デザイナーズマンションは、デザイン性に優れており最新の設備が整っているため、周辺物件と差別化できるとして人気です。しかしオリジナリティーやこだわりが強いなどのデメリットもあります。そこで本記事では、デザイナーズマンションの特徴についてメリットやデメリットなどを投資のポイントを交えながら解説します。デザイナーズマンションへの投資を検討している人は、ぜひご一読ください。
デザイナーズマンションとは
デザイナーズマンションには、明確な定義はありません。しかし一般的にデザイナーズマンションとは「建築家が建物の外観や内装に工夫を凝らした斬新的で個性的なデザインのマンション」といわれています。日本初期のデザイナーズマンションは、近現代建築の祖といわれる前川國男氏によって、1958年に建設された晴海団地高層アパートです。その後、バブル期(1986~1991年ごろ)に若者や富裕層など幅広い層に注目を集めました。
またマンションだけでなくデザイナーやプランナーが通常の物件にはないこだわりを内装や設備、壁紙などに加えた物件をデザイナーズ物件と広く呼びます。
デザイナーズマンションの特徴
デザイナーズマンションの特徴は、一言で表現できないほどそれぞれに個性的です。究極まで美しさをこだわった物件もあれば外観と機能性を両立させている物件もあります。見栄えの美しさにこだわりぬいたデザイナーズマンションは、居住性にとらわれることなく自由な発想を持った独特や室内空間が実現可能です。
既存の価値観を打ち破った大胆な間取りや素材の使用しデザインそのものに高額な費用をかける特徴があります。建築そのものだけでなく設備面でも室内照明やドアノブなど細部にこだわりをもたせたオーダーメイドのものもあります。外観と居住性を両立させているデザイナーズ物件は、床や壁など統一された素材を用いデザイン費用を抑えている点が特徴的です。
またワンポイントとして外装や内装にこだわりをみせることでデザイナーズマンションとして他の物件との差別化をしているものもあります。
デザイナーズマンションへの投資メリット
デザイナーズマンションとは何なのか、基本的な特徴が理解できたところで次はデザイナーズマンションに投資するメリットについてです。代表的な4つのメリットを解説します。
家賃を高く設定できる
一般的なマンションと比べてデザイナーズマンションは、家賃を高く設定することが可能です。外観や内装の特色は、マンションに付加価値を与えるため、周辺相場よりも高い家賃設定をしつつ入居率も高めることが期待できます。「スタジオ兼住まいとして活用したい」「他の人と同じような物件に住みたくない」などデザイナーズマンションへのニーズは人それぞれです。
入居希望者のニーズや感性にマッチしたデザイン性の高い物件を適切な立地で提供できれば比較的容易に家賃を高く設定できます。オーナーにとっては、投資の面でもデザイナーズマンションが狙い目の物件といえるでしょう。
普通の物件にないオリジナルな魅力がある
一般的な物件にはない「この物件にしかないオリジナルな魅力」が伝われば長期賃貸だけでなく売却時にも有利な投資戦略が可能です。客付けや入居付けでデザイン性や物件のこだわりが強みとなるため、不動産の相場に左右されない点は、デザイナーズマンションの大きなメリットです。
若者や女性への訴求力が強い
デザイナーズマンションは「入居者の選別」という観点からも有利です。特にライフスタイルにこだわりのある若者や女性に強い訴求力があります。SNSで注目されることを理由として北欧スタイルやアメリカンスタイルなどのインテリアの雰囲気とマッチする物件も人気です。
入居者の属性が高い
デザイナーズマンションには、入居者を選別するうえでもメリットがあります。そもそもデザイナーズマンションを選ぶ入居者は、一般的に属性が高いため、家賃滞納や近隣トラブルの可能性が低い傾向にあるからです。建物の希少性だけでなく、質の高い入居者を確保できる傾向が強いため、オーナーとして安心してマンション経営ができます。
入退去のランニングコストが少なくなる
「コンクリート打ちっぱなし」は、デザイナーズマンションの代表名詞ともいえる造りです。しかし実は洗練した見た目だけでなく外壁やコンクリートの内側に立てるボードやクロスなどを使用しないため、入退去のランニングコストが少なくなるというメリットもあります。またデザイナーズマンションを選ぶ入居者は、物件そのものの外観や雰囲気に一般的なマンションにはない魅力を感じて入居する人が多いため、長期入居が見込めます。
そのため物件周辺の環境変化に影響されにくく一度借りたら長期間住み続けてもらえる可能性が高い点が特徴的です。
デザイナーズマンションへの投資デメリット
デザイナーズマンションへの投資には、デメリットもあります。気をつけるべき代表的な4つのデメリットを解説します。
物件価格が比較的高め
一般的なマンションと比較するとデザイナーズマンションの物件価格は高額です。デザインの専門家へのデザイン料だけでなく設備や工事なども奇抜で独特となるため、かかった費用の総額が物件価格に反映されます。採算面よりもデザイン性を優先すると効率の悪い間取りや施工もいとわないことも少なくありません。
同じ企画や仕様で建築される一般の区分マンションと比較すると価格が1.3~1.5倍ほど高くなる点も特徴的です。物件価格が高い分、家賃価格を高くできることはメリットですがコストパフォーマンスや利回りの観点からは、通常のマンションと比較すると悪くなる可能性があります。
住み心地が悪い場合がある
デザイナーズマンションの中には、デザイン性は優れていても居住性や機能性が悪い物件もあります。例えば高級な素材を使っている設備は劣化時の補修で高額な費用が必要な物件や個性を重要視しすぎたことで使いやすさを度外視している物件などです。特にデザイナーズマンションは家族で生活するには向いていない物件ともいわれます。
外観の良さだけでなく「長く心地よく住み続ける」住みやすさの観点からも物件の見極めが必要です。
躯体の劣化リスクがある
壁や床がコンクリート打ちっぱなしの物件は、クールで洗練された雰囲気がありますが劣化に伴いリスクが生じる可能性があります。コンクリートがむき出しとは、つまり建物の躯体が外部にさらされている状態のことです。外装のコンクリートむき出しのマンションは、内部に雨水が侵入したり膨張して亀裂が生じたりする危険性があります。
また室温や湿度のコントロールも難しく管理面でのリスクへの配慮が必要です。築年数がある程度経過したデザイナーズマンションは躯体に損傷や劣化がないか、その状態に注意しましょう。
エリアによって需要が限られる
デザイナーズマンションのニーズは、エリアによって差異があります。例えば東京でも港区や世田谷区などのエリアは高い需要が見込めますが首都圏から少し離れたエリアは入居希望者がぐっと減る可能性があるでしょう。そのため収入に余裕がある富裕層に人気のあるエリアや感度の高い若年層が多いエリアなど立地による絶対的な需要数の考慮が極めて重要です。
デザイナーズマンションへの投資ポイント
最後にデザイナーズマンションに投資する際のポイントを紹介します。
立地やターゲットを絞る
デザイナーズマンションは、万人受けする物件ではないため、立地や入居者を絞り込みがポイントです。例えば都内の富裕層の多いエリアや安定収入が見込める大企業から駅近のエリアなどは、立地とターゲットの相性が良いでしょう。物件のデザイン性だけでなく「そもそもデザイナーズ物件の需要のあるエリアか」「入居者が長く物件に住んでくれるような環境か」についてのチェックも大切です。
デザインだけでなく機能性にも配慮する
デザイナーズマンションは「デザイン性を優先するあまり住みにくい」という声もあります。「長く住む」「快適に毎日を過ごす」といったことを両立するためには、機能性の観点も考慮して設計された物件でなければ建築の本来の役割をはたしているとはいえません。
例えば「見た目を重視しすぎたあまりに収納が少ない」「家事がしにくいコンロの配置」といった物件は、入居者を限定してしまうため注意が必要です。投資をする際には、見栄えだけでなく「機能性にも配慮しているか」についても確認しておきましょう。
物件の差別化ポイントを明確にする
物件の施設やデザインにこだわりすぎると建築コストが割高になります。そのため「物件の差別化ポイントが利回りや投資対効果として適切か」についての見極めが重要です。
修繕コストを見極める
メンテナンスのしにくい設備やデザインは、修繕コストが高額になります。壁紙や床材など少しの工夫でコストを抑えられるケースもあるため、本当に必要な部分にお金をかけられるようメンテナンスや維持費の観点からもコストを事前に試算しておきましょう。
まとめ
今回は、デザイナーズマンションへの投資に関してメリット・デメリットや投資のポイントなどを解説しました。デザイナーズマンションは、建物や室内の見栄えがよくオリジナリティーのあるライフスタイルを送りたい一定の層への高いニーズが期待できます。需要の高いエリアにターゲットを絞り入居者の感性とマッチする物件をアピールできれば家賃を高く設定することも可能です。
また長く住んでもらうために機能性にも配慮することで安定的に高い家賃収入を得ることが期待できるでしょう。
(提供:YANUSY)
【あなたにオススメ YANUSY】
・「財産債務調書」を提出している人は財産が○億円以上!
・ポスト港区!? 次に富裕層が住み始めるセレブ区はここだ!
・【特集#04】こんな領収証ならバレない?私的支出を経費にしたときのペナルティ
・固定資産税の過払いが頻発…還付を受けるための3つのポイント
・資産運用としての不動産投資の位置づけ