日本では長らく超低金利が続いており、銀行に預金をしていてもお金は増えないというのはすでに一般常識となってしまっています。しかし、世界に目を向けると日本とは比べ物にならないような高金利の国もあるため、それなら日本ではなく外国で資産運用をすればお金が増えるのではないかと考えるのは自然なことです。

事実、こうした国々が高金利であることを利用した外貨預金や外貨建て投資信託、FXの買いポジションなどへの投資を推奨する意見もあります。

しかし、こうした高金利通貨での運用は長期投資であることが前提となっていることが大半です。長期目線の投資で注意したいのは、高金利国がいつまでも高金利国であるとは限らず、さらにいえば同じ投資環境が続くとも限りません。

そこで当記事では、高金利通貨での運用をお考えの方に向けて、これまでに高金利通貨と呼ばれてきた通貨の変遷や「その後」を解説し、これからの見通しや投資判断の参考にしていただける情報、注意点などをご提供します。

日本とは別世界、「高金利通貨」の世界

「高金利通貨」に異変アリ、外貨預金やFXをお考えの方はご一読を
(画像=fovito/stock.adobe.com)

銀行の窓口やネット上などで、金利が10%近く、もしくはそれを超えるような外貨預金の広告を目にしたことはあるかと思います。そんなに金利が高いのであればやってみよう、と一度は考えた方も多いのではないでしょうか。こうした外貨預金商品は、キャンペーン金利や短期間にのみ適用される金利であり、「カラクリ」があることも多々あるのですが、それを差し引いても魅力的な金利であることに変わりはありません。

高金利の外貨預金でよく目にするのが、南アフリカの「ランド」やトルコの「リラ」といった新興国の通貨です。これに準じるものとしてオーストラリア・ドルやニュージーランド・ドルといったオセアニア諸国の通貨を目にすることもあります。

FXの世界でも高金利通貨の定番といえば南アフリカの「ランド」やトルコの「リラ」、メキシコの「ペソ」などです。いずれにしても新興国通貨が多いということで共通しています。

高金利通貨投資の勝ちパターンとは

外貨預金やFXなど、高金利通貨への投資では高い金利を資産増につなげるのが基本的な勝ちパターンです。日本国内だと1%をはるかに下回るような金利しか望めませんが、高金利通貨であれば年利5%、10%といった利回りも珍しくありません。単純に利回りが10%だとすると100万円が1年後には110万円になるので、その大きな効果を実感できると思います。

実際には多くの投資家が期待通りのリターンを得ていない事実

日本とは別世界ともいえるほど金利の高い通貨で運用をすることで、特に何もしなくても投資家は5%、10%といった高い金利収入を手にすることができるのが勝ちパターンですが、これには1つの条件があります。

その条件とは、日本円と投資をしている高金利通貨との間の為替レートが不利にならないことです。もちろん投資通貨の価値が高くなり円安が進めば高金利であることに加えて為替差益を手にすることもできますが、逆に円高になると為替差損が発生します。

実はこの構図により、高金利通貨に投資をしている多くの人が期待通りの利益を得られていない現実があります。高金利通貨とされている通貨の大半が新興国通貨であり、新興国の経済にはまだまだ脆弱な部分があります。そのため経済的なショックによって大きく値下がりするリスクがあるのです。
FXではその値下がり幅に耐え切れず、ロスカットといって大きな損失が出てしまうこともあります。

先進国通貨であれば比較的値動きが穏やかで、仮に急落しても回復しやすいため、こうしたリスクは軽減されますが、2021年現在ではコロナショックの影響もあって先進国通貨はいずれも低金利です。かつてオセアニア諸国の通貨が高金利通貨といて人気を集めていましたが、オーストラリア、ニュージーランドともに金融緩和によって金利が引き下げられ、高金利通貨とは呼べない水準になっています。

今や高金利通貨と呼べるのはほぼすべてが新興国通貨となっており、この脆弱性を「些細なこと」と片付けてしまうことはできません。

高金利通貨投資のカラクリと注意点3つ

長期的な視野で高金利通貨に取り組む方に向けて、そのカラクリと注意点を解説します。投資をする前に、ここで解説する注意点をしっかりと留意しておいてください。

①高金利通貨は永久に高金利ではない

金利は「水物」です。その国の経済情勢や政策によって金利は変動するため、今が高金利であるとしても、それが未来永劫続くことが保証されているわけではありません。かつて高金利通貨としてもてはやされていたオーストラリア・ドルについてもRBA(オーストラリア準備銀行)の総裁がマイナス金利の可能性に言及するほどの低金利となっており、高金利だった当時の面影はありません。

面影がないのは日本も同じで、かつては日本にも高金利だった時期があります。こちらは、1990年から2020年までの金利推移です。

出典:主要時計データ閲覧(日本銀行)
出典:主要時計データ閲覧(日本銀行)

2000年以降からはほぼゼロに張り付くような低金利となっていますが、それまでは4%や6%、さらには8%を超えていた時期もあります。バブル景気が終了し、その後にもまだバブル当時の影響があったので高金利を維持していましたが、やがて不景気の波が押し寄せて低金利となり、以後はそれが定着しました。

このように各国の金利は常に変動しており、未来永劫同じであることはないので、高金利通貨がいつまでも高金利であるわけではないことを押さえておいてください。

②新興国の通貨は下落するリスクが高い

すでに述べてきているように、新興国の通貨はその経済が脆弱であるせいもあって為替相場が不安定になりがちです。上昇する可能性もありますが、その逆に下落するリスクもあります。

その国が先進国ではなく新興国に分類されていることには、やはり理由があります。周辺に地政学リスクを抱えていたり、近代化が遅れたせいで経済の脆弱性が残っていたりと、こうしたリスク要因に一度火がついてしまうと通貨が暴落する可能性もあります。

それを象徴するような事件に、2018年の「トルコショック」があります。アメリカ人牧師の拘束に端を発した外交問題がトルコ・リラ相場を直撃し、対ドルでトルコ・リラが20%程度暴落しました。

外貨預金やFXなどでトルコ・リラ投資をしていた人は、この暴落で運用資産を大きく毀損してしまったはずです。新興国通貨にはこうしたリスクが付き物であると考えておきましょう。

③インフレの進行によって実質金利は高くない

高金利国の多くは新興国であると述べました。これらの国々が「新興」国と呼ばれていることからもわかるように、これらの国々は経済の高度成長が続いています。景気の過熱感を調整するための金融引き締め策として講じられるのが、金利の引き上げです。

しかし、金利が高いということは利息の支払いも大きくなるため通貨当局からの通貨供給量が増大します。通貨の供給量が多くなりすぎるとインフレが進行するため、通貨の相対的価値が低下します。

つまり、高金利だからといって新興国の通貨を多く受け取ったとしても、高金利であるがゆえに進行してしまうインフレによって通貨の価値が目減りしてしまうリスクがあるわけです。ここにもやはり、新興国であるがゆえに経済の規模がそれほど大きくなく、その不安定さゆえにインフレを誘発しやすい図式があります。

高金利通貨での運用金利は名目金利であって、インフレが進行したときに生じる価値の目減り分を考慮した実質金利ではないところに注意が必要です。これは高金利通貨の運用を推奨している金融機関の問題ではなく、経済の根本的な仕組みによるものです。3つ目の注意点は最も重要なので、長期的な視野で高金利通貨投資をお考えの方は、インフレリスクを十分に考慮したうえで検討するようにしてください。

(提供:Incomepress



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