本記事は、藤本誠之氏の著書『株は社長で選べ! コロナ継続・収束問わず確実に勝ち続けるたった一つの株式投資術』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
「株は社長で選べ!」は精神論ではない。非常にロジカルに説明がつく
「なんで株を買うのに〝社長で選べ〞ですか?」
これ、株式講演会などで、毎回のように聞かれる質問です。答えはカンタン。株価に圧倒的に大きな影響力を及ぼすのが、社長だからです。
日本一上場企業の社長さんに直接会って、インタビュー取材してきた僕だけが言える株価の秘密です。
コロナ禍で直接対面取材の機会が減っていますが、ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの番組取材を通して、僕自身は以前と変わりなく直接対面取材を続けています。
直接会ってわかることは、えもいわれぬオーラとか、みなぎる自信とか、もちろんオーデコロンとか(笑)、画像データからは読み取れない部分もよく伝わってきます。中には取材時に葉巻を吸う経営者もいますよ。
実際にコロナ禍でも株価が好調な企業は、社長が優れた経営をしたところです。
世界的なコロナウイルスの蔓延(まんえん)で、社会常識が、ちゃぶ台返しのように変わりました。
一例を挙げると、会社に行って働くことが当たり前だったのに、突然「在宅ワーク」が推奨されたこと。「在宅ワーク」なんて、Yahoo!ニュースに出てくる先進IT企業がやることと思っていた、というのが8割方のサラリーマンの本音でしょう。
なんの準備もなかった多くの企業が、テレワーク対応に右往左往しました。「会社=働く場所、家=休む場所」という常識が覆されたのです。
こんな激変を強いたコロナ禍に見舞われた社会でも、好調な業績を上げ続ける企業の社長に共通するのは、チャレンジ精神が旺盛なこと。
「在宅ワーク推奨なら、この際出張もテレワークにしてみたら?」とか、「オフィスに来なくても支障なければ、電車の定期代の代わりにテレワーク補助を出そう」など、新しいことに取り組む社員を積極的に後押しする。出張の交通費が減るのも、定期代がいらなくなるのも、大きな経費削減のチャンスです。
〝ピンチはチャンス〞と捉えられる社長は強いです。
もちろん、チャレンジをどんどんするわけですから、失敗も多いかもしれません。それでも、未曽有(みぞう)の社会現象に立ち向かうガッツがあるわけで。こんな社長は伸代(のびしろ)が大きいです。
同じチャレンジ精神持ちでも、平社員だとできる規模はたかが知れています。日本の企業では、仕事の守備範囲が狭く設定されているので、平社員では失敗した際の引き際もタイミングが悪くなりがちです。撤退しようにも社内稟議(りんぎ)を通してからとか、ハードルがいくつもありますから。
一方、これが社長なら話は全然変わってきます。大きく勝負できますし、失敗の際の撤退ポイントを自分で決められるので、素早く撤退して、ダメージを小さく収めることも可能です。
もちろん、成功した際には追加施策やダメ押し作戦も機動的に投入可能でしょう。ピンチに陣頭指揮を取る社長の会社は、株価が期待できます。
会社の規模はむしろ大きくないほうがいい
ここで一つだけ注意点があります。
社長がチャレンジ精神を発揮できるのは、会社の規模があまり大きくないことが条件です。時価総額が、100億円〜500億円くらいの規模であれば、社長の発言や行動、意思決定が会社の経営や方向性に大きく影響を及ぼせるからです。
時価総額とは、「発行済株式数×株価」で算出したもの。「株式時価総額」のことです。その会社の現在の価値といってもいいかもしれません。会社の規模が大きくなるほど、時価総額も大きくなります。
計算するのは大変なので、「Yahoo!ファイナンス」などの株価情報を見てみましょう。「参考指標」などのページに、「時価総額」として上がっています。
ところが、時価総額が5000億円を超えてくるような、東証一部上場で社員数千人もいる会社となると、社長の影響力というよりは、組織の力になってきます。
時価総額は、証券会社のサイトなどでも確認できます。
もちろん、巨大企業になっても影響力が大きい別格の社長さんもいます。
ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正さんや、ソフトバンクグループの孫正義さんなどは〝個性派有名社長〞でしょう。彼らは、今後も大きな影響力を保ち続けると思っています。