老後資金作りに特化した制度として、iDeCo(イデコ)が注目を集めています。詳しいメリットについては後述しますが、国も後押しをしている制度であることもあって税金面でのメリットがとても大きく、少しでも多くの老後資金を確保したいとお考えの方には有効な制度です。
メリットの多いiDeCoは、多くの証券会社で取り扱っています。証券会社のサービス内容や強みはどこでも同じではないため、iDeCoでより多額の老後資金の準備をするのであれば、証券会社選びにもこだわりたいところです。
本記事ではiDeCoを始めるための証券会社として、楽天証券を取り上げます。その理由はたくさんありますが、「老後に少しでも多くの資金を確保したい」という方々のニーズにあうサービスが提供されているからです。楽天証券のiDeCoは何が優れているのか、そのメリットをしっかりと得るにはどうすればよいのか、そして楽天証券でiDeCoを始めるために必要なことは?そんな疑問にお答えしつつ、老後のために今すぐにでも始めるべきiDeCoの概要についても解説していきます。
目次
資産形成のために、最強の税制優遇を誇るiDeCo
最初に、iDeCoの概要を知っていただくため、必要な知識について解説します。まずはiDeCoがいかに優れた制度であるのか、その概要を掴んでください。
「老後に備えて自分で作る年金」iDeCoの概要
iDeCoとは愛称で、正式には「個人型確定拠出年金」といい、「老後に備えて自分で作る年金」という意味合いになります。ご存じのとおり、日本は今後、超高齢化社会へと向かっていきます。少子化も同時に進行しているため、公的年金を今のまま維持することが困難になりつつあるという指摘もあります。
公的年金だけに依存するのではなく、自助努力によっても老後に備えるべきという考え方が主流になり、そのために貯蓄をしたり、資産運用をする人が増えました。iDeCoはこのように資産運用によって老後資金の準備をしようと考えている人のために設けられた、税金面での優遇制度です。
iDeCoのメリットとデメリット
iDeCoの制度全体について、メリットとデメリットを見てみましょう。
・iDeCoのメリット
(1)積立金の全額が所得から控除されるため節税効果が高い
(2)積立運用で得られた利息や運用益なども非課税になる
(3)iDeCoによる年金受け取り時にも公的年金控除、退職所得控除の対象となり税制面での優遇がある
これらをまとめると、iDeCoは老後に向けてお金を積み立てている時だけでなく、受け取り時にも税金面で優遇が受けられるメリットがあることがわかります。しかも運用益もすべて非課税なので、節税をしながら老後に備えたいと考える方にとってはとても適した制度といえるでしょう。
・iDeCoのデメリット
税制面での優遇が大きなiDeCoですが、デメリットは存在します。それらをまとめてみました。
(1)60歳まで引き出すことはできない
iDeCoの最大の特徴でありデメリットでもありますが、iDeCoが老後資金作りに特化した制度であることをあらためて裏付けています。ただし、脱退一時金などを受給要件に該当する場合を除いて、60歳まで自分の都合で引き出すことができないため、貯金が苦手な人などにはむしろメリットと捉えることもできるでしょう。
(2)60歳以後に受け取る金額が受け取りの直前まで確定しない
これはiDeCoが公的年金ではなく自分で作る年金特有のデメリットです。運用成績は受け取りが始まる直前になるまで確定しないので、金額に不安定さを感じるかもしれません。
(3)自分で作る年金であるためだけに運用成績がよくない場合もある
iDeCoは投資のための制度です。(2)と同様で、元本保証の貯金をしているわけではなく、あくまで投資による運用です。そのため運用成績がマイナスになってしまう可能性もあります。
(4)口座維持手数料が発生する場合がある
iDeCoにはいくつかの手数料があります。最初に一度だけ発生する口座開設の手数料、そして口座を維持するための手数料です。開設時の手数料は一度だけなのであまり気になりませんが、口座を維持する手数料は毎月のことですのでしっかりと証券会社を選ぶ必要があります。
(5)投資、資産運用に関する一定の知識が必要
無勉強でインターネットや証券会社にすすめられるがままに運用することはリスクでしかありません。プロに運用を任せる投資信託を購入する場合でも、その投資信託がどんな商品に投資しているのか、純資産額や基準価額など、自分なりに勉強し、納得したうえで選択することが大切です。また、購入後の一定の期間内で運用状況を確認するようにしましょう。
iDeCo口座はどこも同じではない
多くの証券会社でiDeCoに対応しているので、これからiDeCoを始める環境は整っているといえるでしょう。しかし、証券会社はどこでも同じではありません。特にiDeCoは長期間の付き合いになるため証券会社としても、長期間の取引が期待できる顧客を確保する必要があります。そのために、さまざまなサービスや特典などを競い合っています。
そこで、iDeCo口座を開設する証券会社を選ぶにあたって、以下のポイントを比較検討するのがよいと思います。
- 口座開設時にポイントがもらえるサービスの有無
- 取扱商品の質と量
- 取引手数料、口座維持手数料
- その他の独自サービス
こうした点において優位にあるのが、ネット証券の各社です。もともと手数料が安いこともあって、投資家からの人気が高く、iDeCoにおいても人気の上位にはネット証券各社が並びます。
こうした比較ポイントを総合して、当記事では楽天証券の優れたサービスを紹介しています。その理由については、次から詳しく解説します。
楽天証券でiDeCo(イデコ)を始める3つのメリット
iDeCo口座を取り扱っている証券会社はたくさんありますが、そのなかでも楽天証券はiDeCoにとても力を入れている証券会社です。その理由は3つあります。最終的にiDeCoで年金を作るための口座はどこか1社にしか作ることができないので、それも踏まえて楽天証券のメリットを見てみましょう。
楽天証券でiDeCoを始めるメリット1:楽天証券は口座管理手数料が無料
iDeCo口座は、持っているだけで口座管理手数料が発生します。これは口座を維持するために要するコストのことですが、楽天証券のiDeCo口座の場合はこの手数料が無料です。
楽天証券以外で発生する手数料には、以下のものがあります。カッコ内はそれぞれの手数料の支払い先です。
- 口座開設手数料(国民年金基金連合会):2,829円
→口座開設時の1回のみ
- 口座管理手数料(国民年金基金連合会):105円
- 口座管理手数料(事務委託先金融機関):66円
→毎月発生する手数料
このため、実際に支払う口座管理手数料は毎月171円です。注意したいのは、たとえ楽天証券が手数料を無料にしていても、この金額は上記の該当機関に別途支払うことになります。そして、毎月のコストが「171円」となっているところは、楽天証と同じく証券会社としての口座開設手数料は無料であるといえます。逆に171円より高い場合は、その分が証券会社独自の口座管理手数料です。
たとえば、ゆうちょ銀行でiDeCoの積み立てをすると毎月の口座管理手数料は430円です。つまり、259円がゆうちょ銀行としての手数料ということになります。
楽天証券でiDeCoを始めるメリット2:取り扱う金融商品が充実している
iDeCoの口座では多彩な金融商品によって積立投資をすることができますが、楽天証券はそのなかでも取り扱う金融商品の種類が豊富であることが特徴です。特に株式運用型の投資信託が充実しているのは、大手ネット証券ならではといえます。
投資信託には信託報酬と呼ばれる運用手数料が発生しますが、この金額が高額だとせっかくの運用益が少なくなってしまいます。信託報酬は投資におけるコストと考えられます。そのため、いくら運用成績がよくても信託報酬が高額では優良な銘柄とはいえません。楽天証券はこのあたりも考慮された、信託報酬の少ない商品が用意されているのも特徴です。
近年では安定した利回りを確保できるとして不動産投資信託であるREITの人気が高まっていますが、楽天証券のiDeCo口座では国内、海外それぞれのREIT型の投資信託も用意されています。iDeCoは長期投資になるので、同じく長期投資向きの不動産で運用する選択肢があることは、投資家にとって有利なことといえるでしょう。
楽天証券でiDeCoを始めるメリット3:iDeCo投資で楽天ポイントがもらえる
楽天証券はネットサービス大手の楽天グループに属する証券会社です。そのため楽天証券を利用するとマネーブリッジやハッピープログラム、楽天ポイントなどさまざまな特典を受けることができます。
マネーブリッジとは楽天証券と楽天銀行の提携サービスで、楽天銀行にも口座を開設して両者を連携させることで普通預金の金利が5倍になったり、ハッピープログラムへのエントリーによって楽天ポイントが貯まったりするなど、メリットの大きなサービスです。
ハッピープログラムとはマネーブリッジにより楽天証券と楽天銀行を連携させている人に対する優遇サービスで、銀行側のATM手数料が無料になる回数が増えたり、楽天ポイントを貯めたりすることができるなど“お得感”が大きなサービスです。
上記のようなiDeCo投資によって貯めた楽天ポイントは幅広い用途に利用することができます。楽天銀行の振込手数料に使うこともできますし、楽天グループの「本業」でもあるECサイトの買い物代金としても利用可能です。
楽天は多くの事業に参入しており、それらのサービスで相互に楽天ポイントを利用できます。こうした広大な楽天のサービス群は「楽天経済圏」と呼ばれています。楽天ポイントを貯めることでこの「楽天経済圏」で現金と同様に使えるのは大きな強みでしょう。
楽天証券で確定拠出年金(iDeCo)を始める手順
メリットの多い楽天証券でのiDeCo投資ですが、これを始める手順について、順を追って解説します。
この一連の手順では国民年金基金連合会による審査も含まれているため、すべての手順を終えてiDeCo口座を開設するまでには1ヵ月半から2ヵ月程度の時間を要します。始めたいと思ったとしてもすぐにスタートできるとは限らないことを、確認しましょう。
なお、この手順は楽天証券に一般の取引口座をお持ちでないことを前提にしています。
楽天証券でiDeCoを始める手順1:楽天証券の公式サイトから申込書を請求する
楽天証券のiDeCo特設サイトに、申込書請求フォームがあります。こちらで必要事項を記入し、申込書を請求します。
楽天証券でiDeCoを始める手順2:楽天証券からの申込書を受け取り、返送する
楽天証券から申込書が封書で届いた後、必要事項を記入します。必要事項の記入ができたら、楽天証券に書類を返送します。楽天証券に書類が到着後、国民年金基金連合会による審査が行われます。この審査に時間が掛かるので、あらかじめ認識しておいてください。
楽天証券でiDeCoを始める手順3:開設完了通知を受け取る
審査が完了してiDeCo口座が開設されると、国民年金基金連合会から「個人型年金加入確認通知書」が届き、記録関連運営管理機関(JIS&T社)から「口座開設のお知らせ」が届きます。さらにコールセンターやインターネットパスワード設定のお知らせが届くので、これらが届いた時点で口座が開設され、ネット上の管理画面より操作ができるようになります。
なお、これらの通知は楽天証券からではなく、国民年金基金連合会や記録関連運営管理機関(JIS&T社)から届きます。楽天証券から申し込みをしていますが、楽天証券から何かが通知されるわけではないので、ご注意ください。
楽天証券でiDeCoを始める手順4:掛金の配分指定をする
JIS&T社のサイトからログインをして、掛金をどの配分でどの商品に投資するかを設定します。あとは掛金の引き落としが始まり、iDeCoによる積立投資が始まります。なお、掛金の配分指定は積立が始まってからでも変更が可能です。そういった操作はすべて、JIS&T社の管理画面から行うことができます。
楽天証券で買える投資信託は?
2020年10月現在、楽天証券のiDeCo口座では31本の投資信託が対象となっています。そのなかから3つピックアップしてみました。
投資価値の高い銘柄1:たわらノーロード 日経225
「日経225」とは日経平均株価のことです。東証1部上場銘柄のなかから主要銘柄を厳選したものなので、この日経平均株価がそのまま日本の株式の騰落を判断する指数として広く利用されています。日本の株式全体に投資できるリスク分散効果の高さと、信託報酬の安さが長期積立投資向きです。
投資価値の高い銘柄2:三井住友・DC日本リートインデックスファンド
東証に上場されているREIT銘柄のことをJ-REITといいます。そのJ-REIT全体の値動きを指数化したものが「東証REIT指数」で、この投資信託はこの指数と連動するように運用されています。いわゆるインデックスファンドとしてリスク分散効果が高く、また日本の優良不動産の高い収益性を味方につけることができる投資信託でありながら、信託報酬が安いのが魅力的です。
投資価値の高い銘柄3:セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
世界30ヵ国以上の株式と、10ヵ国以上の債券に投資をするバランス型の投資信託です。株式と債券はそれぞれシーソーのように価値が変動しており、株価が高い時には債券が売られ、株安になると債券が買われる相関性があります。つまりこの投資信託を持っているとそれぞれの騰落による影響を相殺できるバランス感があります。信託報酬も0.59%と安く、こちらも長期投資向きといえるでしょう。
iDeCo向きの商品が充実。「楽天経済圏」のメリットを享受できる楽天証券は1つの選択肢
老後資金作りに役立てる制度として、iDeCoの基本からその魅力、さらに楽天証券でiDeCoを始めるメリットについて解説してきました。特に楽天証券でのiDeCo投資では楽天ポイントが貯まります。長期投資向きの銘柄も取り扱っているので、老後資金を効率よく準備するのであれば、楽天証券のiDeCoを検討してみてもよいかもしれません。