本記事は、河上純二氏の著書『10年後に活きる人脈のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)の中から一部を抜粋・編集しています
セルフブランディングのためのMVV
僕にとってSNSはセルフブランディングのためには欠かすことができないツールですが、それは世間への認知のためのものです。
セルフブランディングでは、SNSの前に考えなくてはならないことがあります。 ミッション(存在意義)、ビジョン(ありたい姿)、バリュー(行動指針)です。
これは現代経営の父といわれるピーター・ドラッカーが提唱した、組織が目指す姿をメンバーと共有するためのフレームワークであり、その頭文字を取ってMVVと称されています。そして、ミッションからビジョンを考え、そのビジョンを実現するためのバリューをどのように日々の行動に落とし込んでいくかを図に表すと三角形になり、これをMVVピラミッドと言います。
自分が将来、何のためにどうありたいか、それには何をすべきかを、つまり自分らしく生きるためにどんな価値観を持って行動するかをはっきりさせることがセルフブランディングにつながるということです。
セルフブランディングのために自分をどんな見せ方にするのかというところでSNSとの向き合い方が変わってきます。誰に対して、どんな内容のことを伝えていくかをぶれないようにしておきます。
これができあがり、情報発信を継続していくことでセルフメディアとしてSNSが有効化されていきます。
MVVは会社と自分を最適化するためにも使えます。会社のMVVと個人のMVVが重なり合えば、ミスマッチが防げます。
また、MVVは自分を知るためのツールとしても有効です。MVVを考えると自然と自分の棚卸しにもなるからです。それが自分はどういうタイプの人と相性がいいのかということにもなり、意味のある出会いのサポートにもなります。
その逆に、相性の悪い人との社交辞令の継続を避けることもできます。なんとなく知り合って、お酒なんかを飲むうちにその場では意気投合した感じなのですが、どこかしっくりこない。そうした人とはやはり、MVVが重なり合わないものです。打算的になりすぎてもいけませんが、相性が合わない人とはいずれどこかの時点で別れが来ます。MVVに照らし合わせてあまりにも重なりが少ないようでしたら、適当な距離感でいることです。無理に相手に合わせて、ムダな時間を使うことはありません。
いまいる組織で幸せに働くにはMVVピラミッドを基軸にして、合わなければ本人のMVVに合った会社に参加するのが、今後長く働くうえではとても重要です。
MVVピラミッドの整合性が取れた組織は、社内人脈の広がり方が自然です。組織の目標達成のために社内での協業がしやすい関係が構築できているからです。
逆にMVVピラミッドができていない組織は、上からの強制でムリに協業を生み出そうとします。部門の横串を通せと上から言ってくるような組織は、会社の方向性と社員の方向性がぶれているからムリに合わせようとします。無理な力を加えると必ず歪ひずみが生じ、結果として社員の流出がはじまります。
社内人脈は本来、自然発生的につながるのがよく、その状況を生み出すのが組織の目標だということを社員が腹落ちして、自分ごととして取り組めるような組織が良い組織です。スタートアップ企業を見ているとこのことがよく実感できます。みんなが会社を成長させるための意欲を持っているので、自然な協力体制ができあがるのです。
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