米国株など外国株には高配当であるなど魅力ある銘柄が多くあります。取引を検討しているものの、手数料が証券会社ごとに異なっているため、どの証券会社を利用するか迷っている方もおられるのではないでしょうか。

近年ではネット証券、対面証券ともに米国株などの外国株を扱う会社が増えており、海外の優良企業に手軽に投資できる環境が整っています。手数料やサービスについてもそれぞれの会社ごとに特色があります。今回は米国株をはじめとした外国株の手数料をネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、DMM株)と対面証券(内藤証券、野村證券、大和証券、SMBC日興証券)で比較するとともに、外国株の買い方についてもご紹介します。証券会社を選ぶ際の参考にしてください。

目次

  1. 1.外国株の魅力とは?
  2. 2.米国株取引の手数料が安い・米国株取引に強い証券会社8選【ネット証券vs.対面証券】
    1. 2-1.ネット証券4選
    2. 2-2.対面証券4選
  3. 3.外国株の手数料の仕組み
    1. 3-1.基本的な手数料体系
    2. 3-2.手数料がゼロになる場合がある
  4. 4.米国株の買い方に関する基礎知識
    1. 4-1.米国(外国)株式を買うために必要な準備:外国株取引口座を開設する
    2. 4-2.外国株の注文方法
    3. 4-3.外国株取引の種類
    4. 4-4.外国株の取引時間
    5. 4-5.外国銘柄の識別方法
  5. 5.米国株など外国株の決済方法とメリット・デメリット
  6. 6.外国株の注意点
    1. 6-1.為替リスクがある
    2. 6-2.証券会社によって取り扱う国や地域が異なる
    3. 6-3.すべての銘柄を買えるわけではない
    4. 6-4.国によって注文の期間指定が異なる
    5. 6-5.ストップ高・ストップ安がない
    6. 6-6.証券会社によってNISA預りにならない場合がある
  7. まとめ

1.外国株の魅力とは?

外国株の「魅力」は以下の3つといえるでしょう。

  • 株主還元に積極的である
  • 一株から購入できる
  • 世界の優良企業に投資できる

外国株の中でも、米国株の強さは顕著です。Think 180 Aroundの調査による株式時価総額トップ20でグローバル企業と各国の勢力図を確認してみると、20社のうち米国企業が12社を占めており、世界経済の中心的存在であることがわかります。

▽世界の株式時価総額トップ20(2020年3月31日現在、時価総額の単位は10億ドル)

順位 企業名 時価総額 国名 順位 企業名 時価総額 国名
1 サウジアラムコ 1,601.67 サウジ 11 ウォルマート 321.803 米国
2 マイクロソフト 1,199.55 米国 12 ビザ 316.199 米国
3 アップル 1,112.64 米国 13 ネスレ 303.423 スイス
4 アマゾン・ドット・コム 970.591 米国 14 ロシュ・ホールディング 282.349 スイス
5 アルファベット 798.885 米国 15 JPモルガン・チェース 276.75 米国
6 アリババ・グループ・ホールディング 506.94 中国 16 P&G 271.64 米国
7 フェイスブック 475.455 米国 17 サムスン電子 266.173 韓国
8 テンセント・ホールディングス 464.715 中国 18 中国工商銀行 263.003 中国
9 バークシャー・ハサウェイ 443.909 米国 19 台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング 247.843 台湾
10 ジョンソン&ジョンソン 345.491 米国 20 マスターカード 242.794 米国
(出典:Think 180 Around)

中国が躍進しているものの、トップ20に入っているのは3社で、米国に水をあけられているのが現状です。個別株ではサウジアラムコが米国企業を凌ぎ、上場と同時に首位に躍り出たことで話題になりました。

外国株への投資では、高成長企業の代表であるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と呼ばれる米国4大IT企業や、ライバルである中国3大IT企業のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)にも投資することができます。特にGAFAとBATは、バイドゥを除きすべてトップ10に入っています(5位のアルファベットはGoogleの親会社)。日本企業ではトヨタ自動車が35位にランクインしていますが、トヨタが35位に甘んじるほど、世界には成長著しい巨大企業がたくさんあることの証左ともいえるでしょう。

外国株初心者の人は、まずはこのトップ20入りしている銘柄をチェックすることからはじめてみるのもよいかもしれません。

2.米国株取引の手数料が安い・米国株取引に強い証券会社8選【ネット証券vs.対面証券】

この章では、米国株を中心とした外国株の売買手数料を、主なネット証券会社4社と対面証券会社(店舗が主力の証券会社。ネットも取扱いあり)4社で比較しています。比較のために掲載している日本株手数料は、各社の最も安い手数料コースを利用した場合の料金です。手数料だけではなく取扱い可能な国や地域も各証券会社で異なるため、自分が何を重視して投資するか、判断の参考にしてください。

▽ネット証券と対面証券の株式売買手数料の比較(税込、オンライン取引の場合)

証券会社名 日本株手数料 米国株手数料 取り扱い可能な国・地域
SBI証券 55円~ 0.495% 米国、中国、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア
楽天証券 55円~ 0.495% 米国、中国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア
マネックス証券 110円~ 0.495% 米国、中国
DMM株 55円~ 無料 米国
内藤証券 183円~ (別掲) 米国、中国(上海A株・B株、深センA株・B株、香港)
野村證券 152円~ (別掲) 米国、中国(香港)、ドイツ、オーストラリア
大和証券 2,090円~ (別掲) 米国、カナダ、英国、スイス、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、オーストリア、オーストラリア、中国(香港)
SMBC日興証券 137円~ (別掲) 米国、中国、新興国(※)、オセアニア(※)、欧州(※)
※は国名非公表

▽別掲 対面証券4社の米国株国内売買手数料(表記の売買金額に対する手数料)

売買金額 内藤証券 野村證券 大和証券 SMBC日興証券
50万円 5,405円
100万円 0.80% 6,160円 0.99% 1.265%
300万円 0.70%+1,000円 1万8,857円 0.88000%+1,100円 3万470円
500万円 0.60%+4,000円 2万2,125円 0.71500%+6,050円 4万9,720円
1,000万円 0.50%+9,000円 3万6,038円 0.66000%+8,800円 8万6,900円

▽【参考】100万円の米国株を買い付けた場合の手数料比較

DMM株 0円 野村證券 6,160円
SBI証券 4,950円 内藤証券 8,000円
楽天証券 4,950円 大和証券 9,900円
マネックス証券 4,950円 SMBC日興証券 1万2,650円

2-1.ネット証券4選

・SBI証券
【特徴】ネット証券最大手。外国株式は9ヵ国を取り扱っており、韓国株、ロシア株が買えるのは他社にはない特徴です。「米国貸株サービス」など独自のサービスがあるのも魅力です。

【手数料体系】米国株の手数料は0.495%。中国株は0.286%、韓国株は0.99%、ロシア株は1.32%、ベトナム株は2.2%、インドネシア株、シンガポール株、タイ株、マレーシア株は1.1%。米国株は国内店頭取引(後述「3−1」参照)。

・楽天証券
【特徴】ネット証券2位。SBI証券に近い構成ですが、韓国株とロシア株は買うことができません。楽天銀行とリンクすれば、スピーディーな入出金が可能なのが特徴です。

【手数料体系】米国株の手数料は0.495%。中国株は0.55%(最低手数料550円)から。アセアン株は1.1%(同550円)。米国株は国内店頭取引。

・マネックス証券
【特徴】ネット証券3位。扱っているのは米国株と中国株のみ。中国株の手数料のほうが安いのが特徴です。米国株の取り扱い銘柄数は3,500以上、中国株は香港株式市場に上場しているほぼ全銘柄が取引可能。

【手数料体系】米国株の手数料は0.495%。中国株の手数料は0.275%。

・DMM株
【特徴】株式に特化した証券会社なので、手数料の安さで定評があります。米国株の手数料は無料で、米国株に絞って投資したい人に向いている証券会社といえます。

【手数料体系】米国株は金額によらず完全無料なので、売買する金額が多い投資家にとっては手数料をかなり削減できます。

2-2.対面証券4選

・内藤証券
【特徴】中国株のエキスパートとして知られる証券会社です。上海A株・B株、深センA株・B株、香港株をカバーしています。中国株、米国株はもちろん、日本株の手数料も安めです。

【手数料体系】米国株の最低手数料は100万円以下で0.80%。各地域共通ですが、現地手数料は上海、深セン、米国が0.5%、香港が0.25%となっています。

・野村證券
【特徴】総合証券最大手。店頭だけでなく、最近では「野村ネット&コール」でインターネット取引にも力を入れています。最大手ですが、外国株の取り扱い国・地域はあまり多くありません。

【手数料体系】外国株におけるオンライン取引の最低手数料は、20万円まで2,389円で各国共通です。国内店頭取引あり。

・大和証券
【特徴】総合証券2位。欧州が13ヵ国と充実しているのが特徴です。中国株に限れば割安な手数料といえます。

【手数料体系】オンライン取引による手数料は、中国株で100万円まで0.29700%。中国株以外は0.99000%。国内店頭取引あり。

・SMBC日興証券
【特徴】取り扱い国・地域は幅広いです。一方、新興国、オセアニア、欧州はホームページで国名を公開していないため、問い合わせしなくてはならない点が手間といえます。

【手数料体系】手数料は100万円以下が1.265%で各国共通。全体的に比較的手数料が高めです。国内店頭取引あり。

3.外国株の手数料の仕組み

外国株の手数料の仕組みについて、ここでは基本的な知識を説明します。

外国株は国内株に比べて手数料体系が複雑で、国や地域、取引方法によっても変わります。ネット証券と対面証券では取引方法の種類が異なる場合もあるので、詳細は各証券会社ホームページの外国株取引ページでご確認ください。

3-1.基本的な手数料体系

外国株の手数料は、「海外委託取引」か「国内店頭取引」かによって異なります。

・「海外委託取引」の場合
国内手数料と現地手数料の両方を負担しなければならないことで、手数料が割高になります。

例えば内藤証券の場合、100万円以下の取引では国内手数料として売買金額の0.80%と、現地手数料として市場別に約定代金の0.25~0.5%が徴収されます。また、現地手数料は国ごとに異なります。

・「国内店頭取引」の場合

国内店頭取引では、証券会社が顧客の相手方になって証券会社が設定した価格で取引されるので、手数料や諸費用は取引価格に含まれます。あらかじめ価格が決まっている点で安心感があります。

ただし、大和証券の例では、現地市場の終値などを基準にしたベース価格に2%程度加減(買う場合は+2%、売る場合は-2%)される点は注意が必要です。

3-2.手数料がゼロになる場合がある

手数料が計算の結果1円以下になる場合は、端数切捨てで0円となります。これがSBI証券や楽天証券の表示している米国株「最低取引手数料0ドル」という仕組みです。その適用基準をSBI証券では約定代金2.02米ドル以下、楽天証券では約定代金2.22米ドル以下に設定しています。また、DMM株のように米国株の手数料が完全に無料という会社もあります。

4.米国株の買い方に関する基礎知識

投資する銘柄を決めたら、具体的な注文方法を確認しましょう。米国株をはじめとする外国株の注文方法は、それほど難しいものではありません。ここでは米国株について説明します。

4-1.米国(外国)株式を買うために必要な準備:外国株取引口座を開設する

まずは大前提として、証券会社に「証券総合取引口座」の開設が必要になります(無料。口座維持管理料は別途、各証券会社により異なる)。証券総合取引口座開設の手順については、各証券会社のホームページまたは下記の記事で確認してください。証券総合取引口座は開設までに一定の時間がかかるため、投資を行いたい場合は早めに開設しておきましょう。

口座開設が済んだら、外国株取引口座を開設します(無料。多くのネット証券ではwebサイト上で手続きが完了する)。

例えば、SBI証券ではインターネットで申し込む場合は、証券総合口座と外国株式取引口座を同時に開設できます。また、楽天証券では総合口座を開設すれば外国株も取引きできるのでより便利です。

4-2.外国株の注文方法

一例として、SBI証券で米国株のスリーエム(MMM)を1株購入する場合の手順を紹介します。

  1. 取引画面にログインする。
  2. 買付/売付のうち、買付にチェックを入れる。
  3. ティッカーにMMMと入力する。
  4. 株数欄に1と入力する。
  5. 価格欄の指値/成行/逆指値から、注文方法を選択する。早く注文を成立させたい場合は「成行」を選択するとよい。
  6. 期間欄の当日中/期間指定から注文期間を選択する。
  7. 預り区分欄の一般預り/特定預り/NISA預りから口座での預り方法を選択する。
  8. 決済方法欄の外貨決済/円貨決済から決済方法を選択する。
  9. 取引パスワードを入力する。
  10. 「注文確認画面へ」のボタンをクリックする。
  11. 注文内容を確認する。
  12. 「注文発注」のボタンをクリックする。
  13.  注文受付内容を確認する。
  14. 「注文照会」のボタンをクリックする。
  15. 注文状況を確認する。
  16. 注文状況画面にある「詳細」のボタンをクリックし約定しているか確認する。
  17. 約定日を含め3営業日目(国内約定日が4月21日の場合は4月23日)に受け渡しとなる。

なお、東京証券取引所に上場している下記外国株については、原則として国内株と同様に売買できます。

  • ワイ・ティー・エル(東証1部・1773)
  • ビート・ホールディングス・リミテッド(東証2部・9399)
  • テックポイント・インク(東証マザーズ・6697)
  • メディシノバ・インク(東証ジャスダック・4875)

4-3.外国株取引の種類

「3-1.基本的な手数料体系」で触れたように、外国株の取引にはいくつかの方法があります。大きく分けると、以下の2つです。

  • 証券会社が海外の現地市場に取り次いで注文を執行する方法
  • 証券会社が直接顧客の相手方となり、一定の決められた価格で取引する方法

例えば、野村證券における取引の種類は次の3つです(証券会社によって取引の名称は異なります)。

・外国株式委託取引(海外委託取引)
顧客の注文を証券会社が取り次ぎ、現地市場にて執行する取引方法です。取引価格は現地市場での約定価格となります。

・外国株式VWAPギャランティー取引
証券会社が顧客の相手方となって、現地のVWAP(ブイワップ=出来高加重平均)値を基準にして価格を成立させる取引方法です。VWAP値に一定のスプレッドを加減した価格が取引価格となります。

・外国株式店頭取引(国内店頭取引)
証券会社が顧客の相手方となって、証券会社が提示する価格で成立させる取引方法です。証券会社がその都度提示する価格が取引価格となります。

4-4.外国株の取引時間

外国株は時差があるため、国ごとに取引時間が異なります。また、サマータイムを導入する国もあるので、対象期間に入ると取引開始が早まることがあります。

一例として、楽天証券における米国株の取引時間(日本時間)は下表の通りです。

▽標準取引時間

曜日 注文受付時間 市場取引時間 注文受付時間外
月~金 8:00~23:30 23:30~翌6:00 6:00~8:00
8:00~翌2:30、3:30~5:00、5:15~6:00   6:00~8:00、翌2:30~3:30、5:00~5:15
6:00~翌2:30、3:30~5:00、5:15~6:00   翌2:30~3:30、5:00~5:15

▽サマータイム導入時取引時間
 
曜日 注文受付時間 市場取引時間 注文受付時間外
月~金 8:00~22:30 22:30~翌5:00 5:00~8:00
8:00~翌2:30、3:30~5:00   5:00~8:00、翌2:30~3:30
5:15~翌2:30、3:30~5:00   翌2:30~3:30、5:00~5:15

4-5.外国銘柄の識別方法

外国株の企業名は「ティッカー・シンボル」と呼ばれる記号で識別します。国内株の証券コード(銘柄コード)に相当します。例えばアップルのティッカーはAAPLです。そのほか、フェイスブックはFB、ウォルト・ディズニーはDISなどアルファベットの配列でなんとなく連想できるものがほとんどです。ただ、まれにコカ・コーラ(KO)のように社名を連想しにくいティッカーもあります。

もちろんアルファベットが似たような配列の会社もあるので、発注の際は誤発注に注意しなければなりません。取引画面に出るティッカーの記号だけでなく、日本語表記の銘柄名も確認するようにしましょう。

5.米国株など外国株の決済方法とメリット・デメリット

米国株など外国株の決済方法には、「外貨決済」と「円貨決済」があります。それぞれの方法とメリット・デメリットを説明します。

▽外貨決済と円貨決済のメリット・デメリット

項目 外貨決済 円貨決済
手間 ▲自分で外貨を用意(両替)する手間がかかる ○両替不要で手間がかからない
手数料 ○安い ▲高い
リスク ○リスクヘッジできる ▲リスクが高め

・外貨決済
あらかじめ証券会社で為替取引を行い、発注相当額の現地通貨を用意します。現地通貨による買い付け余力の範囲において注文を出せる仕組みです。外貨決済は、為替取引で外貨を用意する必要がありますが、現地で取引する際の為替変動リスクがありません。

【メリット】スプレッド(手数料)が安い。為替リスクをヘッジできる。

【デメリット】為替取引の手間がかかる。

・円貨決済
国内株と同じように、日本円の買い付け余力の範囲で注文できる仕組みです。発注時に買い付け余力から概算受渡金額(円貨)が拘束されます。円貨決済は日本円での取引なので、国内株と同じように行え、手間がかかりません。

【メリット】手間がかからない。

【デメリット】スプレッド(手数料)が高い。為替リスクがある。

6.外国株の注意点

外国株に投資する場合には、次のような注意点を念頭に置いておきましょう。

6-1.為替リスクがある

外国株に投資する場合に、最も注意しなければいけないのが為替リスクです。外国株の評価額は、円高になるか円安になるかで変動してしまうからです。

例えば、株価200ドルの株式を、ドル円相場が1ドル110円のときに10株購入した場合、取得価格は22万円です。この銘柄が1週間後に同じ200ドルの株価だったとしても、ドル円相場が1ドル107円になっていれば評価額は21万4,000円で、6,000円の評価損になるのです。

このように外国株は、現地通貨に対して円高になれば為替差損が発生し、逆に円安になれば為替差益が発生します。外国株を売買する場合は、外国為替市場の動向にも注意を払わなければならない点で、国内株より難しい投資といえるでしょう。

6-2.証券会社によって取り扱う国や地域が異なる

外国株式は、証券会社によって取り扱う国・地域が異なります。証券各社は差別化のために、それぞれ特徴のあるラインアップを打ち出しています。中国株を得意としている会社、欧州株や新興国株を豊富に取り揃えている会社、米国株に特化している会社などさまざまです。

例えば、ネット証券は欧州株を扱っている会社はありません。一方で、対面証券は新興国株を扱っている会社は少ないので、全地域をカバーするには、ネット証券と対面証券の両方の口座を持っていることが理想といえるでしょう。

6-3.すべての銘柄を買えるわけではない

外国株を扱っている証券会社でも、上場しているすべての銘柄を買えるわけではありません。ネット証券の米国株取り扱い銘柄数を見ても、マネックス証券が約3,500銘柄、SBI証券が約3,040銘柄に対し、内藤証券は約100銘柄(店頭取引)と大きな差があります。

半面、中国株を取り扱っている内藤証券では、香港株はほぼ全銘柄を買えるようになっており、証券会社が主力にしている国・地域がどこかによっても違いがあります。自分が主力にしたい国・地域に強い証券会社を選ぶことが重要な戦略となります。

6-4.国によって注文の期間指定が異なる

外国株は、国によって注文の「期間指定」ができない場合があります。

例えば、野村證券の場合、米国とドイツは最長7営業日まで指定できますが、香港とオーストラリアは期間指定ができません。「当日中」のみとなるので、約定できなかった場合は、翌営業日にあらためて発注し直さなければなりません。

6-5.ストップ高・ストップ安がない

米国市場には日本市場のようなストップ高・ストップ安という仕組みはありません。したがって、「成行買い」や「成行売り」で注文を出すと、予想外の高値や安値で約定してしまう恐れがあります。米国市場でサーキットブレーカーが発動されるほど極端な急落が起こるのは、ストップ高・ストップ安の仕組みがないことが影響しているといわれます。

また、前場・後場という区切りもありません。リアルタイムで相場を見るのは、日本市場よりも多く時間を割かなければならない点がデメリットです。

6-6.証券会社によってNISA預りにならない場合がある

これは少額投資をする場合には大きな問題ですが、外国株をNISA(少額投資非課税制度)預りにできない証券会社があります。現在持っている証券会社の口座が外国株のNISA預りに対応していない場合は、対応できる証券会社に新たに口座を開設する必要があります。

ただし、NISA口座は1社にしか開設できないため、外国株に年間どの程度投資するかによってNISA口座の移転を判断したほうがよいでしょう。

▽証券会社による外国株のNISA預りの可否

NISA預りが可能な会社 SBI証券、楽天証券、マネックス証券、DMM株、内藤証券、大和証券、SMBC日興証券
NISA預りができない会社 野村證券

まとめ

いかがでしたか。この記事では米国株を始めとする外国株の取引について、ネット証券と対面証券の手数料を中心に紹介しました。

  • 米国株手数料の比較では、ネット証券のほうが割安です。中でもSBI証券と楽天証券は手数料が安いだけでなく、取り扱っている国・地域も多いので、ネット証券の双璧といってよいでしょう。
  • 米国株に特化して投資したい人には、DMM株が手数料無料で魅力的といえるでしょう。また、中国株をメインに考えているなら内藤証券が情報収集の面で有利かもしれません。
  • 対面証券は手数料が高めですが、大手3社では野村證券が割安といえます。ただ、大和証券は北米、アジア、オセアニア、欧州とカバーしている国・地域の範囲が広く、バラエティ豊かな投資が可能な点で魅力があります。

外国株の取引方法については、国内株と異なる点も多く、慣れるまでは戸惑うかもしれません。手数料体系も複雑で、国内株より割高になる傾向があるので、あまり頻繁に売買を繰り返すとコストが高くつく可能性があります。配当利回りが高く、長期にわたって業績を伸ばす優秀な企業も多いので、外国株はじっくり取り組む投資に向いているといえそうです。

時価総額トップ20で見たような、世界の名だたる優良企業に投資するのもよし、新興国の企業に投資して将来の成長を待つのもよし、外国株には国内株とは違った楽しみがあります。外国株をポートフォリオに組み入れて、グローバル投資家の仲間入りをしてみてはいかがでしょうか。

※この記事はとくに記載のない限り2020年1月20日現在の情報をもとに構成しています。サービス内容は変更になる場合がありますので、口座開設の際は最新の情報をご確認ください。

丸山 優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している。