本記事は、藤本誠之氏の著書『株は社長で選べ! コロナ継続・収束問わず確実に勝ち続けるたった一つの株式投資術』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
世界のバフェットが初めて買った…。日本株こそ今は狙い目!
今年、「いやー、びっくりしたなぁ!」というのが、2020年8月31日、ヤフーニュースのトップに躍り出た「ウォーレン・バフェットが日本株を初買い!」の一報。「株の5%超え取得ルール」の届け出るタイミングで、自分で発表したようです。
投資先は、日本の5大商社である伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅。一年以上かけてコツコツ買い集めてきたようで、今後も各社の株を9.9%まで買い増す可能性もあるとか。日本の証券関係者が、興奮して沸き返ったのは、言うまでもありません。
ウォーレン・バフェット氏は、アメリカの投資会社バークシャー・ハサウェイのCEO。個人資産は世界一ともいわれていて、一代でその資産を築いたのは、投資によるもの。「投資の神様」とも崇(あが)められています。
彼の投資スタイルは、「いい会社を安い時に買う」。いわゆる、ファンダメンタルとチャートを両方にらんでの売買です。
総合商社とは「ラーメンからミサイルまで」扱う商社で、日本固有のスタイルの企業です。バフェット氏は「海外の会社は自分で判断できないから買わない」が原則のようですが、商社のPER(株価収益率)は一桁台で、PBR(株価純資産倍率)は1倍未満と、純資産を下回る割安状態を見て、「これは安い!」と思ったようです。
商社っていろんなことをやっているから、よくわからない会社だと思っていましたが、実は取り扱い商品の多くが資源にかかわるものですね。石油とか石炭とかLNG(液化天然ガス)とか。これは、ほとんど資源株といってもいいくらい。
バフェット氏は、これから資源は上がると思っているんです。今はまだ安い。資源株が安かったのは、コロナで世界経済が低迷していたので、供給は変わらないのに、需要は激減したから。資源株の原油株も下がった、という形です。
下がったものは、どこかで上がってくるので、ここから経済が回復していけば資源が上がる。商社は資源関連のビジネスを手広く行っているので、株も上がっていくのではないか、と思っているのではないでしょうか。
ウィズコロナの投資というところで、世界の投資家が〝日本株の価値に気づいた!〞というところでしょうね。
コロナの対応についても、日本は法律で決めたわけではなく、自主的にほぼロックダウンしたのですが、みんな従いましたよね。中国では共産党が決めて、違反した人はみんな逮捕されました。アメリカやヨーロッパ諸国とかも外出禁止で、家から出たら逮捕されるという構図です。
けれども日本は要請(簡単にいえば、行政からのお願い)だけでした。法律ではなかったんです。なのに、日本人はしっかり守って、ほとんどの人は家にいました。安全・安心な社会です。自慢気に「民度が高い」と言った政治家もいました。
2020年の3月くらいは、コロナウイルス感染症対策で海外から不信感を持たれていました。それは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の対応でうまくいかなかったから。乗客にコロナ感染者がどんどん増えて、日本に対して若干不安感を抱いたと思うのです。
その頃は、ロンドンの市長が「オリンピックはロンドンでやれば」とか言ってたじゃないですか。日本なんて信じられないから、欧米人の考えで、自分たちでやればもっとうまくやると言ってたんですが。
その後のヨーロッパ諸国の感染拡大は、目を覆うようなものでした。自国に比べ、「お願いベース」で感染拡大を食い止める日本を再評価したはずです。
コロナ禍は、バフェット氏に約90年の生涯で初となる行動を取らせただけでなく、世界中で未曽有(みぞう)の影響を及ぼしました。現在進行中の影響もまだまだあります。そんな中で、企業の株取引にも大きな影響が。
この章では、コロナ禍で、実際にどんなことが起きているのかを紹介していきたいと思います。それを通じて、どんな業界・企業に望みがあって、逆に望みがないのはどんな業界や企業か。「えー、そうだったの!?」というような、意外性のある話もあります。
前から気になっていた業界の株に、投資のチャンスが来ているかもしれませんよ。