エビングハウスの忘却曲線は、人の記憶と時間の関係性を表したグラフである。学習効果を高めるには、記憶のメカニズムを踏まえて計画を立てなければならない。本記事では企業の人材育成とも結びつけて、エビングハウスの忘却曲線の概要やポイントを解説する。
目次
エビングハウスの忘却曲線とは?
エビングハウスの忘却曲線とは、人が忘却するメカニズムを端的に表したグラフだ。ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウス(Hermann Ebbinghaus)が考案したものであり、中長期の記憶や忘却の仕組みを示す参考文献として、現在でも多方面で活用されている。
エビングハウスは1879年から、無意味綴り(意味をもたない文字などの並び)を使った実証実験を始めた。その結果、無意味綴りの長さと学習回数に関数関係が見つかったことから、エビングハウスの忘却曲線は考案されたといわれている。
ビジネスとの関係性
エビングハウスの忘却曲線は、中高生の勉学や資格取得などの学習面に活用されることが多い。記憶定着に有効な復習方法が分かれば、テストや試験までの学習計画を立てやすくなるためだ。
ただし、専門的な知識・スキルが必要になる業界では、ビジネスとの関係性も深いと考えられる。エビングハウスの忘却曲線をもとに最適なカリキュラムを組めば、人材教育のコストや手間を抑えられるかもしれない。
例えば、社内教育や外部のセミナーを受けた後に、エビングハウスの忘却曲線をもとにした復習プログラムを実施すると、効率的にスキルアップを図れる可能性がある。また、経営者や教育担当者自身の学習にも活用できるため、本記事で仕組みや活用のポイントを押さえておこう。
意外と誤解されがち? エビングハウスの忘却曲線の意味
エビングハウスの忘却曲線は、復習にかかる時間を表したグラフである。縦軸は「節約率」、横軸は「時間」を取っており、グラフ全体を見ると反比例の形をしている。
一見すると、時間による記憶量の変化や、忘れやすさを表したグラフに思えるかもしれない。しかし、いずれも正しい認識ではなく、エビングハウスの忘却曲線は「早く復習をするほど、短時間で記憶を取り戻せること」を表している。