本記事は、河上純二氏の著書『10年後に活きる人脈のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)の中から一部を抜粋・編集しています
人生の幸せと不幸せは同じ大きさ
時々、人間の幸せの大きさと不幸せの大きさは同じだと思うことがあります。大金持ちや大会社の社長にはその裕福さや地位と同じくらいストレスや苦悩がある一方で、普通に暮らしている人は有り余るほどのお金や人が羨むような社会的地位がないことで人から裏切られたり妬まれたりすることが少ないと思うのです。
どちらがいいかは人それぞれが決めることで、毎日プレッシャーにさらされていても大金持ちであるなら幸せだと思う人もいれば、裕福でなくても日々の暮らしに困らずに平々凡々と暮らせることが幸福だと思う人もいます。
欧米のプロスポーツ選手やアーティストなどのスーパースターのように富も名声も得たとしても、人目が気になり自由に行動ができない人もいます。そして、その富に群がる人がおべんちゃらを言いながらおすそ分けを狙い、食い尽くした途端に離れていく。よく聞く話です。
サラリーマン生活にも同じようなことは起こりえます。同期よりも早く出世し、さらに出世レースに勝ち抜いて社長になった。周りからちやほやされ、天下を取った気分です。それが社長を退任した途端、いままで付き従ってきた取り巻きが蜘蛛の子を散らすように一斉に去り、会社勤め時代の知り合いが訪ねてくることもない。
それとは逆に、コツコツと真面目に働き続け、職場の仲間との人間関係を大事にして定年退職を迎える。退職後にも職場の仲間とは関係が続き、たまに連絡を取り合い飲みに行く。
この2つのケースは、実際によくあることです。僕は、無理して出世などせずに本当に良い仲間と良い関係が続けられるような幸せな生き方をしたいと思ってきました。
大きな財産や地位や名誉を追い求めるような幸せではなく、素敵な人たちに囲まれて生きていけるような幸せのほうが自分らしいと思っているからです。
それというのも、僕は30歳のときに将来の夢を思い描いていたからです。日本に近い東南アジアの南の島に、気心の知れた友人4家族と永住するという夢です。4家族というのは四季に合わせて1家族は日本に帰国し、残りの3家族でビーチ沿いにリラックスできるカフェやリゾートホテルをつくり、運営するためです。ここにビジネスの最前線で頑張っている人に来ていただき、癒やしの時間と空間を提供して元気を取り戻して日常に戻って頑張ってもらいたい、そんな仕事をしてみたいのです。僕はそこでは名物店長となり、僕の生き方がリタイア後の1つのモデルになっているといいなと昔から考えています。
この思いに至ってからというもの、すっと体が軽くなるというか、穏やかな気持ちになれたのです。そのとき僕は、これから働き続けるなかでは嫌なことや問題にぶつかることもきっとあるだろうと思っていました。それでも自分を会社という枠に無理に当てはめず、働き方を自分の責任でコントロールすることで幸せな未来が見えるようになるかもしれないと夢想しました。自分でどの程度の幸せでいいかを決めると人生がものすごく楽になってきました。
こうした考えを持つことができたのは、それまでにいろいろな経験をしてきたからこそだと思うのですが、もっと若いうちから好きな仲間たちと働ける働き方に舵を切っておけばよかったとさえ思います。
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