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NISAは運用で得た利益が非課税になるため、投資家の多くが利用しています。NISAで購入できる金融商品のなかでもREITと呼ばれる不動産投資銘柄との相性がよく、組み合わせて運用することで恩恵を得ることができます。本記事では、REITとNISAの特徴と、それぞれのメリットデメリットについてお伝えします。
目次
NISAとは?
NISAとは、正式名称を「少額投資非課税制度」といい、その名の通り少額で投資ができ、一定の期間と金額が非課税になる制度です。まずは、NISAについて詳しくみていきましょう。
NISAの概要
NISAとは、株式や投資信託、国債などの資産運用で得た運用益にかかる税金が非課税になる制度です。株式や投資信託などを保有し、投資先の商品に運用益が出ると得られる配当金や、これらを売却したときに得られる値上がり益には、約20%の税金がかかります。しかし NISA口座を使えば、一定の期間や金額のなかなら税金がかからず非課税で運用できます。
NISAは、2014年に開始した制度です。2023年まで口座の開設が可能となっていましたが、税制改正によって2028年まで口座開設可能期間が延長されました。
NISAでは、購入した商品に対する利益が最長5年間、毎年120万円まで非課税になります。5年経つと、保有している銘柄を今後どうするのか選択しなければなりません。売却か課税口座への移動のほか、つみたてNISAへの移動(ロールオーバー)もできます。ロールオーバーをするためには、必ず申し込みが必要です。
NISAのメリットとデメリット
NISA口座で資産運用すると、一体どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
- 運用で得られた利益が非課税になること
・NISAのメリット
NISAの最大のメリットは、運用で得られた利益が非課税になることです。株などの投資で得られる利益には2種類あります。1つは、保有していることで得られる配当金や利子などの「インカムゲイン」、もう1つは、購入した商品が値上がりし、売却したときに得られる売買差益の「キャピタルゲイン」です。
インカムゲインとキャピタルゲインは課税対象となり、それぞれ約20%の税金が課せられます。しかしNISA口座で運用すればどちらも非課税となり、利益を全額受け取ることができます。
- 1人1つまでしか口座を開設できない
- 保有中の金融商品の移動はできない
- 損益通算」ができない
・NISAのデメリット
NISAのデメリットは、3つあります。
(1)NISAのデメリット1:1人1つまでしか口座を開設できない
証券口座を持っている人のなかには、目的や手数料に応じて証券口座をいくつか作り使い分けている人もいるでしょう。しかし、NISAではそれができません。そのためNISA口座を開設する前に、事前に手数料や取扱商品については調べておく必要があります。なお、開設したNISA口座は、1年に1度変更可能です。
(2)NISAのデメリット2:保有中の金融商品の移動はできない
NISA口座を開いた際、以前に購入した株や投資信託などの金融商品をNISA口座に移動させることはできません。非課税対象になるのは、NISA口座の開設後、新たに購入したもののみです。
(3)NISAのデメリット3:損益通算」ができない
「損益通算」とは、損益が出た場合にほかの口座で得た利益と相殺できる仕組みです。一般口座や特定口座などはほかの口座と合わせて損益通算ができますが、NISA口座では損益通算ができません。そのため、たとえばNISA口座で損失が出てしまっても、ほかの口座で出た利益との損益通算ができません。ほかの口座での利益分はすべて課税対象となります。
NISAで投資できる金融商品
NISA口座では、投資銘柄のすべてが取引できるわけではありません。非上場株式や預貯金、債券や外貨建てのMMF(マネー・マネジメント・ファンド)などはNISAで購入ができません。では、どのような商品が対象となるのでしょうか。
- 自分が決めた企業に投資できる国内外の「個別株」
- 株式に組み入れができる「投資信託」
- 手軽に取引できる上場投資信託の「ETF」
- 証券口座で不動産投資をするなら「REIT」
・自分が決めた企業に投資できる国内外の「個別株」
個別株とは、企業の株式単体のことです。個別株は、さまざまな株式などを組み合わせて1つの商品にする投資信託などと比べ、集中投資になります。投資信託やETF、REITなどは「信託報酬」という、保有している間に支払うお金が発生しますが、個別株には保有コストがありません。
さらに、個別株を保有していないと得られない「株主優待」も近年では注目されています。株主優待は保有株式の数に応じ、企業の商品や優待券などが得られる国内企業独自の制度です。実質的なインカムゲインとなることから、株主優待の内容で購入する株を選択する投資家も少なくありません。
・株式に組み入れができる「投資信託」
投資信託とは、投資家から集めた資金をプロが運用し、利益が得られると投資家に還元される仕組みになっています。一般の投資家がいきなり個別株を始めようと思うと、銘柄選びや売買のタイミングなど判断するのが困難でしょう。また、そもそも購入するための資金を準備することも容易ではありません。しかし、投資信託は投資家から少しずつ資金を集めるため、なかなか手が出ない商品を買い付けることができ、それらを専門のプロが運用してくれるため、投資経験がない人にも扱いやすいのが特徴です。また、証券会社や商品によっては100円から購入できる点も魅力です。
・手軽に取引できる上場投資信託の「ETF」
ETFとは「Exchange Traded Funds」=上場投資信託のことで、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などに連動した運用成果を目指す商品です。一般の投資信託同様、投資家から集めた資金をプロが運用し、得られた利益を投資家に還元します。市場があいている時間であればいつでも取引可能で、少額でさまざまな国や業種などに分散投資ができます。
1つのETFを保有するだけでも分散投資になりますが、いくつかのETFを保有しておくことでさらにリスクを抑えることができます。
・証券口座で不動産投資をするなら「REIT」
REIT(リート)とは、アメリカで誕生した「Real Estate Investment Trust」の略で不動産投資信託を意味します。REITでは、投資家から集めた資金でホテルやオフィス、住宅などの不動産に投資します。REITを購入することで間接的に不動産のオーナーになります。投資の素人がマンション経営などをするよりも手軽でリスクを抑えつつ不動産投資ができることから人気を集めています。
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不動産投資のJ-REIT(Jリート)とは?
REITに日本(Japan)のJが加わったのが「J-REIT」です。日本版不動産投資信託として、2001年に誕生しました。
- J-REITの概要
- J-REITの商品性や特徴
- 商業施設や物流、ホテルなど投資先の種類が豊富なJ-REIT
- 収益が安定していて、NISAとの相性がよい
- 高配当(分配)なので非課税メリットも大きい
- 景気に左右されづらい商品の選択で安定した収益に
J-REITの概要
J-REITという投資法人が発行する投資証券を、一般投資家が購入します。投資家から集めた資金を元にホテルや商業施設、住宅などの不動産を運用し、賃料収入や売却益で得られた利益が、分配金として投資家に支払われます。J-REITは会社のため、役員会や投資主総会が開催され、投資家が意思表示をすることも可能です。
J-REITの商品性や特徴
J-REITは、利益の90%以上を分配金として損金算入するため、株式と比べて高配当が期待できる商品です。また、配当の元となるのは不動産の賃貸料になるため、長期的に安定した配当金が期待できます。運用も不動産投資の専門家が行うため、J-REITを保有しているだけで、手軽に不動産投資を始めることが可能です。
J-REITは株式同様上場しており、市場での取引が可能なため、自分の売買したいタイミングで購入から売却まで行えます。
商業施設や物流、ホテルなど投資先の種類が豊富なJ-REIT
J-REITは商品によって投資先が異なります。オフィスビルや物流、商業施設やホテルのほか、マンションなどに分散して投資しています。さまざまな会社をバランスよく組み入れることで、安定した配当金を得ることができるのです。
また、東証に上場しているREIT商品に分散投資をしたJ-REITもあります。すべての業種の不動産にまんべんなく投資できるため、リスクを抑えたい人は、そちらを選ぶのもよいでしょう。 NISAでREITに投資をするメリット NISAは短期売買ではなく、中長期で運用していくことを目的とした制度です。そのため、中長期で保有することでより多くの配当金を得られるREITはNISA向きの商品といえるでしょう。以下で、具体的にどのようなメリットがあるのか紹介します。
収益が安定していて、NISAとの相性がよい
REITはさまざまな不動産への投資を行っている商品のため、安定した収益が見込めます。そのため、価格が上下しやすい個別株より変動も少なく、安定した分配金が期待できます。NISAは配当金も非課税になることから、REITで得た分配金がすべて利益となるメリットは大きいでしょう。
また、得られた配当金で再度REITを購入すれば、さらに大きな配当金を受け取ることができます。複利の効果を発揮しやすいのも特徴です。
高配当(分配)なので非課税メリットも大きい
繰り返しになりますが、NISAは年間120万円の範囲内で購入した商品で得た利益が非課税になります。また、利益について非課税の上限金額もありません。そのため、高配当であるほど非課税の恩恵が受けられます。REITはほかの一般的な株式と比べて高配当のため、NISAの非課税のメリットを十分に活かせる可能性が高いのです。
景気に左右されづらい商品の選択で安定した収益に
高配当で価格変動の少ないREITですが、リスクも存在します。それは、景気に左右される商品を選ぶと、ブームが去ったときに減配や株価が下落する場合もあることです。そのため景気に左右されにくい業種や商品を選択することが大切です。
ホテルやリゾートは、好景気時は利用者も多いですが、景気後退局面では利用者が減るため、収益が悪化しがちです。一方、住居型や物流などは生活において必要不可欠なジャンルです。そのため、REITを選ぶときはホテルなど休暇、余暇色の強い不動産より、住居型などの商品を選ぶことで、景気リスクを抑えられるでしょう。
REIT商品を1つ購入するよりも、さらにリスクを分散させたい場合は、上場するREITに分散投資したREITを選択する手もあります。
NISAでREITに投資をするデメリット
REITはNISAを使うと、配当金も売却益も非課税になるなどメリットがたくさんあります。反対に、気をつけておかなければいけないデメリットも存在します。一体、NISAでREIT投資する際は、どんなことに気をつければよいのでしょうか。
- REIT指数は数年単位で変動がある
- 分配金が減少するリスクがある
NISAでREITに投資をするデメリット1:REIT指数は数年単位で変動がある
経済は長期的に見ると右肩上がりに成長していますが、下落と上昇を繰り返しながら上がっていきます。REITも例外ではなく、東京証券取引所に上場しているREITの全銘柄を対象とした時価総額の平均値「東証REIT指数」も、数年単位で調整されます。
最近では2020年の3月に、東証REIT指数は大幅に下落しました。東証REIT指数は、政治や環境などの外的影響も受けるため、思わぬ下落のタイミングで非課税期間が過ぎてしまう場合もあるでしょう。
上昇時がNISA運用期間の5年と重なれば、NISAのメリットである非課税の恩恵を得られますが、反対に下落中の場合は、非課税のメリットが多くないかもしれません。また、NISA口座はほかの口座と合わせて損益通算することができないため、損失が出た場合も、ほかの口座で出た利益と相殺できず、そのまま受け入れるしかありません。
NISAでREITに投資をするデメリット2:分配金が減少するリスクがある
REITも投資であることから、約束された分配金はありません。分配金に当てられる利益は、不動産収入などによって増減します。投資先のマンションの稼働状況がふるわなかったり、不動産の価値が下落したりした際には、減配のリスクも考えられます。
REITは利回りのよさからNISAの非課税メリットを享受できていましたが、減配になるとメリットを十分に発揮できなくなる恐れもあるでしょう。また、元本(購入資金)保証もありません。購入した金額より下落し、売却損になってしまうリスクも考慮しておく必要があります。
NISAでREITを始めるには?
REITで不動産投資を始めるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。以下では、NISAを使ったREITの始め方を紹介します。
REITを購入するには証券会社で口座を開設しよう
REITは上場している投資信託のため、購入の際には証券口座が必要です。まず、証券会社に口座を持っていない人は証券口座の申し込みをしましょう。同時にNISAの申し込みもできるため、合わせて行っておくとスムーズに始めることができます。
一般口座はすぐに開設できます。一方のNISA口座は税務署の審査があるため、開設には少々時間がかかります。今後NISAで投資を始める予定がある人は、早めに口座開設に着手したほうがよいでしょう。
また、証券会社の開設ではネット証券がおすすめです。ネット証券であればスマホから簡単に申し込みができます。オンラインのみで手続きが完結した場合、たとえばSBI証券であれば最短2営業日で開設可能です。郵送で開設すると最短7営業日かかるところを、5日ほど時間短縮できます。
税務署の審査をクリアし無事開設できれば、あとはNISAでREITの商品を購入しましょう。同時にNISA口座で個別株やETFも始めることができます。
REITはNISAと相性よし。特性やデメリットも十分理解したうえで購入しよう
REITは、賃料収入という比較的安定した収益を得ることができるうえに高配当(分配)のため、NISAとの相性がよい商品です。配当金や売却益で得た利益が最長5年間非課税になるため、メリットも大きいでしょう。
また、運用してくれるのは不動産投資のプロです。不動産投資に詳しくない人でも、気軽に低リスクで始められます。ただ、REITにも商品特性やデメリットは存在します。メリットだけでなく、リスクも十分理解したうえで、NISAを使ってREITで不動産投資を始めましょう。