近年は、SDGs関連テーマの認証マーク(認証制度)が増えています。こういった流れのなかで「よく見かけるけど、このマークの意味って何?」と感じるシーンも増えているのではないでしょうか。

本稿では、SDGs関連テーマの主な認証マークの意味と背景を解説します。これを機会に認証マークの知識を増やして、持続可能な社会に役立つ商品選びに役立てましょう。

農産物や加工食品などでよく見かけるSDGs関連テーマの認証マーク

「SDGs関連テーマの認証マーク」6選 よく見かけるけど、これって何?
(画像=Renan/stock.adobe.com)

FSC(森林管理協議会)認証®:世界中の持続可能な森林を守る

「SDGs関連テーマの認証マーク」6選
引用〈画像〉:森永乳業公式サイト

グリーンに木をあしらった「FSC認証」は、よく見かける認証マークの1つではないでしょうか。森を守る認証制度として世界的に知られています。この認証の母体である非営利団体FSC(森林管理協議会)では、持続可能な責任ある森林管理のための10の原則と70の基準を定めています。

FSC認証では、「原料、加工、流通に関わるすべての組織が基準に合っている」と認められた森林資源を使っている製品のみFSCラベルの利用を認めています。なお、FSC認証の審査・発行はFSCが直接行うのではなく、独立した第三者の認証機関(ASI)が担当しています(下記の図を参照)。

「SDGs関連テーマの認証マーク」6選
引用〈画像〉:WWFジャパン「森を守るマーク 森林認証制度FSC®について」

FSCラベルの付いた商品の一例としては、森永乳業のアイス「MOW(モウ)」では、パッケージにFSC®認証紙を使っているため、FSC認証を使うことができます。ユーザーは、FSC認証マークの付いたアイテムを選ぶことで間接的に森林保全に参加することができるのです。

レインフォレスト ・アライアンス認証:持続可能な農業や森林を目指す

「SDGs関連テーマの認証マーク」6選
引用〈画像〉:レインフォレスト ・アライアンス公式サイト

グリーンのカエルが個性的なレインフォレスト ・アライアンス認証は、使われるシーンによって意味が変わってきます。

例えば、農産物製品に使われている場合は、レインフォレスト ・アライアンスが定めた持続可能な農業基準などに適合したものであることを示します。

また、紙や段ボールなど原料が森林由来の製品に使われている場合は、前項で解説したFSC(森林管理協議会)の認証を受けた森林から原料などを調達していることを示します。
※レインフォレスト ・アライアンスはFSCの設立メンバーです。

形のあるものだけでなく、ホテルやツアーなどの観光業にもレインフォレスト ・アライアンス認証は利用されています。持続可能な観光基準の認証を受けている場合はカエルマークの利用が可能です。

「なぜ、マークがカエルなのか?」について、母体の非営利団体レインフォレスト ・アライアンスは「カエルは、科学者からは生物指標と呼ばれており、カエルの健全な生息個体数は健全な環境を指し示します」と公式サイトで解説しています。

RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議):持続可能なパーム油の農園を広げる

「SDGs関連テーマの認証マーク」6選
引用〈画像〉:エスビー食品プレスリリース

RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)は、環境や社会に配慮したパーム油(アブラヤシ)農園を認証する団体です。なぜ、パーム油という特定製品へのアプローチが必要なのでしょうか。これについては背景の解説が必要でしょう。

近年、東南アジアのパーム油の農園開発が世界的に問題視されています。農園開発のために熱帯雨林を伐採することで野生生物の絶滅リスクを高めているのです。同時に、伐採された木々などが燃やされることで温室効果ガスが膨大に発生していることも懸念されています。

それだけではありません。さらに、生産国であるマレーシアやインドネシアなどの農園で働く人々への深刻な人権労働問題も指摘されています。このようなSDGsに逆行しているといえる状況を変えるためにRSPOは「持続可能なパーム油が標準となるよう市場を変革する」ビジョンを掲げて活動しています。

有機JASマーク:日本国内の有機農産物・加工物を管理する

「SDGs関連テーマの認証マーク」6選
引用〈画像〉:農林水産省食料産業局「有機食品の検査認証制度について」

こちらもよく見かける認証マークの代表でしょう。「有機JASマーク」は農林水産省(農林水産大臣)が管理する認証です。生産農家や加工食品の製造業者が「有機の生産基準(有機JAS規格)」を満たしていることを示します。

具体的には、下記の3つにあてはまるものが国の決めた有機農産物の生産定義(原則)となっています。

  • 化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本とする
  • 土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させる
  • 環境への負荷をできる限り低減した環境で生産する
    引用:農林水産省食料産業局「有機食品の検査認証制度について」
    ※一部文言を編集

ちなみに、国内では有機食品の検査認証を受けていなければ、農産物・畜産物・加工食品のネーミングや表記で「有機」や「オーガニック」という言葉は使えないと法律で決まっています。

水産物でよく見かけるSDGs関連の認証マーク

MSC(海洋管理協議会)認証:「ずっと魚がとれる海」を守る

「SDGs関連テーマの認証マーク」6選
引用〈画像〉:MSCプレスリリース

MSC(海洋管理協議会)の認証である「海のエコラベル」は、持続可能性のある漁業(天然水産物)を認証するマークです。国連食糧農業機関(FAO)などが定めた最高レベルの要求事項をクリアする漁業の認証です。

この「海のエコラベル」をスーパの売り場や日常的に買う商品で見たという人も多いでしょう。例えば、イオンのPB(プライベートブランド)「トップバリュ」では数多くのMSC認証商品を販売。焼きたらこ、塩紅鮭、赤魚の煮付けなどが並びます。

店舗によってはMSC認証商品を集めた特設コーナーもあるようです。ほかにも、コープ(日本生協連)などでもMSC認証のPB商品が扱われているようです。

「SDGs関連テーマの認証マーク」6選
引用〈画像〉:イオン「トップバリュ」公式

認証の流れとしてはMSCが科学的根拠に基づいた規格を設定。それに基づき生態系に与える影響などを第三者機関が審査しています。なお、MSCでは定期的なDNA検査などによって「海のエコラベル」の信頼性を担保しています。

ASC(水産養殖管理協議会)認証:環境負荷の少ない養殖漁業を推進する

「SDGs関連テーマの認証マーク」6選
引用〈画像〉:WWFジャパン公式

ASC(水産養殖管理協議会)認証は、同じ漁業でも養殖漁業に関する認証です。養殖漁業は天然水産物を守るためにも重要な産業です。とくに今後、世界の人口が増えることを考えると、養殖漁業の生産量拡大は必須といえるでしょう。

なぜ、養殖魚に認証が必要かというと、生産する会社や現場の意識が低いと、海を汚したり、ほかの生態系に悪影響を与えたりするからです。また、そこで働く人への人権・労働問題もあり得ます。

このような養殖漁業の悪影響へアプローチするのがASC認証です。以下の基準が定められています。

  • その国や地域の法律などを守って生産すること
  • 自然生息地や地域の生物の多様性を守ること
  • 水資源や水質の保全を行うこと
  • 適切な労働環境にすること など
    参照:ASC公式サイト

SDGsに関わるテーマの認証を知れば、買い物体験が変わる?

SDGs関連テーマの認証の意味を知ってから行きつけのスーパーを訪れると、いつもと違う光景があるはずです。例えば「これは持続可能な社会に役立つ材料を使っているんだな」「ほかのメーカーより少し高いけれど認証のあるほうを選ぼう」といったように、いつもと違う感情が生まれてくるかもしれません。

(提供:Renergy Online



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