欧米の若い世代を中心に「FIRE(早期リタイア)」が流行しており、日本でもFIREを目指す人が増えています。給与収入で生活する会社員の場合、「早期リタイアするのは難しい」と感じるかもしれません。
しかし、不動産投資などの副業に取り組めば、会社員でもFIREに到達できる可能性はあります。今回は、会社員がFIREを目指す手段として不動産投資が最適である理由について解説します。
FIRE(早期リタイア)とは
FIREとは、「Financial Independence,Retire Early」の頭文字をとった言葉です。直訳すると「経済的自立と早期退職」となります。
FIREは、数年前から欧米の20~30代の若い世代を中心にムーブメントとなっています。最近では、日本においてもFIREという言葉が聞かれるようになり、早期リタイアを目指す人が増えてきました。
FIREの「まとまった資産を作り、その運用益で生活していく」と考え方自体は、特に目新しいものではありません。しかし、FIREがこれまでと異なるのは、引退して贅沢な生活をすることが目的ではないことです。
FIREを実践している欧米の若者の多くは、シンプルな生活をして生活費を抑えています。忙しく働いてたくさん稼ぐよりも、「自由であること」「自分らしく働くこと」を優先しているのです。
会社員でもFIREは可能なのか
会社員がFIREを目指すには、お金をいくら貯めればよいのでしょうか。FIRE到達の目安としてよく言われるのが、「年間生活費の25倍」「4%ルール」の2つです。年間生活費の25倍の資産を年利4%で運用できれば、運用益だけで生活できると言われています。
たとえば、1ヵ月の生活費が25万円であれば、年間生活費は300万円なので、FIRE達成に必要な金額は7,500万円(300万円×25年)が目安です。もし7,500万円を年利4%で運用すると、1年間の運用益は300万円(7,500万円×4%)となります。
ただし、運用益には課税されるため、実際の手取り額は300万円より少なくなります。また、保有資産をすべて運用に回すのはリスクが高いので、実際にはもう少し大きな資産が必要になるでしょう。
FIRE到達後も自分のペースで働いて一定の収入を得る場合は、年間生活費の25倍より少ない資産でも早期リタイアは可能です。
会社員が給与収入のみで年間生活費の25倍の資産を貯めるのは、高収入でなければ難しいかもしれません。それでも、生活コストを下げた上で副業に取り組めば、会社員でも十分に達成できる可能性はあります。
会社員がFIREを達成するための手段
会社員がFIREを達成するには、以下3つの手段が考えられます。
副業でビジネスを立ち上げる
1つ目は、会社員として仕事をしながら副業でビジネスを立ち上げる方法です。副業がうまくいって給与収入を上回れば、会社を辞めて独立することも可能ですし、その先にはFIREも視野に入るでしょう。
ただし、仕事をしながら新たなビジネスを立ち上げるのは、難易度が高い方法です。「専門分野がある」「ビジネスアイデアがある」といった場合は、チャレンジする価値があるかもしれません。しかし、誰にでもできる方法ではないため、再現性は低いでしょう。
金融商品に投資する
2つ目は、高配当株やインデックスファンド(投資信託)などの金融商品に投資する方法です。FIREに関する書籍では、米国や世界の株式市場をカバーするインデックスファンドに投資する手法が紹介されています。
米国や世界の経済は、短期的には景気が後退して株価が下落する場面はあるものの、長期的には今後も経済成長が続くと考えられます。NISAやiDeCoといった非課税制度を活用しながらインデックスファンドで複利運用を続けることで、資産の拡大が可能です。
また、高配当株に投資して、配当金だけで生活できる状態を目指す方法もあります。
これらは収入の一定割合を投資に回す方法であるため、収入が少ない場合はFIRE到達まで時間がかかります。
不動産に投資する
3つ目は、マンションやアパートなどの収益不動産に投資して、家賃収入を得る方法です。入居者がいれば毎月家賃を得られるので、長期にわたって安定した収入が期待できます。
収益不動産を購入するにはまとまったお金が必要ですが、自己資金で購入できない場合は金融機関の融資を利用できます。また、賃貸管理は管理会社に委託できるので、仕事をしながら副業として取り組むことも可能です。
ただし、空室期間中は家賃が入ってこないので、空室リスクが低い物件を選ぶことが大切です。短期間で大きな利益を得られる方法ではありませんが、収益性の高い物件を選ぶことができれば、安定的に資産を増やせるでしょう。
会社員がFIREを目指すなら不動産投資が最適である理由
FIRE達成のための手段を3つ紹介しましたが、会社員がFIREを目指すなら不動産投資が最適といえます。不動産投資がFIREに向いている理由は以下の通りです。
金融機関の融資を利用できる
毎月の収入から一定額を投資に回す場合、資産が増えるまでに時間がかかります。
しかし、不動産投資は金融機関の融資を利用できるので、少ない資金で大きな金額の投資が可能です。家賃収入からローン返済ができ、返済終了後は家賃がすべて手元に残ります。お金を貯めてから自己資金で物件を購入するより、融資を利用するほうが早く資産を作れるのです。
給与という安定収入がある会社員は金融機関からの評価が高く、自営業者に比べて融資審査に通りやすい傾向にあります。
家賃収入で規模を拡大していける
不動産投資は家賃収入でローンを返済できるので、金融機関の融資を利用できれば、自己資金が少ない場合でも規模を拡大していけます。
ローン返済が進むほど、物件価格(資産)に占める借入金(負債)の割合が小さくなり、純資産(資産-負債)は増えていきます。ローン返済が終わったら、その物件を担保に融資を受けて、新たな物件を購入することも可能です。
収支計画をたてやすい
株式や投資信託などの金融商品は相場の影響を受けるため、将来価格がどのように推移するか予測するのは困難です。
それに対して、不動産投資は入居者がいれば毎月家賃が入ってくるので、収支計画をたてやすい特徴があります。不動産投資では定期的に空室が発生し、保有期間が長くなるほど修繕費もかかります。それでも、空室率や修繕費を考慮しておけば、計画的に資産を増やすことが可能です。
収益が景気に左右されにくい
景気が悪くなっても、人は住む場所を確保しなくてはなりません。そのため、不動産投資は収益が景気に左右されにくい面があります。
景気が悪くなると不動産価格が下落する傾向にあるので、売却すると損失が生じるリスクはあります。ただし、家賃収入を目的に長期保有する場合、不動産価格が下がれば利回りが上がるため、物件を購入する絶好のタイミングと考えることもできます。
賃貸管理を管理会社に委託できる
不動産投資では、物件購入後の賃貸管理を管理会社に委託できます。入居者募集や賃貸借契約、家賃回収、修繕、クレーム対応といった賃貸管理業務のほとんどを任せられるので、仕事をしながらでも不動産投資に取り組めます。
家賃収入は不動産所得として確定申告が必要ですが、自分でやるのが難しい場合は税理士に依頼することも可能です。ただし、税理士に依頼すると費用がかかるので、ある程度の規模になるまでは、なるべく自分でやるほうがいいでしょう。
不動産投資を始める際の注意点
会社員がこれから不動産投資を始める際の注意点をまとめました。
- 基礎知識を身につける
- 物件選びはプロに任せる
- 小さく始める
- 無理な借り入れをしない
まずは関連書籍を読んだり、不動産会社主催のセミナーに参加したりして、不動産投資の基礎知識を身につけることが大切です。
不動産は投資金額が大きいので、失敗すると大きな損失が生じる可能性があります。実際に始めてみないとわからないこともありますが、物件を購入する前に、基本的な仕組みは理解しておきましょう。
収益不動産は個別性が高く、株式のような取引所も存在しないので、初心者が優良物件を見つけるのは簡単ではありません。基本的に物件選びはプロに任せて、複数の不動産会社から紹介された物件を比較検討して投資物件を決めるのがおすすめです。
小さく始めることを心掛け、比較的価格が手ごろな中古マンションなどから始めれば、もしうまくいかなくても損失は限定されます。また、多額の借り入れはリスクを高めるので、無理なく返済できる金額に留めましょう。
会社員は不動産投資でFIREを目指そう
会社員でも、生活コストを下げて副業に取り組むことで、FIREの達成は十分に可能です。不動産投資は安定した家賃収入が期待でき、会社員の信用力を活かせるので、FIREを目指す手段として最適です。早期リタイアして自由に生活したいなら、不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。
(提供:Incomepress )
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