ここ最近、投資家デビューする人が増えています。テレワークや外出自粛で在宅時間が増えたことに加え、老後の生活資金2,000万円問題が報じられたことなどから、投資への関心が高まっているようです。

しかしながら、投資経験のない人が株式投資で資産運用を始めても、必ずしもうまくいくとは限りません。むしろ、損失を被るケースも多々あるでしょう。そこで今回の記事では、株式投資における勝ちパターンについて解説すると同時に、ビギナーでもプロに負けない株価分析手法を紹介します。

目次

  1. 株式投資で勝てる人は「情報を集め、活かす」
    1. 株式投資で勝てる人の特徴1:勉強を継続できる人
    2. 株式投資で勝てる人の特徴2:有益な情報を得て活用できる人
    3. 情報を集めるのは活かすため
  2. 株式投資で勝てない人の特徴「情報に振り回される」
    1. 情報を鵜呑みにしてはいけない
    2. 人の行く裏に道あり花の山
  3. 勝ちパターンより大事?負けパターンを知ろう
    1. ありがちな負けパターン1:損切りができない
    2. ありがちな負けパターン2:高値づかみ
    3. ありがちな負けパターン3:狼狽売り
    4. ありがちな負けパターン4:企業価値を軽視する
  4. 株式投資の勝ちパターンは?
    1. 勝ちパターン1:ぶれない投資スタイルを守る
    2. 勝ちパターン2:「損小利大」と決めたらぶれない
    3. 勝ちパターン3:ルールに基づいた投資判断を下しやすいテクニカル分析
  5. 株価や取引高などデータから株価の動向を分析するテクニカル分析
    1. 個人投資家でも使いこなせるテクニカル分析
    2. テクニカル分析の手法1:トレンド系
    3. テクニカル分析の手法2:オシレーター系
  6. 勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

株式投資で勝てる人は「情報を集め、活かす」

株式投資をやっていると、運よく勝てることもあるでしょう。ただし、いつまでも幸運が続くわけではありません。株式投資で安定して勝てる人の多くは、ある特徴を兼ね備えています。それは「情報を集め、活かす」ことです。

株式投資で勝てる人の特徴1:勉強を継続できる人

単に株価チャートだけ追いかけ、一喜一憂しているだけでは何も見えてきません。株価は、以下に示す通り、実にさまざまなファクターに影響されます。両者の相関関係を理解しないと、株式投資はうまくいきません。情報収集・勉強が大切なのです。

▽株価に与えるファクター1:経済要因

  • 経済情勢(GDP・貿易統計・製造業景気指数など)
  • 金利動向(長期金利・各国中央銀行政策金利など)
  • 為替(EUユーロ・日本円・中国元・米国ドル)

▽株価に与えるファクター2:個別銘柄要因

  • 企業業績:売上高・営業利益・当期利益・ROE(株主資本利益率)
  • 株主還元:配当(増配・減配・無配)や自社株消却
  • 株価指標:PER(株価収益倍率)・PBR(株価純資産倍率)・配当利回り等

株式投資で勝てる人の特徴2:有益な情報を得て活用できる人

ただし、むやみに手をつけても有益な情報は手に入りません。そこでおすすめしたいのが、会社四季報です。

会社四季報には、企業のあらゆる情報が詰まっています。特徴を挙げると、歴史の重み、洞察力、ミクロからマクロまでのカバー力の3つです。

・歴史の重み

会社四季報の創刊は1936年。同年2月に起きた2・26事件のさなかにも制作が続けられた歴史ある情報ハンドブックです。つまり、四季報をひも解けば企業が歩んできた歴史もたどれるわけです。企業の歴史から、今抱えている経営課題の本質も推察でき、今後の方向感も見通せるのです。

・洞察力

上場企業に四半期(3か月)ごとの業績発表が義務づけられたのは2003年からで、その前までは上期・下期の発表があたりまえでした。一方で会社四季報は、その名の通り年4回の発刊を70年以上続けています。

企業活動は生き物です。毎四半期、同じビジネスを展開しているわけではありません。たとえば、化粧品は冬と夏で売れ筋がまったく違います。企業のリアルを読者に伝えるため、あるべき発刊サイクルを続けてきたのです。

・ミクロからマクロまでのカバー力

会社四季報には、東証一部・二部・ジャスダック・東証マザーズといった各市場の全上場企業がカバーされています。掲載されている各企業の活動、つまりミクロ経済を読み込んでいけば、マクロの日本経済、ひいては世界経済の動向にも勘が働くようにもなります。

情報を集めるのは活かすため

せっかく勉強し、情報を集めても、アクションにつながらなければ成果を上げることはできません。

仕事と同じように、株式投資で成果を残し続けるにはPDCA(計画・実行・チェック・アクション)サイクルを回すことが欠かせません。情報に基づいて見通しを立て、投資を実行し、予測が外れたら次のアクションを変えるのです。投資で勝てるのは、情報に基づきPDCAを回せる人なのです。

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株式投資で勝てない人の特徴「情報に振り回される」

一方で株式投資に勝てないのには理由があります。勝てないのは決して運が悪いせいばかりではありませんし、運のせいばかりにしている人は投資家としての成長も見込めないでしょう。勝てない人の多くに共通している特徴は、「情報に振り回される」ことにあります。

情報を鵜呑みにしてはいけない

証券会社のアナリストなどによるレポートや、マネー雑誌の特集記事などは、投資に精通したプロが執筆するだけに、一般投資家が考えもしない視点で切り込んだり、斬新な情報が織り込まれていたりと、読みごたえがあるのは確かです。

ただし、こうしたレポート・記事を鵜呑みにするのは危険です。大切なのは自分なりに内容を理解・深掘りし、自らの頭で思考をめぐらすことです。

株式投資に限ったことではありませんが、情報に振り回され周囲に流されている主体性のない人に、勝利の女神は微笑みません。マネー雑誌に載っている「おすすめ銘柄」は、多くの個人投資家が目を通しています。慌てて飛びついたからといって、大きな値上がりは期待薄で、むしろそこから値を下げて損を抱えるケースも少なくないのです。

人の行く裏に道あり花の山

相場の世界では、「人の行く裏に道あり花の山」と昔から言い伝えられてきました。桜開花の季節、有名な桜並木通りは人でごった返していて花見どころではない、むしろ裏道に入った方が人知れず見事な桜が咲いているものです。

株式投資も同じです。アナリストも投資家も見落としているようなお宝銘柄を探し出すことは、投資の醍醐味であるといえるでしょう。

勝ちパターンより大事?負けパターンを知ろう

株式投資において大切なのは、実は「勝ちを増やす」ことより「負けを減らす」ことにあります。以下に、典型的な負けパターンをいくつか紹介します。負けパターンを知り、避け続けることができれば結果的に勝率のアップにつながります。

ありがちな負けパターン1:損切りができない

負けパターンで最もありがちなのが、「損切りができない」です。

人は常に合理的に思考しているわけではなく、いままでの経験や置かれた状況によって判断がぶれます。資産運用も同じで、ロジカルな投資行動はさまざまなバイアスによって妨げられます。

よくあるバイアスとして知られているのが、「人間は儲ける喜びより損する痛みを感じやすい」という「プロスペクト理論」です。だから持ち株が下落しても手放せずに傷口を広げてしまうのです。

相場の世界でも、昔から「見切り千両・損切り万両」といましめられてきました。負けパターンに陥らないためにも、個人投資家は、自らの認知バイアスを知り、損失先送りのようなその場しのぎの投資行動を抑えこまなくてはいけないのです。

ありがちな負けパターン2:高値づかみ

たとえベテランの個人投資家であっても、盛り上がっている相場のムードには逆らえないものです。その結果、やりがちな負けパタ-ンが「高値づかみ」です。

投資をするときはつい、銘柄の株価(投資信託なら基準価額)の上昇率に目が向きますが、投資家の利益率と株価・基準価額の上昇率は実は異なります。

過去5年間における株式投資信託の基準価額が4.4%の上昇率だったのに対し、投資家の利益(インベスターリターン)は2.2%にとどまったとの金融庁の調査結果も公表されています。付け加えると同期間には、投資家の半分が損失を出しています。

上昇カーブを描き続けるチャートに判断力が乱れ、「乗り遅れるな」とばかりに天井圏で手を出してしまい、逆に急落したら慌てて売り急ぐ失敗を犯しがちなのです。

株価の底値や天井を見極めるのは、プロの機関投資家でも難しいとされています。「高値づかみ」のリスクを回避するには、投資時期を分散するなどの合理的な対策が有効とされています。

ありがちな負けパターン3:狼狽売り

投資初心者はもちろん、中上級者でも時流に飲まれ、やってしまうのが「狼狽売り」です。ある経済圏の悪化や企業の不祥事など、保有中の株価の急落によってパニックになり慌てて株を処分してしまうことをいいますが、これも負けパターンの1つです。

保有株の株価が急落すると、早めに損切りしたいという意識から、売却へと走らされますが、損切りは負けの確定と同じといえます。損切りしてもその分をカバーできる他の投資先があれば別ですが、株価急落の原因を把握することなく、反転する可能性を見極めずに売ってしまうことなどは避けましょう。

ありがちな負けパターン4:企業価値を軽視する

企業業績・財務的な安定性・持続的な成長性などのファクターで、企業価値は支えられています。ファンダメンタルズを重視する投資家は「企業価値こそが株価である」と主張します。

実際の株価は買い手と売り手の思惑によって大きく動きます。過熱ムードが高まって高値更新を繰り返すときもあれば、逆に大きく冷え込むときもあります。このようなとき、株価は企業価値と大きく乖離することがあります。

一時的に大きく動いた株価もやがて企業価値に収れんします。トレンドや相場のムードに翻弄されながら、企業価値に向かっていくのです。 テクニカル分析に基づく短期決戦も、もちろん悪くない投資法です。それでもいまの株価水準が割高なのか、過熱気味かといった立ち位置を判断するためにも企業価値のことは絶えず念頭におきましょう。

株式投資の勝ちパターンは?

一方で、株式投資の勝ちパターンの極意はただ1つ「自分で決めたルールを守る」ことにあります。具体的には損小利大や逆張り・順張りといった投資スタイルをいったん決めたら、ぶれずに続けることにあります。

勝ちパターン1:ぶれない投資スタイルを守る

たとえば株式の投資スタイルとして、大型株を中心に物色し上昇トレンドに乗る「順張り」と、数少ない底値のチャンスを狙い大相場に乗る「逆張り」があります。どちらが正しいというわけではありませんが、最もまずいのが、自身のスタイルを確立できないまま投資を続けることです。

本来は逆張りスタイルなのに、上昇相場の誘惑に駆られてついつい順張りにも手を出してしまうなど、投資スタイルがぶれてしまってはいけません。

一度、自身のスタイルを確立したら、一時的に損を出したとしても自分自身の「投資ルール」として守り続けましょう。

勝ちパターン2:「損小利大」と決めたらぶれない

「損小利大」とは、買った銘柄が下落したら早いうちに損切りし、上昇トレンドに乗ったら極力利益を最大化する、という考えに基づく投資手法です。

1回あたりの利益を大きくできれば、たとえ勝率が低くてもトータルリターンを増やすことができます。一方で大きな上昇相場は頻繁にはやってきません。そのため、実践する投資家としては辛抱がいるのも確かです。

「損小利大」を続けていると、ついつい我慢しきれずに値ごろ感のある株に手を出したくなります。ここでこらえて鉄則を守ることが長い目で見れば成功につながるのです。

勝ちパターン3:ルールに基づいた投資判断を下しやすいテクニカル分析

ルールを守る大切さは投資全般に当てはまりますが、とくにローソク足や移動平均線等の指標に基づいたテクニカル分析は、多角的な検証が不要で、視覚的にもとらえやすく、ルールに基づいた投資判断を下しやすいとされています。

株価や取引高などデータから株価の動向を分析するテクニカル分析

株式の投資判断に使う分析には、企業業績や景気情勢などに基づいて適正株価を判断するファンダメンタルズと、株価や取引高の推移、信用売買残高などの需給関係に基づいて株価を分析するテクニカルの2つがあります。ここからはテクニカル分析について、解説します。

個人投資家でも使いこなせるテクニカル分析

「歴史は繰り返す」のは、相場の世界でも同じです。テクニカル分析は、過去の株価トレンドのなかから現在のチャート推移にあてはめ、将来株価を予測します。

ファンダメンタルズ分析には企業経営・マクロ経済・金利・為替等に関する専門スキルや情報収集が必要です。対してテクニカル分析は、パターンがある程度決まっており、個人投資家も手軽に利用できるのが特徴です。証券会社が提供しているツールを使えば、個人投資家でも専門知識なしにさまざまなテクニカル指標を駆使できます。

テクニカル分析はさまざまな手法や指標を使いますが、大きく分けるとトレンド系とオシレーター系の2種類が存在します。

テクニカル分析の手法1:トレンド系

トレンド系は、株価チャートの動きをパターン化し方向感(トレンド)を探るための手法や指標です。

なかでも投資家の間で広く普及しているのが上値抵抗線と下値支持線で、総称して「トレンドライン」とも呼ばれます。

上値抵抗線とは、いままでの高値と高値を結んだ直線のことで、トレンドが変わらない限り抵抗線に株価が近づくと利食い売りなどが膨らみ株価を抑えられる、とされています。株価が抵抗線を超えてきた場合はトレンドが変わったことを意味し、買い注文を入れるチャンスとされています。なお、移動平均線が抵抗線・支持線に使われることもあります。

トレンドラインに加えて、トレンド系ではボリンジャーバンド、DMI、一目均衡表といった指標が使われ、これらの指標を組み合わせて売り買いタイミングの精度を上げています。

テクニカル分析の手法2:オシレーター系

トレンド系で株価の方向感は予測できても、トレンド自体の強さや勢いまではつかめません。そこで登場するのがオシレーター系です。オシレーターの各指標は、相場の過熱感やトレンドを探るのに役立ちます。

一例として、オシレーターのなかでも最もよく使われるRSIについて解説します。RSIは過去一定期間の上昇額合計と下落額合計を相対化した指数で、RSIが70-80%を超えると強気相場、20-30%を下回ると弱気相場とされています。相場の方向感が変わるサインでもあり、逆張りを入れるのに役立ちます。

特にチャートが上昇トレンドを描いているのに、RSIは下降線を描き始めたら要注意です。ダイバージェンスと呼ばれる現象で、相場が急反転する予兆ともされており、まさに売りタイミングです。

なお、強気・弱気を繰り返すボックス相場で威力を発揮するRSIですが、トレンドが強くてボックスを突き抜けるような大相場では機能しないといわれています。

このほかオシレーター系には、RSIの他にストキャスティクスやRCIといった指標が使われています。

トレンド、オシレーターいずれの指標もメリット・デメリットがあり、複数の指標を上手に組み合わせることでテクニカル分析の精度も上がります。

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

肥前国第9代平戸藩主の松浦清が隠居後に記した随筆「甲子夜話」の一節で、名将と呼ばれたプロ野球の故野村克也監督がモットーとしていた言葉です。

「運よく勝つことはあっても、偶然の負けはない、負ける時には必ず原因がある」

この言葉は相場の世界にも通じます。だからこそ、負けパターンに陥らないよう自らを律しなければいけません。そのうえで、テクニカル分析などでマイルールを徹底し、自らの勝ちパターンを確立していきましょう。

野口 孝雄
上場企業(大手日用品メーカー)にて、事業戦略・財務に携わる。とくに財務部門所属時には、株主総会運営・決算開示を経験、経営分析の力をつける。個人としての投資経験に合わせ、「投資される」企業側からの視点を加味した、独自の切り口によるコラムを真骨頂としている

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