主要ネット証券の1つである松井証券は、100年以上の歴史を持つ証券会社です。初心者でも比較的利用しやすいといわれる松井証券には、どのような特徴があるのでしょうか。NISA制度の概要と併せて確認し、将来に向けた資産形成をスタートしましょう。
目次
100年以上の歴史を持つ松井証券。3つの特徴を紹介
松井証券は、1918年に創業された100年以上の歴史を持つ証券会社です。1998年には、インターネット取引を国内でいち早く取り入れた「ネットストック」を開始しました。その後はインターネット取引サービスを拡大し、2020年現在は主要ネット証券として多くの投資家から選ばれています。
このように、長きにわたり証券業界をけん引してきた松井証券の特徴を、3つに分けて解説します。
松井証券の特徴1:低水準でわかりやすい手数料
松井証券の特徴の1つめは、低水準でわかりやすい手数料です。松井証券は、インターネット上で手続きが完結するネット証券です。窓口や店舗を持たないネット証券は、店舗型の証券会社に比べ人件費や店舗維持費が抑えられるため、手数料を低く設定できます。松井証券の主な取引手数料を、表1で確認しましょう。
▽表1.松井証券の主な取引手数料(税抜き)
取引内容 | 手数料 | |
国内株式現物取引 (1日の約定代金合計金額) | 50万円まで | 0円 |
100万円まで | 1,000円 | |
200万円まで | 2,000円 | |
以降、100万円ごとに1,000円増加 | ||
1億円超 | 10万円(上限) | |
投資信託 | 購入時手数料0円 | |
FX | 0円 |
松井証券では、国内株式現物取引手数料が1日の約定代金合計額で決まるなど、投資初心者でもわかりやすい手数料体系となっています。
松井証券の特徴2:初心者でも安心なサポート体制
松井証券の特徴の2つめは、初心者でも安心なサポート体制です。投資家がスムーズに取引できるよう、表2のサポートサービスを用意しています。
▽表2.松井証券のサポートサービス
サービス名 | 詳細 |
よくあるご質問(Q&A) | よくある質問と回答を、カテゴリ別にホームページ上で公開。フリーワード検索も可能 |
専用フォーム | 顧客ページ専用フォームから相談。原則24時間受付 |
フリーコール | 投資相談から手続きに関する問い合わせまで、専門スタッフが回答 |
リモートサポート | 投資家のパソコン画面をオペレーターと共有することで、取引手続きや操作方法に関するトラブルに対応 |
充実したサポートサービスを提供する松井証券は、HDI-Japan(ヘルプデスク協会)主催の格付けで3つ星を10年連続で獲得するなど、複数の第3者機関から高い評価を受けています。また、利用者のうち50歳以上の割合が4割を超えており、インターネットやパソコンの普及率がそれほど高くない世代からも支持されるネット証券といえるでしょう。
松井証券の特徴3:スムーズな取引ができる無料ツール
松井証券の特徴の3つめは、スムーズな取引ができる無料ツールが充実している点です。インターネット上で取引するネット証券では、売買のしやすさやマーケット情報の収集のしやすさも重要となります。松井証券では、端末や取引する商品ごとに無料ツールを用意しています。詳細を表3で確認しましょう。
▽表3.松井証券で利用できる無料ツール
ツール名 | 対応端末 | 対応商品 | 詳細 |
ネットストックハイスピード | パソコン | ・株式 ・先物OP |
高機能な発注システムにより、投資スタイルに合ったトレーディング環境を整えられる |
株価ボード | 株式 | 登録銘柄の株価を一覧表示。一覧からの発注も可能 | |
株touch | スマートフォン | ・株式 ・先物OP |
スマートフォン専用取引アプリ。スピード注文などの機能を搭載 |
投信アプリ | 投資信託 | 投資信託の投資提案から売買、運用メンテナンスまでサポート | |
株価教えて!by松井証券 | Alexa対応のスマートスピーカー | ・株式 ・FX |
音声での情報提供サービス。株価やランキング、マーケットレポートを通知 |
QUICK情報 | パソコン | ・株式 ・先物OP ・FX |
株価やニュース、決算情報を提供。銘柄スクリーニングができる |
QUICKリサーチネット | 株式 | 株主優待の検索や、アナリストによる分析レポートの閲覧ができる | |
テーマ投資ガイド | 旬のテーマの銘柄をランキングで表示。ランキングからの発注も可能 | ||
チャートフォリオ | チャートの形状から、銘柄選定やトレンド確認、発注ができる | ||
アクティビスト追跡ツール | アクティビスト(※)の投資動向をチャート上でチェックできる | ||
松井証券FXアプリ | スマートフォン | FX | FX専用取引アプリ。スピード注文などを搭載 |
FXトレーダープラス | ・パソコン ・タブレット |
為替レートやチャートを自動更新。発注も可能 |
※アクティビストとは、企業の経営陣に積極的に提言をする投資家のこと
上記のほか、インターネット上でライフプランシミュレーションができる「松井FP-将来シミュレーター」も用意しています。シミュレーターでは、資産運用を始める前にライフプランをもとにした資金計画を立てることができます。
少額投資非課税制度であるNISAの基本事項を確認しよう
将来に向けた資産形成を目指すのであれば、少額投資非課税制度であるNISA(ニーサ)も検討しましょう。NISAとは、投資から得た利益にかかる20%(2037年までは復興特別所得税がかかるため20.315%)の税金が、一定期間一定額まで非課税になる制度です。
NISAには、投資目的に合わせて3つの口座が用意されています。「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つです。それぞれの特徴を確認し、最適な口座を選びましょう。なお、開設できる口座数は1人1口座です。種類が違う口座の併用もできません。
20歳以上が開設できる「一般NISA」「つみたてNISA」
NISA口座のうち、20歳以上が開設できるのは「一般NISA」および「つみたてNISA」です。それぞれの概要を、表4で確認しましょう。
▽表4.一般NISAおよびつみたてNISAの概要
項目 | 詳細 | |
利用できる人 | 日本在住の20歳以上の人 | |
非課税対象 | 投資信託や株などの運用で得られる譲渡益および配当金・分配金 | 金融庁指定の投資信託から得られる分配金・譲渡益 |
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年120万円 | 新規投資額で毎年40万円 |
非課税期間 | 最長5年 | 最長20年 |
一般NISAは投資できる金融商品の種類が多く、毎年の非課税投資枠が大きいため、より積極的な投資を目指す人に向きといえます。一方のつみたてNISAは、金融庁が長期投資に適していると認めたファンドが投資対象です。非課税期間も20年と長いため、将来の資産形成に適した口座といえるでしょう。
未成年者を対象とした「ジュニアNISA」
「ジュニアNISA」は、未成年者を対象とするNISAです。未成年者が口座名義人となり、資金の拠出および運用管理を親権者である親や祖父母が行います。ジュニアNISAの基本事項を、表5で確認しましょう。
▽表5.ジュニアNISAの概要
項目 | 詳細 |
利用できる人 | 日本在住の0~19歳の人 |
非課税対象 | 投資信託や株などの運用で得られる譲渡益および配当金・分配金 |
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年80万円 |
非課税期間 | 最長5年 |
ジュニアNISAは、学費など子供が必要な資金の形成に適した口座です。なお、ジュニアNISAは2023年に制度が終了します。
NISAを利用するべき投資スタイルとは?
NISAを利用するべきなのは、コストを抑えた効率のよい資産形成を目指す場合です。一度投資した非課税投資枠は資産を売却しても再利用できないことから、頻繁に売買するよりも中・長期的な投資に向いていると考えられます。特に、非課税期間が20年と長期に渡るつみたてNISAでは、非課税による複利運用の効果を十分に生かした運用を目指しましょう。
なお、株や投資信託の運用で得た利益や損失は通常、損益通算できます。しかし、そもそも非課税口座であるNISAでの取引は、損益通算の対象になりません。NISA口座以外にも投資資産を保有しており、損益通算の可能性がある人は、その他の口座の運用状況を確認したうえでNISA口座の利用を決めましょう。
松井証券でNISA口座を開設するメリットを確認
NISA口座は、証券会社や銀行、ゆうちょ銀行といった金融機関で開設できます。金融機関により手数料や受けられるサービスに差があるため、口座開設前にしっかりと確認しましょう。ここでは、松井証券でNISA口座を開設するメリットを紹介します。
松井証券でNISA口座を開設するメリット1:手数料が恒久無料
松井証券でNISA口座を開設するメリットの1つめは、手数料が恒久無料な点です。NISA口座で株式の取引をした場合、売買手数料は無料になります。また、投資信託への投資では、購入時手数料が無料です。
松井証券でNISA口座を開設するメリット2:ロボアドバイザー「投信工房」が無料
松井証券でNISA口座を開設するメリットの2つめは、ロボアドバイザーの「投信工房」が無料で利用できる点です。ロボアドバイザーとは、AIが金融アルゴリズムに基づいた運用アドバイスをしてくれるサービスです。
投信工房では、インターネット上で簡単な8つの質問に回答するだけで、投資方針や投資目的・リスク許容度などに応じた運用プランが提案されます。ロボアドバイザーを活用すれば、投資初心者でもスムーズに資産運用をスタートできるでしょう。投信工房には、以下の特徴があります。
- 信託報酬が低いファンドでの国際分散投資ができる
- 100円からの投信積立にも対応
- リバランス機能も充実
投信工房では、100円からの投信積立にも対応しており、つみたてNISAでの投資にも活用可能です。また、定期的にポートフォリオ(資産の組み合わせ)を見直すリバランス機能もあります。市場の変化に合わせたリバランスを提案するだけでなく、設定した日にちに自動でリバランスをおこなう機能も備えているため、投資開始後も負担を抑えた資産運用ができます。
松井証券でNISA口座を開設するデメリットは?
松井証券でNISA口座を開設するにあたっては、デメリットも確認しましょう。
外国株式やミニ株の取り扱いがない点には注意
松井証券でNISA口座を開設するデメリットは、外国株式およびミニ株の取り扱いがない点です。そのため、外国の資産に投資する場合には、海外資産を組み入れている投資信託などを活用することになります。
ミニ株とは、単元未満で株式の取引ができるサービスです。通常、株式は単元株単位で取引されます。つまり、1株1,000円の値がついている株式でも、単元株数が100株の銘柄では最低投資金額は10万円になるのです。一方、ミニ株は1株から取引できるため、少ない資金でも株式投資ができるようになります。
一般NISAやジュニアNISAでミニ株の取引をメインに考えている人は、ミニ株の取り扱いがある証券会社も検討しましょう。
NISAを始めるには、証券総合口座とNISA口座の両方が必要
NISAでの資産運用を始めるには、証券総合口座とNISA口座の両方が必要です。
松井証券の証券総合口座はオンラインもしくは郵送で申し込み
松井証券の証券総合口座は、オンラインもしくは郵送で申し込みができます。それぞれの開設手順を、表6にまとめます。
▽表6.松井証券における証券総合口座開設手順
項目 | オンライン申し込み | 郵送申し込み | |
手順 | 1 | 「オンライン申込」を選択し、オンライン上で必要事項を入力 | 「申込書を取り寄せる」を選択し、オンライン上で必要事項を入力 |
2 | 本人確認書類およびマイナンバー書類のアップロード | 申込書を受け取り必要事項記入。提出書類を揃えて返送する | |
3 | 郵送により口座開設完了通知を受け取り | ||
開設までの所要日数 | 最短4日 | 最短1週間 | |
NISA口座の同時開設 | 不可 | 可 |
証券総合口座の開設で必要な本人確認書類は、表7のとおりです。
▽表7.本人確認書類一覧
書類の種類 | 注意事項 |
運転免許証 | ・有効期限内で公安印が鮮明である ・変更がある場合は裏面も提出 |
各種保険証 | ・有効期限内である ・住所の記入がされている |
住民票の写し | ・発行から6カ月以内のもの ・公印の確認ができる |
印鑑登録証明書 | 発行から6カ月以内のもの |
住民基本台帳カード | ・有効期限内である ・裏面の記入がある場合は裏面も提出 |
マイナンバーカード | 顔写真がある表面を提出 |
開設時には、本人確認書類と併せて表8のマイナンバー書類の提出も必要になります。
▽表8.マイナンバー書類一覧
書類名 | 注意点 |
通知カード | ・裏面の記入がある場合は裏面も提出 ・通知カードは本人確認書類としては利用できない |
マイナンバーカード | ・有効期限内のもの ・表裏両面の提出が必要 ・本人確認書類と兼用可能 |
マイナンバーの記載がある住民票の写しもしくは、住民票記載事項証明書 | ・発行から6カ月以内 ・本人確認書類と兼用するには、住民票以外に本人確認書類が1点必要 |
NISA口座の開設完了までは2週間程度かかる
上述のとおり、郵送での口座開設申し込みを選択するとNISA口座の同時開設ができます。必要事項入力時にNISA口座同時開設の項目を選び、NISA口座開設申込書も併せて取り寄せましょう。
なお、NISA口座の開設では税務署の審査がおこなわれるため、口座開設までに2週間程度かかります。NISAでの取引を希望する場合には、早めに手続きを進めることが重要です。
まとめ:資産形成を始めるなら松井証券のNISAを検討してみよう
松井証券は、創業から100年以上の歴史を持つ証券会社です。充実したサポート体制がとられている点や、ロボアドバイザーが無料で使えることなどにより、投資経験を問わず幅広い年齢層に支持されています。
ネット証券である松井証券は、わかりやすく低水準な手数料体系が魅力の1つです。また、NISAを利用することで、さらにコストを抑えた投資が可能になります。将来に向けた資産形成を検討している人は、松井証券で投資をスタートさせてはいかがでしょうか。
文・N.ヤマモト
都市銀行にてファイナンシャルプランナーとして主に、富裕層の資産形成・運用相談を担当。投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産形成についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から資産運用を続けている