クラウドファンディングでお金を出したりリターンを受け取ったりすると税金の問題が生じることがあるため、注意が必要です。今回は、クラウドファンディングを3つのパターンに分けそれぞれのケースの税金について解説します。

クラウドファンディングには3つのパターンがある

クラウドファンディングでお金を出したときの税金は?3つのパターンを解説
(画像=tashatuvango/stock.adobe.com)

クラウドファンディングには、以下の3つのパターンがあります。

寄附型

お金を出した人に対する見返りのないクラウドファンディングのことです。お金を寄附するだけでリターンがないため、寄附型クラウドファンディングといわれています。

購入型

お金を出すことで何らかのものサービスを受け取れるクラウドファンディングのことです。出したお金は、受け取ったモノ・サービスの対価としての性質があるため、購入型クラウドファンディングといわれます。

投資型

お金を出したことで何らかの分配金を受け取るクラウドファンディングです。投資型は、出したお金が戻って来るか否かで「融資型」「株式型」に分かれます。株式型は、金融商品取引法の規制が厳しいため、融資型が大半です。

寄附型でお金を出したときの税金

寄付型でお金を出したときは、原則税金の処理は必要ありません。なぜなら単にお金をあげただけにすぎないからです。ただし寄附先が次のような法人の場合は、税金の扱いが変わります。

寄附先が公共性・公益性の高い法人なら所得から差し引ける

寄附先が地方自治体や認定NPO法人や公益財団法人、公益社団法人といった公益性・公共性の高い法人の場合は、節税できます。「寄附金控除」という制度を使い「1年間に支払った金額-2,000円」を税額計算のベースとなる所得額から差し引くことが可能です。ただしいくらでも控除できるわけではありません。「総所得金額等×40%-2,000円」が上限です。

なお後述する購入型のうち支払先が地方自治体のものは、この寄附金控除の対象となります。

認定NPO法人や公益社団法人等なら税額控除も

寄附先が認定NPO法人や公益社団法人等であれば寄附金控除ではなく「寄附金税額控除」を選ぶこともできます。寄附金税額控除の場合は、納税額から寄附額の一部を差し引くことが可能です。控除できるのは「(1年間に支払った金額-2,000円)×40%」です。ただし「所得税額×25%」が上限となっています。また公益社団法人等は別途、寄附内容の条件を確認しなくてはなりません。

原則として確定申告が必要

寄附金控除と寄附金税額控除のどちらも確定申告が必要です。ただし地方自治体への寄附は「ふるさと納税」に該当します。正社員や派遣社員といった給与所得者や公的年金の受給者が行ったふるさと納税であればワンストップ特例の手続きを踏むことで確定申告を省略することも可能です。

購入型でお金を出したときの税金

購入型も寄附型と同じく基本的には何ら処理はしません。ただし購入した人の立場や購入目的、購入額によっては税金の処理が必要になります。

事業に必要な購入なら必要経費で計上も

購入した人が個人事業主の場合、購入型で節税できることがあります。なぜなら買った商品を事業用にするなら事業所得の必要経費に計上できるからです。副業に伴う購入でも同じで雑所得を計算するうえでの必要経費に算入できます。ただし支払った金額すべてが経費にできるとは限りません。例えば「5万円を出資してリターンがTシャツ1枚」ならば、Tシャツの通常売価を経費に計上します。

支払った金額と実際に手にした商品のバランスから判断しなくてはなりません。

自治体への購入型は「ふるさと納税」と同じ

購入型でも地方自治体に対するクラウドファンディングは特殊で「ふるさと納税」と同様に扱います。つまり支払った金額は、寄附金控除の対象になるのです。そのため個人事業主の必要経費にはなりません。なお年間の返礼品が生命保険の満期返戻金などとあわせて50万円を超える場合は、一時所得として確定申告が必要です。

投資型でお金を出したときの税金

投資型でお金を出したときは、リターンのお金に注意が必要です。「利息」「配当」という名目で受け取る分配金には、所得税や住民税がかかります。

分配金は「雑所得」

受け取った分配金は「雑所得」となり原則として確定申告が必要です。雑所得は、以下のように計算します。

・総収入金額-必要経費の額=雑所得

総収入金額には、このクラウドファンディングによる分配金を計上します。必要経費には、投資型クラウドファンディングに直接かかった費用を計上します。例えばクラウドファンディングを勉強するための書籍代やセミナー代、通信費や借入金の利息です。この費用は、プライベートにかかった分と区別して計上しなくてはなりません。

給与所得者や年金生活者は確定申告がいらないことも

分配金は、原則確定申告が必要です。しかし正社員や派遣社員、バイト・パートといった給与所得者は不要になることがあります。なぜなら給与所得・退職所得以外の所得、つまり分配金を含めた副業の所得が20万円以下の場合は、所得税の確定申告は不要だからです。ただし所得合計額が20万円以下でも住民税の確定申告は市区町村で行わなくてはなりません。

源泉徴収された税金が還付されることも

分配金は、所得税が20.42%の割合で天引き(源泉徴収)されています。確定申告をすると源泉徴収された税金が一部戻って来る可能性があるため、確認しておくと安心です。

節税も課税も確定申告が必要

クラウドファンディングで節税や課税となっても原則として確定申告は必要です。寄附型や投資型で解説したように確定申告をしなくてもいいケースもあります。しかし医療費控除など何らかの事情で確定申告をするのならすべての所得や控除を申告書に書かなくてはなりません。確定申告の期限は、所得が発生した年の翌年3月15日までです。申告が必要になったら早めに準備を整えましょう。

(提供:YANUSY

【あなたにオススメ YANUSY】
「財産債務調書」を提出している人は財産が○億円以上!
ポスト港区!? 次に富裕層が住み始めるセレブ区はここだ!
【特集#04】こんな領収証ならバレない?私的支出を経費にしたときのペナルティ
固定資産税の過払いが頻発…還付を受けるための3つのポイント
資産運用としての不動産投資の位置づけ