電気料金を削減できるとして注目を集める新電力会社ですが、法人向けサービスの情報はまだまだ限られています。導入する企業も初めてというところが大半であり、どのようなメリットがあるか分からないという担当者の方も多いと思います。

そこで今回の記事では、新電力会社に切り替えるメリットと選ぶ基準、そして代表的な新電力会社を厳選して紹介します。また今後、企業価値を維持させるために必須となる「電源構成」についても詳しく解説します。

新電力会社へ切り替えるメリット

高圧電力切り替え検討者必読 法人向け新電力会社9選
(画像=peterschreiber.media/stock.adobe.com)

新電力会社は、電力小売自由化で市場に新規参入してきた事業者です。自由競争によってさまざまな料金プランが用意され、法人の電気の使い方に適したものを選ぶことができれば電気料金を抑えられます。

また以前は、東京電力や関西電力など別々の管轄内に支店や営業所が分散していた場合、それぞれに電気代の支払いや経理処理を行っていました。しかし新電力会社の中には、広範囲に支店などがあって一括処理できるところもあります。

新電力会社への切り替えは、電気料金や事務処理の人件費など経費削減に大きな恩恵をもたらすのです。

まず電圧区分を確認

法人が新電力会社への切り替えを検討する際は、まず自社の「電圧区分」を確かめましょう。電圧区分は供給電圧によって、特別高圧電力と高圧電力に分けられます。そこからさらに契約電力によっていくつかに分かれます。

この区分によって新電力会社の料金も変わるため、まず自社が必要な電圧などを理解したうえで情報を集めるようにしてください。

電圧区分供給電圧契約電力主な対象施設
特別高圧電力20,000V〜2,000kW〜大規模の工場、商業施設、オフィスビル、病院、学校など
高圧電力(大口)6,000V500〜2,000kW中小規模の工場、ビル、ホテルなど
高圧電力(小口)50〜500kW

※区分は目安であり供給電圧や契約する電力は各社で異なる場合があります

新電力会社を選ぶポイント

新電力会社は2021年3月時点で725社の登録があり、複数の料金プランを用意するところもあるため絞り込みを難しく感じるかもしれません。そこで以下の、3つのポイントに注目して絞り込むことをおすすめします。

自社の経費削減が明確である

多くの選択肢の中から選ぶには、当たり前ですが現状より自社の経費削減が明確であり、しかもその説明がわかりやすい新電力会社を選びましょう。メリットや料金の仕組みの理解が足りないままだと、想定より料金が削減できないなどのトラブルになる可能性があります。

アフターサービスがしっかりしている

新電力会社は新しいところも多く、アフターサービス体制が不十分なところがあるかもしれません。一度契約しても、建物規模を拡大したり営業所を増やしたりする際に、プランの見直しをすることもあり得ます。その際には迅速で丁寧に、相談に乗ってくれるアフターサービス体制が必要です。

過剰な解約条件がない

新電力会社の中には、契約後何年間かは解約できなかったり、解約には高額な解約料がかかったりするところもあります。それでは将来、さらに有利な条件の新電力会社が見つかっても切り替えがしにくくなります。契約の見直しをしやすいように、過剰な解約条件ではない新電力会社を選びましょう。

法人向け新電力会社9選

ここでは法人向けの電力小売り事業を行う新電力会社10社を紹介します。もちろん東京電力など旧一般電気事業者も法人向けの電力小売りをしていますが、すでに知名度もあり既存の契約先としてご存じだと思いますので、ここでは外してあります。より有利な契約先を探すために参考にしてください。

・エネット
エネットはNTTアノードエナジー、東京ガス、大阪ガスの共同出資で設立された新電力会社です。15年という長きにわたり運営され、2021年1月時点で105,000件もの顧客を抱えます。また全国10の旧一般電気事業者のエリアを一括対応できる守備範囲の広さも持っています。

・ENEOS
石油製品の精製や販売などを手がけるENEOSも「ENEOSでんき」として電力小売事業に取り組んでいます。EVやPHVを持ち需給調整に協力すると、実質CO2フリーとなり補助金の対象となるサービスが用意されています。

・九電みらいエナジー
九州電力子会社の西日本環境エネルギーと、キューデンエコソルの事業集約で生まれたのが九電みらいエナジーです。太陽光や風力、地熱、バイオマス、水力など複数の再生可能エネルギーにより発電しています。また過去の使用実績をグラフなどで表示できる「みらいサイトビジネス」も提供されます。

・丸紅新電力
丸紅新電力は、全国に22ヵ所もの丸紅グループが運営する発電所を持つ特定規模電気事業者(PPS)でもあります。2002年の事業開始以来、20年近い安定供給の実績を持ちます。2018年度の販売実績は、業界トップクラスの約260万kWにのぼります。

・出光興産
燃料油や潤滑油、原油輸送などを手がける出光興産では、法人向けの電力供給も行っています。2003年から電力事業に参入しており、高効率の天然ガス発電所から太陽光発電所、さらに国内最大級のバイオマス発電所をも運営しています。

・エバーグリーンマーケティング
エバーグリーンマーケティングは、再生可能エネルギーの発電事業に取り組むイーレックス株式会社のグループ企業です。イーレックスの主力であるバイオマス発電による電力を主に販売しています。FIT電源に非化石証明書を組み合わせることで、CO2排出係数をゼロにするプランも提供しています。

・オリックス
オリックスは、個人や法人向け金融サービス、自動車・不動産関連事業など幅広い事業展開をしている企業です。自社のバイオマス発電所や石炭発電所を運営していますが、環境配慮としてバイオマス燃料を30%以上混焼させ、従来の石炭火力発電所に比べCO2排出量の低減を図っています。

・シナジアパワー
シナジアパワーは、東北電力と東京ガスが出資して設立された電力小売事業者です。商業施設や工場などに高圧・特別高圧の電気を提供しています。出資元である2つの企業の発電所と販路を活用し、主に東京電力の管轄内で電力販売をしています。

・大和ハウス
住宅などの建築メーカーである大和ハウス工業では、太陽光発電所や水力発電所など再生可能エネルギー施設を建設しています。それらと同社の住宅などに設置された、太陽光発電からの非化石証書と電気をセットにして電力販売を行っています。

新電力会社への切り替え手順

実際に東電など旧一般電気事業者から、新電力会社に切り替えるには以下のような手順で手続きを進めます。期間は早くて1ヵ月、長いと3ヵ月程度かかることもあります。特に「①相談」「②見積もりとシミュレーション」を納得するまで行うことが、より適した新電力会社を選ぶために大切です。

①相談
②見積もりとシミュレーション
③申し込み
④契約締結
⑤電力会社切り替え処理
⑥スマートメーター交換
(供給開始後になる場合もあり)
⑦供給開始

再エネ比率の高い新電力会社を選ぶべき

新電力会社を選ぶ際は、どのようなエネルギー源で電力供給を行っているか「電源構成」を必ず確かめましょう。現在は世界的にもCO2削減に向けた活動が活発で、日本国内でも、2030年までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減するという非常に高い目標が掲げられています。

このため法人が自社で取り組むCO2削減はもちろんのことを、今後は使用する電力の供給源にも厳しい目が向けられるはずです。特に旧一般電気事業者を筆頭に、CO2を大量に排出する火力発電の構成比率が高い事業者もあります。

いくら会社の屋根に太陽光発電システムを設置していても、使用する電気がCO2を排出していれば地球環境に貢献している企業とは言えません。新電力会社を選ぶ際は必ず、電源構成を確かめ再生可能エネルギー割合の高い事業者を選ぶようにしましょう。

(提供:Renergy Online



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