下位です。

同じ統計でPBR(株価純資産倍率、数値が低いほうが割安で1.0倍が目安)も0.3倍で市場平均の1.1倍と比べて3分の1です。鉱業とともに同率最下位なので、銀行株は両方の指数で最も買われていない業種ということになります。

銀行株を買うメリット2:4~5%は当たり前。高配当利回り銘柄の宝庫

次に、銀行株は高配当利回り銘柄の宝庫という点でも魅力があります。4~5%は珍しくなく、「みんなの株式」が算出した配当利回りランキングにある通り、高い配当利回りを誇ります。

銀行株配当利回りベストテン(2020年7月15日時点)

順位 証券コード 銘柄名 配当利回り 株価
1 8304 あおぞら銀行 8.25% 1,891円
2 8316 三井住友フィナンシャルグループ 6.15% 3,088円
3 7182 ゆうちょ銀行 6.02% 831円
4 8713 フィデアホールディングス 6.00% 99円
5 8558 東和銀行 5.96% 669円
6 8306 三菱UFJフィナンシャルグループ 5.90% 423.3円
7 8560 宮崎太陽銀行 5.88% 850円
8 7327 第四北越ホールディングス 5.81% 2,066円
9 8395 佐賀銀行 5.74% 1,216円
10 8308 りそなホールディングス 5.57% 377.4円

(出典:みんなの株式)

業績が安定している3大メガバンクのうち2行がトップテン、みずほフィナンシャルグループも11位に位置しています。投資額も多くの銀行が10万円以下で購入できます。

銀行株を買うメリット3:株主優待の利用で預金利回りもアップ

銀行株の多くが株主優待を実施している点にも注目できます。ギフトカタログ、商品券など各行独自の株主優待を実施していますが、とくに注目したいのが金利優遇です。自分が口座を持っている銀行の株主になって金利優遇定期預金に預ければ、配当金とダブルで収入を得ることができます。南日本銀行の株主優待を例にとって金利優遇メリットを考えてみましょう。

【株主優待事例:南日本銀行の場合】株主優遇定期預金ご優待券の付与

  • 100株以上:株主優遇定期預金ご優待券1枚
  • 1,000株以上:同2枚
  • 適用される金利:預入時のスーパー定期預金1年もの基準金利に+0.3%(10万円以上500万円以下、優待券1枚当たり1回限り)

例えば、500万円の定期預金に預ければ、0.3%の金利優遇で年1万5,000円(税引前)金利収入が増えます。ギフトカタログや商品券は他業種の株主優待でももらえるので、銀行株ならではの金利優遇を生かして資産運用に役立てるのも有益といえるでしょう。

銀行株を買うメリット4:銀行株上昇への布石がある

そして最後に注目したいのが、今後の事業展開です。これまで銀行株は長引く長期金利の低下で利ザヤ(預金と貸出金の金利差による利益)の縮小が続いてきました。銀行の収益は悪化し、株価の低迷に繋がっているのです。

しかし、メガバンクをはじめ各行では収益改善に向けた構造改革を進めています。現在積極的に推進しているのが、店舗の統廃合です。メガバンクから始まり、現在地銀で進められている「店舗内店舗」は、1つの店舗に2つの支店を同居させる手法です。これにより、コストの削減や人員不足の解消などを図ることができます。

さらに国内事業だけでは限界があると考えたメガバンクでは、海外事業の拡大も進めています。ほかにも、証券・保険を加えた「ユニバーサルバンク経営」や、フィンテック企業と連携した「ブロックチェーン」技術によるシステム構築など、材料は豊富です。銀行株上昇へのさまざまな布石を打っているのも注目できるポイントといえるでしょう。

※本記事の情報は7月15日時点のものです。また紹介した銘柄は一例であり、当該銘柄への投資を推奨するものではありません。