「よくわからない」「手数料が高い」などの理由で米国株を避けてきた人も多いかもしれない。しかし、現在、各証券会社では分かりやすい画面やツールを開発したり手数料を安くするなど米国株取引に力を入れている。そのため以前に比べて各段に米国株売買がしやすくなっているのだ。

この記事では、米国株取引について詳しく解説する。

米国株の取引手数料は以前と比べ安くなっている

米国株,始め方
(画像=PIXTA)

米国株の取引手数料は高いと思っている人も多いのではないだろうか。そして、それが原因で米国株の取引から足を遠ざけている人も少なくない。しかし、米国株の取引手数料は以前と比べて安くなっている。これは、ネット証券の普及で証券会社の固定費が削減できていることや顧客の獲得競争が激化していることが原因だ。

米国株の取引手数料を0円とする証券会社も登場しており以前に比べて米国株は取引しやすくなっている。

米国株取引の魅力

米国株は、日本においても年々取引数が増えている。なぜなら米国株取引にはさまざまな魅力があるからである。ここでは、米国株取引の代表的な魅力を見ていこう。

成長し続けている

米国株取引の魅力の一つは市場が成長し続けていること。例えば米国には、マイクロソフトやアップル、アマゾンなど知名度が高い企業や巨大企業が多い。また、米国にはGAFAと呼ばれるような比較的若い企業が急激に成長し大企業となっていくような環境もあるため、存在感が強く世界中から資金が集まっている。

これからもますます市場が成長し続けていくことが予想される。

高配当・連続増配当企業が多い

米国企業は、日本企業に比べて株主に利益をしっかりと還元する考えが浸透しているため、高配当の企業が多い。また、配当金の金額を毎年増やしている企業も多く30年以上連続で増配をしている企業や四半期に一度、配当を出している企業も多いため、複数の銘柄を持てば毎月配当をもらうことも可能だ。中長期で資産形成を考えている人にとっても米国株は魅力的といえる。

1株から購入可能

米国株は基本、1株から購入することが可能だ。日本株も証券会社や商品によっては、1株から購入することが可能だが、まだまだ100株単位などで購入するケースが多く投資を始めるには、ある程度まとまった資金が必要な場合が多い。一方、米国株では、少ない資金で投資をすることができる。

国内株式と米国株式の違い

「米国株式は手続きが複雑」と考えている人も多いかもしれない。しかし実は国内株式と比べても、そこまで複雑ではない。最初に米国株式取引用の口座を開設する。その後日本円で取引用口座に資金を移動し円を米ドルに交換して米国株式を購入するだけだ。しかし証券会社によっては、事前に為替振替不要で米国株を購入できる仕組みのところもある。

この場合は、国内株式を購入する場合と手続きはほぼ同じだ。米国株式とはいえ手続きが複雑でないことも米国株取引の魅力の一つだ。

米国株の取引手数料が安い4社

米国株の取引手数料は、年々安くなっている。ただし証券会社によって取引手数料の金額は異なるため、できれば取引手数料の安い証券会社で米国株取引を行いたいところだ。そこでここでは米国株の取引手数料が安い4社を見ていこう。

DMM.com証券

米国株の取引手数料の安さといえばDMM.com証券である。業界最安値でなんと米国株の取引手数料が約定代金にかかわらず一律で0円だ。取引手数料が0円だからといって決してサービスが悪いということはない。また操作が簡単なスマホアプリも提供している。このアプリの特徴は、一つのアプリで国内株式も米国株式もシームレスに取引が可能なことだ。資金振替も不要なのでとても使いやすい。

米国株式を信用取引の担保にでき投資レポートが充実しているため、株式投資の初級者から上級者まで納得の米国株取引が可能だ。

SBI証券

米国株の取引手数料の安さでは、SBI証券も他の証券会社に引けを取らない。インターネットコースの場合、約定代金が2.02米ドル以下なら業界最安水準の最低取引手数料0米ドルで米国株を取引することが可能だ。約定代金が2.02米ドルを超えた場合は、約定代金×0.495%の取引手数料(上限22米ドル)となる。

またSBI証券では、米国株式で「何米ドルまで下がったら売り」といった逆指値注文ができるため、株価が急に下落したときに備えてリスク回避をすることができることも魅力だ。米国株式をSBI証券に貸して金利を得る「米国貸株サービス」もあり米国株のさまざまな運用をすることもできる。

マネックス証券

大型銘柄だけでなく中小型銘柄も豊富に取り扱っているのがマネックス証券だ。取引銘柄数は、4,000を超えているため、希望の条件の米国株式を購入することができる可能性は高いだろう。米国株の取引手数料は、最低手数料0米ドル(上限22 米ドル)だ。他の証券会社と見劣りしない業界屈指の格安手数料である。

またマネックス証券では、時間外取引が可能だ。(最大で12時間取引)そのため突然のニュースなどによる米国株の価格変動にもしっかりと対応でき利益確保の機会を逃さない点も魅力的である。

楽天証券

楽天証券でも米国株の取引について最低手数料0米ドルを実施(約定代金が2.22米ドル以下の場合)している。約定代金が2.22米ドルを超える場合は、約定代金×0.495%の取引手数料(上限22米ドル)だ。他の証券会社と見劣りしない業界屈指の格安手数料といえる。取引手数料がかかる場合でも1%もしくは2%の楽天ポイントがバック。

楽天市場などでのお買い物に使えるのも楽天証券で米国株の取引をする魅力の一つだ。また米国株の取引は、楽天証券のスマートフォンアプリ「iSPEED」に対応しているため、いつでもどこでも利益確保の機会を逃さず取引ができる。

米国株取引をするときの注意点

米国株取引は、取引手数料が安いなどのメリットも多く、これからますます市場が活発化していくことが考えられる。そのため米国株取引をする人の増加が予想される。しかし、思わぬ失敗をしないためにも米国株取引をする場合に知っておきたい注意点もある。そこでここからは米国株取引をするときの注意点を見ていこう。

為替手数料に注意

米国株を購入するためには、日本円を米ドルに交換(両替)して取引を行うことが必要だ。この日本円と米ドルの交換(両替)手数料が為替手数料である。為替手数料は、ここまで見てきた取引手数料とは別にかかるため、注意しておきたい。ただし楽天証券のように1米ドルあたり25銭と安く設定されている証券会社もある。

そのため頻繁に日本円を米ドルに交換(両替)する場合は、より低い為替手数料の証券会社を選ぶことを考えよう。

取扱銘柄数は証券会社によって違う

米国株取引をするときに注意したいのが取扱銘柄数である。国内株式の場合は、どの証券会社を利用しても取り扱っている銘柄はほとんど同じである。しかし米国株の場合は、証券会社によって取扱銘柄数が大きく異なる。例えば上述したようにマネックス証券の場合は、取引銘柄数が4,000を超えているがDMM株の場合は、1,000銘柄程度だ(ただし随時追加している)。

そのため取引銘柄数が少ない証券会社では、希望する銘柄が見つからない可能性もある。希望する銘柄が決まっていない場合や頻繁に米国株取引を行いたい場合は、取引銘柄数が多い証券会社で取引を行うことも考えたほうが良いだろう。

為替の変動に注意

株価は、基本的に需要と供給のバランスによって決まる。その株を売りたい人よりも買いたい人が多い場合、株価は上昇し逆に株を売りたい人のほうが多ければ株価は下落する仕組みだ。しかし米国株の場合は、これ以外にも資産価値を変動させる要素がある。それが為替の変動だ。日本円と米ドルの為替相場が変動することで株の資産価値が変わる。

例えば、時価が1,000米ドルの株を110円で購入したとする。この場合に必要な資金は、1,000米ドル×110円=11万円となる(計算例のため、手数料などはないと仮定)。同米国株を同じ時価となる1,000米ドルのときに売却し売却日の為替レートは100円だったとしよう。この場合、売却で受け取る資金は、1,000米ドル×100円=10万円となる。

株価が購入時よりまったく変動していなかった場合でも為替変動により10万円も損することになるのだ。このように米国株に投資する場合は、常に為替リスクについても留意する必要がある。

税金に注意

国内株式の場合、株の売却益が出たり配当金を受け取ったりすると税金が課される。これは、米国株を売却した場合なども同様だ。米国株を売却した場合は、米国ではなく日本で税金が課される。そのため国内株式も米国株式も売却益(譲渡益)が出た場合の税金の計算は、同じだ。譲渡益に対して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%)の税金が課される。

ここで注意したいのが、売却益(譲渡益)を計算する際には、米ドルから円に換算する必要があるということだ。また確定申告についても国内株式と同様の取り扱いとなるため、源泉徴収ありの特定口座で取引している場合、原則確定申告は不要。配当金は、外国で税金が源泉徴収されたのち、日本でも源泉徴収され差額を受け取ることになる。

そのため、確定申告は不要だが二重課税となるため、確定申告をして外国税額控除を受けることも可能だ。その際には、配当金を米ドルから円に換算する必要があるので注意したい。

米国株へ投資する場合は、自分に合った証券会社を選ぼう

米国株は、市場が成長し続けていたり高配当であったりするなど国内株式と比べて魅力の多い投資商品の一つだ。米国株は、国内の証券会社で取引することが可能だが証券会社によって取引手数料や取扱銘柄数が異なる。

米国株の取引をする場合は、事前に証券会社の情報を取得し自分に合った証券会社を選ぶようにするとよいだろう。