本記事は、河上純二氏の著書『10年後に活きる人脈のつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)の中から一部を抜粋・編集しています

即メモ、即レスのススメ

メモ,レス
(画像=keisuke/PIXTA)

外部の世界の人たちとの出会いを広げることの大切さを知った僕は、人の話は宝の山だと思うことがよくあり、人生の方位磁針になるような言葉から行動に移すということが多いのです。ある人の話に感銘を受けて、ワインの勉強をはじめたのもそうですし、ゴルフもそうです。そして、そこでまた新たな人脈が生まれて、刺激のある言葉をかけてもらえる。この循環があって、僕の人としての幅も以前とは比べものにならないほど大きくなっていっています。

一期一会ではないですが、出会いそのものと同じように出会った人からかけてもらった言葉や気づいたことをそのまま聞き流さず、ちゃんと受け止めて咀嚼するセンスとノウハウを身につけることも人脈を自己成長のために活かすには極めて重要なことです。

これも僕の経験則ですが、人と対話していてメモする人としない人ではその後の成長に大きな開きが出てきます。僕はメモの大切さを実感しているので、メモ魔のようにメモをします。夜中に目覚めて何回もメモることがあるほどです。

僕の流儀というかメモについて気をつけていることは、「すぐにメモすること」です。単純に僕は聞いたことを長々と覚えることができないからということもあるからです。以前は紙の手帳を使っていましたが、いまはもっぱらスマホです。スマホなら取り出してすぐにメモができます。アプリも特別なものではなく、すぐに開けて打ち込める、とてもシンプルなものです。

そして「メモしたことをすぐに実行すること」です。僕の性分として、メモしたことを溜めていたらいつまでたっても処理しません。だったらすぐに処理したほうがいい。

知り得た情報を各顧問先に翌朝には発信する、買う必要があるものを見つけたらすぐに買いに行く、企画のテーマのヒントを得たらすぐに企画書を書く、レスポンスが必要ならすぐ送る、こうしたことを翌日にはすべて完了させるようにしています。

メモを溜めて、後で振り返るという人もいますが、僕の場合は仮に溜めるようなことがあったらたぶん一切見ないと思います。すぐに行動すべきことは即刻処理することが時間のムダにもなりません。

行動するためのメモとも言えるわけですが、メモを取りながらそのメモを仕事の何に使おうかとか、誰に教えればもっと有効になるかとかを考える癖がついています。

そうやって人から話を聞くときは副次利用を考えながらメモを取っています。メモする習慣は大事ですが、それ以上にそのメモをどう使うかを考えることが圧倒的に大事です。それが人との出会いや人との会話をムダにしない確率を上げ、そのメモからこれに使える、あれにも使える、彼にも話したほうがいい、この人にも教えてあげよう、と1つのネタをいくつにも広げていける癖や思考回路を身につけることがすごく大事です。

自分を振り返ってみると、僕はこうしたことを日常的に繰り返しています。このような人との話をメモして応用するようになったのは、プロデューサー職を経験したことで情報をいろいろと組み合わせることを実践したことが大きかったと思います。

メモは、即時に副次利用すること、これがポイントです。

「即メモ」同様に実践していることに、「即レス」があります。「めちゃめちゃレスポンスの早い人」と「しばらくしてレスポンスが返ってくる人」、この2タイプがあるとしたら、好まれるのは「めちゃめちゃレスポンスの早い人」です。

会社の顧問をしていると経営者との連絡のやり取りも多いのですが、最近の経営者はめちゃめちゃレスが早いです。タクシーで移動中に、短文でどんどん返してきます。スマホ時代では、この速さが大事です。

忙しかったので丸一日放置、なんていう人は少し残念に思います。連絡するとすぐに返信が来る人ほど経営幹部に多いのですが、つまり出世するような人は仕事が早い、懸案事項を溜めておかないとわかったことで僕も「即レス」を実践するようになりました。

何か答えに困ったので返信をためらうというような場合でも、すぐに何らかの連絡をすることでメッセンジャーのやり取りがはじまり、そのやり取りのなかで問題が解決するようなことも多いです。だから、とにかく「即レス」することを心がけています。

「即レス」に関連して、僕は後悔していることがあります。サラリーマンになった当初、僕は縁をあまり意識していませんでした。忙しさのあまり、相談に乗ってくれる人を紹介されながら面倒がって、連絡をしないこともありました。いま考えたら新しいチャンスを自分からつぶしてしまった行為だったと後悔しています。

おそらくこうしたことは誰にも少なからずあることなのではないでしょうか。せっかく知り合ったのに、いまは役に立たない、いまは自分の仕事の延長線上にはないということで連絡を後回しにしたり、そのまま放置してしまうことです。

でも10年後の自分を考えたとき、実はあのときの縁がいまとても活きていたかもしれないとの後悔の念があります。忙しくても、一度は聞く耳を持つべきなのです。

10年後に活きる人脈のつくり方
河上純二(かわかみ じゅんじ)
1971年生まれ。中央大学法学部政治学科卒業。デジタルハリウッド本科クリエイティブ科卒業。1994年株式会社丸井入社。その後映像クリエイター・VJ活動を経て、1997年よりGateway Japan、PCCW Japanなど外資系企業にて新規WEBサービスの立ち上げにプロデューサーとして参画。その後、株式会社USENにて新規インターネットビジネスの立ち上げ及びインターネット事業部門責任者に従事。株式会社medibaにて新規モバイル事業立ち上げ責任者を経て、2011年8月から株式会社D2Cでコンシューマ事業部門長に従事。2004年~2016年には、社外で共同オーナー制を用いたコミュニティー飲食店麻布十番「ギャラリーカフェバー縁縁」を立ち上げ、2000名を超えるコミュニティサロンを運営。2017年10月に株式会社JYLINKを創業、代表取締役に就任。スタートアップ・ベンチャーを中心に企業の顧問・アドバイザーとして十数社の経営に参画しIT業界の発展に従事。経営者トークライブ番組「JJの部屋」、ミドル世代のライフスタイルを考えるFMラジオ番組「大人のミライ」パーソナリティ。グローバルITメディア「Ubergizmo」オフィシャルジャーナリスト。Showcase主催「SmartPitch」、野村證券主催「VENTURE PITCH」、ZUUonline主催「NEXTユニコーン」などスタートアップピッチイベントのコメンテーター。

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