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株式投資には、知っておきたい常識が大きく分けて3つあります。「買い方」「選び方」「タイミング」です。投資ビギナーのなかには、株式投資の常識を間違った認識で理解している人もいるかもしれません。そこで今回は、誤解しがちな株式投資の常識を見ていきましょう。
目次
株式投資の基礎知識
資産運用のなかでも、とくに株式投資に興味を持っている人は多いでしょう。まずは、株式投資の基礎を解説します。
株式とは?株式投資とは?なぜ値動きするのか?
株式とは、企業が事業を行っていくうえで必要な資金を集めるために発行するものです。集めた資金を元手に事業を行い、利益をあげていくことが目的です。出資者を「株主」と呼び、出資の証明書として株式が付与されます。
証券会社で売買されている上場企業の株式は、売りたい人と買いたい人の数で株価が変動します。株を買いたい人が多いときは株価が上昇し、反対に売りたい人が多いときに株価は下落します。この需要と供給のバランスは、企業に対する期待の表れです。
企業の業績がよいときや、今後売上拡大が期待できそうな商品やサービスが発表されたときに、買いたい人が増え、株価も上昇します。そのほかにも、景気動向の変化や戦争・紛争などの社会情勢によって変動することもあります。その場合は業績がよくても株価が下落することもあります。
株式投資で利益を得る仕組みとは?
株式投資で利益を得る仕組みには3種類あります。「値上がり益」「配当金」「株主優待」です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
・購入した金額より高値で売却したときに得られる「値上がり益」
先ほど説明した通り、株価は常に上下します。そのため、株価が安いときに購入し高いときに売れば、値上がり益を得ることができるのです。反対に、購入した金額より下落して売った場合は、損失になります。値上がり益による利益を投資では「キャピタルゲイン」と呼びます。
・保有していることで得られる「配当金」
企業は、株主から預かった資金をもとに事業をしていくため、得られた利益を配当金として株主に還元することもあります。必ず配当金を還元しなければいけないわけではありませんが、多くの企業が決算期などに配当制度を設けています。
配当金は、株式を保有している期間継続して入ってくる利益です(ただし、企業のなかには無配当企業もあります)。これを投資では「インカムゲイン」と呼びます。
・自社商品などが無料でもらえる「株主優待」
株主優待は、上場している日本企業の多くが取り入れている制度で、株主に対して自社商品やサービスを無料で提供するものです。アメリカでもコーヒーショップのスターバックスや世界最大のクルーズ船を運航するカーニバルなど、一部の企業で株主優待制度を採用しています。しかし、株主優待は圧倒的に日本の企業が多いのが現状です。
株主優待は、権利確定日に株式を保有しているともらえます。制度が廃止にならない限り、配当金と同じく継続して受け取れます。
株のリスクと注意点
株のリスクには大きく分けて3つあります。「下落リスク」「倒産リスク」「流動性リスク」です。以下ではそれぞれのリスク内容を紹介します。
・株価の変動による「下落リスク」
株式投資は、元本が保証されている商品ではありません。そのため、購入した金額より下がることもあります。購入した金額より値上がりすれば利益になりますが、反対に下落すると損失になります。値上がりを期待して購入した株式も、常に下落リスクがあるということを覚えておきましょう。
・会社の経営状況による「倒産リスク」
下落リスクより大きいダメージを受けるのが、倒産リスクです。企業の業績悪化が続くと、会社として存続が難しくなります。そうなると、倒産につながる場合もあります。倒産した会社の株式は価値がなくなるため、投資に使ったお金は返ってきません。
・売りたいのに売れない「流動性リスク」
流動性リスクは、株を売りたいと思っているのに売れないことを指します。投資していた株式が上場廃止となる場合や、システム障害などにより取引が停止してしまうことがあります。また、買い手がなかなかつかない不人気の銘柄では、売りたくても売れないこともあります。
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その常識は間違い?株式投資の「よくある誤解」入門編
株式投資と聞くと、「投資はギャンブル」「モニターを何台も所有してずっと株価を追っている」「負けると借金を抱えることになる」など、マイナスなイメージを持つ人も多いでしょう。その常識は、はたして合っているのでしょうか。以下では、株式投資に抱きがちな誤解を解説していきます。
投資はギャンブル?
株式投資は、名前の通り「投資」であり、ギャンブルではありません。世界は長期的に見ると、常に経済成長しています。そのため、株式を発行している会社も株価の上下はするものの、長い目で見ると上昇していくことが期待できるでしょう。
よくギャンブルだといわれているものは「投機」と呼ばれるものであり、投資とは別物です。長期的に成長していくものを投資と呼ぶのに対し、投機は価格の動向を短期的な思考で上昇か下落かを予想します。
株式投資のなかでも、1日で購入から売却までを完結させる「デイトレード」や、数日で完結させる「スイングトレード」は投機にあたります。そのほかにも、価格の乱高下が激しい暗号資産の売買などが投機の代表例です。
市場を長期的な視点で捉えることで、投機ではなく投資をすることができます。
株で失敗すると借金を抱える?
「株で失敗すると借金を抱えて家までなくなる」といった話を聞いたことがある人もいるでしょう。しかし、特別な取引をしない限り借金を抱えることはありません。通常の株取引では、購入した金額のみが損失リスクになります。
そのため、10万円で購入した株はゼロ円にこそなる可能性があるものの、マイナス1円以下になることはありません。
借金を負う可能性のある取引は「信用取引」のことです。信用口座を開設すると、証券会社のお金を借りて株の売買を行うことができます。担保として保有している株式や保証金を証券会社に預ける必要がありますが、信用取引では保証金の約3.3倍もの金額の取引ができるようになります。
そのため、借りていたお金で取引をして損失になった場合は、証券会社にお金を返済する必要があるのです。この信用取引を行わない限りは、借金を抱えることはありません。
常に株価を見ていないといけない?
短期で売買するデイトレードやスイングトレードのような投機を行う人は、売買のチャンスを逃さないために株価を常に追っているでしょう。しかし、中長期で資産を増やす投資では、日々の小さな株価の動きは追わなくても問題ありません。
投資の目的は、長期的に見て経済と共に資産が成長していることです。そのため、明日の株価に一喜一憂するのではなく、1年後や5年後の長期的な株価の上昇に目を向けるべきです。1日に1回の株価チェックでも大丈夫です。
株は多くの資金がないと買えない?
「株式投資をするには多額の元手が必要」というイメージを持つ人も多いでしょう。日本の株は100株を1単元として売買されています。そのため、1株100円の株を買おうと思った場合、100円×100株で1万円必要になるのです。また大企業の株価は1株1万円を超えるものもあり、その場合は100株で100万円以上の資金が必要になります。
しかし最近は「ミニ株」と呼ばれる、10株から購入できるサービスもあります。いままで100株分まとめてしか売買できなかったものが、10株という少額で売買できるようになったのです。また、証券会社によっては、「単元未満株」という1株から取引できるものもあります。
さらに、「ポイント投資」と呼ばれる、クレジットカードやポイントカードで貯めたポイントを使って株式が購入できるサービスもはじまっています。多くの元手を出すのが不安な人も、ミニ株やポイント投資を使えば、株式投資をはじめやすいでしょう。
ビギナーは知っておきたい株式投資の「よくある誤解」実践編
株式投資をはじめた人のなかには、さまざまな情報を得るあまり間違った常識を取り入れていることもあります。株式投資初心者が抱きがちな、株式投資の誤解をみていきましょう。
10%の損切りルールは絶対に守るもの?
損切りとは、購入した金額よりマイナスになった株を売却し、損失を確定させることです。下落相場の局面で、さらなる下落によりマイナスが膨らむ前に小さな損失で止めておくために損切りをします。多くの人は損切りラインを設定しており、購入価格から株価が5~10%下落したら売るといったルールが一般的です。
「損切りラインは決して下げてはいけない」というのが株式投資の常識ですが、株価が大きい銘柄では1日に10%ほど上下することは珍しくありません。株価の上昇や下落は企業の業績も影響しますが、外的要因も大きくかかわってきます。
為替の変動や海外市場の動向なども例外ではありません。その場合は、数日後に株価が上昇することもしばしばあります。会社の業績の見通しがよい場合や、購入した理由が明確である場合は、そのまま保有しておくことも検討しましょう。
長期保有銘柄を短期・中期で売却したらダメ?
長期保有目的で購入した銘柄だからといって、最初に自分で設定した期間保有しなければいけないわけではありません。保有していくなかで、会社の業績も変わっていきます。そうすると、当初予想していた展望より変化することもあるでしょう。
自分が当初思い描いていた展望とは異なる場合は、思い切って損切りするのもよいでしょう。
PERが割安ならお買い得?
PERとは「株価収益率」のことで、株を購入する際にチェックしたい項目です。株価を1株あたりの純利益で割り、1株でどれだけの利益を出しているのかを表します。単位は「倍」で、この数字が小さいほど割安になるため、購入タイミングの参考になるでしょう。
ただし、PERが割安だと思って飛びつくと、株価が思ったように上がらない「バリュートラップ」に引っかかることもあります。市場の下落タイミングであればPERは下がりますし、多くの人が株を欲しがるような優良企業の場合は株価が上がってPERも高くなります。このように、PERだけでは購入タイミングを計るのは難しいのです。
損失を出さないための株式銘柄の選び方
株式投資を行うには、利益の出し方を学ぶことも大切ですが、いかに損失を抑えるかも重要になってきます。では一体、どのような企業を選べばよいのでしょうか。
企業業績が将来的にも伸びそうな銘柄を選ぶ
成長している企業は、売上高や純利益が順調に伸びていきます。利益や負債などの情報は、企業の公式サイトでも公表されているため、気になる企業の決算はしっかりと確認するのがよいでしょう。さらに、企業が伸びると予想されると株を買いたい人が増え、株価もどんどん上昇していきます。
今後、企業の業績がよくなりそうな商品やサービスを提供している会社を選びましょう。
身近にあるものや興味のある企業・業界から選ぶ
優良銘柄探しは、意外と身近なところに眠っていることもあります。よく行くスーパーで、ヒットしているお菓子などの商品や、自分が愛用しているゲームなどから発見することもあるでしょう。2020年10月には、映画『鬼滅の刃』が大ヒットし、公開後3日間で興行収入46億円を突破しました。
公開後の週明けは、配給会社である「東宝」の株価は大きく上げてスタートしました。少し前では、「あつまれ どうぶつの森」を販売した「任天堂」や、ワークマン女子が巷に急増した「ワークマン」も同様に株価が上がりました。
このように、身近で興味のあるものから投資先が見つかることもあるのです。
国策銘柄を選ぶ(国の政策に関連するもの)
国政と経済は密接に関係しています。国の政策が企業の業績に関係することも少なくありません。2020年は、国からの外出自粛要請もあり、リモートワーク関連銘柄の「チャットワーク」や、青果や料理キットのネット販売をする「オイシックス・ラ・大地」などの株価が上昇しました。
このように国の政策に関連した銘柄は、株価が上昇しやすい傾向にあります。
銘柄選びと同じくらい「タイミング」が重要
いくらよい銘柄を選んでも、購入するタイミングが悪いと思ったように利益が出せないこともあるでしょう。では、どのようなタイミングで購入するのがベストなのでしょうか。
割高で買っては意味がない
よい企業であっても株価が高い水準であるときは、買いどきとはいえません。どんな企業でも、株価は常に上下します。そのため、割安になる水準まで待って購入するのがよいでしょう。
企業が持つ「価値」よりも安い価格で購入することが大事
株を購入する際には、ROE(自己資本利益率)を用いて将来の収益性を計ることもあります。発行株に対して、どれだけの利益を得られるのかを示した指標で、今後の業績を予想する目安になります。計算式は下記の通りです。
ROE=当期純利益÷(純資産-新株予約権-少数株主持分)×100
10%を上回るとよい企業だといわれていますが、日本の企業は5%程度が平均のため、それ以上あれば優良といえるでしょう。
見極めには、企業分析や決算書などを読む必要がある
株を買うためには、決算書を読んだり企業を分析したりする必要があります。決算書では、財政状況やお金の動きがわかります。いまどれだけ資産や利益、負債があり、どのようなことにお金を使ったのか把握することができるのです。
また、決算書からは、売上高や借入金の金額などで企業を分析することもできます。倒産するリスクは少ないか、今後成長が見込めるのかは、しっかりチェックしておきましょう。
正しい知識をつけて株式投資をしよう
株式投資に関する情報は世の中にたくさん存在し、なかには誤ったものもあります。そのため、情報を鵜呑みにするのではなく、自分で調べてから購入することを忘れてはいけません。また、最初から知識だけを集めても理解できないことも多いでしょう。経験を積みながら同時に勉強していくことで、より知識が深まります。株式投資の正しい知識をつけて、株式投資を楽しみましょう。
株式投資をはじめる際には、証券口座が必要になります。ネット証券だと口座開設が手軽なうえに、取引手数料も安いためコストを抑えることができます。投資初心者は、大手ネット証券会社を比較検討して口座を開設するといいでしょう。