スマートグリッドの基本的な仕組みと使用される技術

スマートグリッドの大きな特徴としては、「双方向的な電力供給・情報共有」と「発電量や供給量の柔軟な調整」の2点が挙げられる。では、スマートグリッドの導入を進めるために、どのような技術が利用されているのだろうか。

次世代の電力量計「スマートメーター」

ひとつ目の技術として、電力の消費予想を立てるための「スマートメーター」が挙げられる。スマートメーターとは、通信機器やマイクロコンピューターを埋め込んだ次世代の電力量計のことだ。

スマートメーターを導入した電力網では、電力使用量の計測や消費量データの検知が可能になる。また、スマートメーターには供給量の制御機能も備わっているため、集めたデータを電力会社に送信する機能と組み合わせることで、必要なところに必要な分だけ電力供給するシステムを実現している。

電力を管理する3つのシステム

電気エネルギーを最適化するには、電力網や発電所のシステムだけではなく、供給される側の電力を管理するためのシステムも必要になる。そのため、スマートグリッド化が進められている地域では、以下のシステムの導入も予定されている。

○電力を管理するシステム

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ちなみに、上記の3つとコントロールセンターを結んだ仕組みは、「CEMS体制(Community Energy Management System)」と呼ばれている。スマートグリッドの導入を進めている地域は、このCEMS体制を広げてひとつの「スマートコミュニティ」を作り上げることを目指している。

スマートグリッドを導入する3つのメリット

では、スマートグリッドが実際に導入されると、その地域の電力供給システムにはどのようなメリットが生じるのだろうか。細かく見るとさまざまなメリットが考えられるが、以下では地域に与える影響が特に大きいメリットを中心に紹介していこう。

1.効率的かつ安定的な電力供給が可能になる

スマートグリッドが導入されると、需要に合わせて電力の供給量を調整できるため、電力供給の効率性や安定性が高まる。例えば、電気消費量の減少のデータが企業や家庭から電力会社に送られてきた場合、電力供給を減らし過度な発電量を抑えることができる。

また、スマートグリッドでは余剰電力をほかの建物に回すこともできるため、導入範囲が広いほど供給の効率性・安定性はアップしていく。

2.停電などのトラブルが発生しにくくなる

安定した電力供給により、停電をはじめとしたトラブルを抑えられる点もスマートグリッドのメリットだ。もともと日本は停電が発生しにくい環境だが、スマートグリッドによって発電や送電、蓄電が効率化すると、停電のリスクをさらに抑えられるようになる。

また、システムに不具合が生じた場合の電力復旧がスムーズになる点も、スマートグリッドを導入するメリットのひとつだ。「地震大国」と呼ばれる日本において、発電・送電をスムーズに復旧できる体制を整える意味合いは大きい。

3.再生可能エネルギーを活用できる

スマートグリッドを活用すると、太陽光発電システムや風力発電システムともスマートコミュニティを築けるようになる。これらのシステムによって発電した電力を効率的に供給すれば、再生可能エネルギーによって「地産地消」を実現することも可能だ。

天候の問題でスムーズに発電できなかったとしても、不足した電力は発電所から供給すれば問題ない。つまり、スマートグリッド化は再生可能エネルギーの活用につながるため、日本全国で導入が進めば環境対策としての効果も期待できる。