2020年3月時点の口座開設数が1,400万件を超えたことからもわかるように、NISAの利用者は増え続けています。NISAは、口座を開設する金融機関によって、手数料額や投資できる銘柄に差が出ます。では、主要ネット証券の1つである松井証券では、どのようなサービスを受けられるのでしょう。
目次
少額投資非課税制度「NISA」の基本事項を確認
NISAは、売却益や配当金・分配金といった投資から得た利益が、一定期間非課税となる制度です。一般NISAは2014年1月、ジュニアNISAは2016年1月、つみたてNISAは2018年1月にスタートして以来、口座数および買付額を年々増やしてきました。2020年3月末時点の口座開設数および買付額は、表1のとおりです。
▽表1.2020年3月末時点のNISA口座開設数および買付額
口座の種類 | 口座数 | 買付額 |
一般NISA | 1,185万9,048口座 | 19 兆1,706億2,063 万円 |
ジュニアNISA | 35万8,518口座 | 1,922億4,993万円 |
つみたてNISA | 219万6,808口座 | 3,732億8,240 万円 |
一般NISAとつみたてNISAの総口座数は、2019年12月末時点より3.1%増加し、ジュニアNISAの口座数は同1.4%増加しています。このように利用者が増え続けているNISAとは、どのような制度なのでしょう。ここではまず、NISAの基本事項を確認します。
NISAには3つの口座がある
NISAには、「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つの口座があります。非課税期間や非課税額などに違いがあるため、それぞれの口座の特徴を事前にしっかりと確認することが重要です。NISA口座は種類に関わらず、1人1口座しか保有できません。非課税制度を十分に活用するため、投資家に合った口座を選びましょう。
・口座1:いろいろな金融商品に投資ができる「一般NISA」
一般NISAの概要を、表2にまとめます。
▽表2.一般NISAの概要
項目 | 詳細 |
利用できる人 | 日本在住の20歳以上の人 |
非課税対象 | 投資信託や株などの運用で得られる譲渡益および配当金・分配金 |
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年120万円(5年最大600万円) |
非課税期間 | 最長5年 |
ロールオーバー(※)の有無 | あり |
※ロールオーバーとは、保有している商品を翌年の非課税投資枠へ移すことです
一般NISAの特徴は、投資できる金融商品の種類が多い点です。一般NISAの投資対象となっている金融商品を、以下にまとめます。
- 株式投資信託
- 国内外株式
- 国内外ETF(イーティーエフ:上場投資信託)
- ETN(イーティーエヌ:上場投資証券)
- 国内外REIT(リート:不動産投資信託)
- 新株予約権付社債(ワラント債)
色々な種類の金融商品に投資ができ、1年間の非課税投資枠が比較的多い一般NISAは、積極的に投資をしたい人に向いている口座だといえるでしょう。
・口座2:非課税期間が長い「つみたてNISA」
つみたてNISAの概要は、表3のとおりです。
▽表3.つみたてNISAの概要
項目 | 詳細 |
利用できる人 | 日本在住の20歳以上の人 |
非課税対象 | 金融庁指定の投資信託から得られる分配金・譲渡益 |
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年40万円(20年最大800万円) |
非課税期間 | 最長20年 |
ロールオーバーの有無 | なし |
つみたてNISAは、非課税期間が長い点が特徴です。また、金融庁が長期投資に向いているとする投資信託が投資対象となっている点も、ポイントの1つです。比較的リスクが低いと考えられる投資信託を活用し、少額ずつ長期で資産形成したいと考える人は、つみたてNISAがよいでしょう。
・口座3:ジュニアNISA
ジュニアNISAの概要を、表4にまとめます。
▽表4.ジュニアNISAの概要
項目 | 詳細 |
利用できる人 | 日本在住の0~19歳の人 |
非課税対象 | 投資信託や株などの運用で得られる譲渡益および配当金・分配金 |
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年80万円(5年最大400万円) |
非課税期間 | 最長5年 |
ロールオーバーの有無 | あり(20歳になるまで) |
ジュニアNISAの特徴は、未成年者を対象とした口座である点です。口座名義人は未成年者ですが、資金の拠出や運用管理は、親や祖父母といった親権者が行います。つまり、教育費など未成年者が将来必要な資金作りに活用できるのが、ジュニアNISAだといえます。
なお、ジュニアNISAは原則として18歳になるまで資金の払い出しができない点には注意が必要です。やむを得ない理由で払い出す場合には、過去の利益にさかのぼって課税され、ジュニアNISA口座は廃止されます。
NISAで資産運用するメリットと注意点
NISAを利用して資産運用をすると、どのようなメリットがあるのでしょう。注意点とあわせて解説します。
・NISAのメリット:非課税による運用効率の向上
NISAを利用するメリットは、非課税になることで運用効率の向上が図れる点です。通常、売却益や分配金・配当金といった投資から得られる利益には、20%(2037年までは復興特別所得税がかかるため20.315%)の税金がかかります。
例えば、課税口座で100万円投資した投資信託から5万円の分配金を得たとしても、実際に受け取れる利益は4万円(5万円-20%)になるのです。一方、非課税制度であるNISA口座では、5万円すべてを利益として受け取ることができます。
この効果は、利益を再投資した場合により大きくなります。仮に、100万円を投資した投資信託から毎年5%の分配金を得て再投資したとします。この場合の、課税口座とNISA口座での5年後の運用結果の違いを、表5でみてみましょう。
▽表5.課税口座とNISA口座における運用結果の違い
課税口座 | NISA口座 | |
1年目 | 104万円(100万円+(100万円×5%-20%)) | 105万円(100万円+100万円×5%) |
2年目 | 108万1,600円(104万円+(104万円×5%-20%)) | 110万2,500円(105万円+105万円×5%) |
3年目 | 112万4,864円(108万1,600円+(108万1,600円×5%-20%)) | 115万7,625円(110万2,500円+110万2,500×5%) |
4年目 | 116万9,858円(112万4,864円+(112万4,864円×5%-20%)) | 121万5,506円(115万7,625円+115万7,625円×5%) |
5年目 | 121万6,652円(116万9,858円+(116万9,858円×5%-20%)) | 127万6,781円(122万5,506円+122万5,506円×5%) |
課税口座とNISA口座での運用結果の差は約7万円です。このように、NISA口座で利益を非課税にすることで、再投資による複利効果の増大を目指すことができるのです。
・NISAの注意点:損益通算ができない
NISA口座を利用する際の注意点は、損益通算ができない点です。損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺することをいいます。損益通算をすることで、課税額を圧縮し税金を減らす効果を得られます。
課税口座(特定口座もしくは一般口座)で発生した損益は、損益通算ができます。これは、複数の口座間でも可能です。しかし、NISA口座はそもそも課税されない口座のため、損益通算の対象にはなりません。
NISA口座以外に課税口座でも金融商品を保有している場合、損益の状況によっては、NISA口座での保有資産が損益通算できなかったために税額が上がるケースもあります。NISA以外での投資を考えているもしくは、すでに投資をしている人は運用状況を考慮しNISAの利用を決定しましょう。
主要ネット証券の1つである松井証券の特徴は?
NISA口座は、銀行や証券会社・保険会社など多くの金融機関で開設できます。NISA口座を開設する際には、手数料や取扱商品ラインアップなどを確認し、投資家に合った条件の金融機関を選ぶことが大切です。
ここでは、主要ネット証券の1つである松井証券の特徴を詳しく解説します。金融機関選びの参考にしてください。
100年以上の歴史を持つ証券会社
松井証券は、1918年に創業した100年の歴史を持つ証券会社です。1998年には、国内初の本格的インターネット取引「ネットストック」を開始しました。2020年3月末時点の総口座数は123万7,989口座です。2020年8月の月間株式約定件数は545万9,471件、月間株式売買代金は2兆7,733億1,100万円にのぼるなど、多くの人が取引する証券会社の1つだといえるでしょう。
幅広い年齢層が利用。特に50代以上の顧客が多い
松井証券は「顧客中心主義」を理念としており、30~60代を中心に幅広い層が口座を開設しています。とくに、ネット証券でありながら50歳以上の投資家の割合が4割を超えている点は特徴的だといえるでしょう。
松井証券でNISA口座を開設するメリット4選
松井証券でNISA口座を開設するメリットには、どのようなものがあるのでしょう。ここでは4つのメリットと注意点を解説します。
メリット1:充実したサポート体制
松井証券の魅力の1つは、サポート体制が充実している点です。ネット証券である松井証券は、店舗や窓口を持ちません。そのような営業形態でも安心して投資家が取引できるよう、松井証券では3つのサポートを用意しています。
・サポート1:よくあるご質問(Q&A)
「よくあるご質問(Q&A)」では、カテゴリーごとに回答を掲載しています。フリーワード検索もできるなど、投資家自身で問題を解決できる方法を提供しています。
・サポート2:専用フォーム・フリーコール
「よくあるご質問」で解決できない問題は、専用フォームもしくはフリーコールで相談が可能です。専用フォームでの相談は、WEBサイトから原則24時間受け付けています。フリーコールの受付時間は、平日の8時30分~17時です。
・サポート3:リモートサポート
パソコンの操作や手続き方法がわからない場合には、リモートサポートによる手助けを受けられます。リモートサポートとは、オペレーターがインターネット上でパソコンの画面を共有することで、投資家とオペレーターが同一画面を見ながら操作方法などを相談できるサービスです。
メリット2:国内株式の取引手数料がわかりやすい。NISAの場合は手数料が無料
シンプルでわかりやすい国内株式の取引手数料も、松井証券の魅力の1つです。国内株式取引手数料の詳細を、表6で確認しましょう。なお、ここで紹介する手数料はインターネット取引のものです。電話での取引の場合、1約定ごとに「約定代金×1%(最低手数料20円)」の手数料がかかります。
▽表6.松井証券における国内株式取引手数料
1日の約定代金合計金額 | 手数料額(税抜) |
50万円まで | 0円 |
100万円まで | 1,000円 |
200万円まで | 2,000円 |
約定代金合計金額が100万円増えるごとに、手数料1,000円加算 | |
1億円超 | 10万円(上限) |
また松井証券では、NISA口座での取引のほとんどが手数料無料です。NISA口座での取引手数料を、表7にまとめます。
▽表7.NISA口座取引における手数料(インターネット取引の場合)
手数料詳細 | |
一般NISA | ・株式売買手数料0円 ・投資信託の購入時手数料0円 |
つみたてNISA | ・投資信託の購入時手数料0円 |
ジュニアNISA | ・株式売買手数料0円 ・投資信託の購入時手数料0円 |
手数料は、税金と同じく投資におけるコストとなります。手数料を抑えた投資は、効率的な資産運用の実現につながるでしょう。
メリット3:つみたてNISAの対象銘柄が多い
松井証券で取り扱うつみたてNISAの対象ファンドは、155銘柄です。2020年9月15日現在、金融庁が定めるつみたてNISA対象ファンド数は183本のため、対象商品の多くが選択可能だといえます。
メリット4:利用料無料のロボアドバイザー「投信工房」も活用できる
松井証券には、AI(人工知能)が運用サポートをしてくれるロボアドバイザー「投信工房」があります。投信工房では、投資に関する8つの質問にWEB上で回答することで、最適なポートフォリオ(投資資産の組み入れ比率)をアドバイスしてくれます。運用開始後に当初設定したポートフォリオが崩れてしまった場合には、リバランスも可能です。
投信工房は利用料無料で、NISA口座でも利用できます。どのファンドに投資するべきか悩んでいる人や、投資にかける時間が取れない人などは、投信工房を活用することで負担を抑えたNISAでの投資が可能になるでしょう。
注意点:海外株式の取り扱いがない点には注意
松井証券では、米国や中国といった外国株式の取り扱いがありません。資産の1つとして外国株を組み入れたいと考えている人は、注意が必要です。なお、国内市場に上場している外国株式の取引には対応しています。
手厚いサポートとわかりやすさが特徴の松井証券でNISAを始めよう
NISAは、税金を抑えて効率のよい資産運用を目指せる制度です。株や投資信託への投資を考えている人は、NISA口座での取引を検討してもよいでしょう。
主要ネット証券の1つである松井証券は、NISA口座での取引手数料が無料です。サポートが充実しているため、初心者でも比較的始めやすい証券会社でもあります。NISA口座を開設する金融機関に悩んでいる人は、松井証券を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。