本記事は、山岸昌一氏の著書『老けない人は何が違うのか 今日から始める!元気に長生きするための生活習慣』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています
百寿者(100歳以上の高齢者)の長寿の秘訣
●健やかに老いるには「糖化」予防が鍵になる
百寿者(センテナリアン)には、2つの共通する特徴があります。1つは「糖尿病が少ない」こと、もうひとつは「慢性炎症が軽度」だということです。この2つの特徴は、いずれもAGEと関連します。裏を返せば、糖尿病→AGE→慢性炎症→老化という構図がありそうです。
そして、百寿者は、糖の過剰摂取にならないよう、また、調理法や食べ方などを工夫することで、糖化を抑え、老化物質・AGEの蓄積をある程度コントロールできているのかもしれません。
つまり、糖化を予防すれば、百寿者のように健やかに老いていく「ウェルエイジング」を実現できる可能性があるといえます。
高齢者の中には、「私はAGEまみれだから、もう手遅れ」とあきらめる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
今からAGEを増やさない生活を始めても、十分に老化の進行のスピードを抑えることができます。
また、AGE対策は、若い人にもぜひ取り組んでほしい課題です。なぜなら、AGEは不妊のリスクを高めますし、AGEが高いお母さんからはAGEが高い子どもが生まれやすく、その後の子どもの健康状態に悪影響を及ぼす可能性すらあるからです。
●あせらずゆっくりとAGEを減らしていこう
「少年老い易く、学成り難し一寸の光陰軽んずべからず」という、漢詩から出た有名なことわざがあります。
若いうちはまだ先があると思って勉強に必死になれないが、歳月はあっと間に過ぎ去って年をとり、何も学べないで終わってしまう。だから若いうちから勉学に励まなければならない、という意味です。
健康も、全く同じでしょう。食生活をもっときちんとしなくてはいけない。分かっているけれど、ついつい欲望に負けてしまう。まだ若いからいいだろう、そのうち改めよう。そのうち、そのうちと先延ばしにしているうちに、時は矢のように流れて年をとり、気付いたときには全身がAGEにむしばまれ、老化は加速し、さまざまな病気のリスクにさらされることになるのです。
食事に関して、食材はこうしたものを、食べ方はこう、時間帯はここで、などと私が患者さんに言うと、よく次のような言葉が返ってきます。
「先生の言うことは分かるけど、普段からそんな細かい対応はなかなかできないですよ」
でも、本気でウェルエイジング、健康長寿を考えるなら、この「細かい努力や対応」をひたすらコツコツ積み上げていくしかないのです。
考えてもみてください。私たちは、1日たてば1日分、年をとっているはずです。でも、「昨日より、これだけ老化した」とは、誰にも自覚できません。10年、15年たって、昔の写真を見るなどしてはじめて「ああ、老けたなあ」と思い、そういえば疲れが抜けないなあと感じたりするだけです。
見た目でもその程度なのですから、体の老化度の進行を日々自覚することなど不可能でしょう。
AGEにしても、少しずつたまっていって、少しずつ悪さをする。その積み重ねが老化を進め、臓器をむしばみ、病気のリスクを高めていくのです。
何十年と長い時間をかけてじっくり侵食してきた敵(AGE)を、一朝一夕に簡単に撃退させる方法は、残念ながらありません。迎え撃つのも、やはり長期戦となります。食・生活習慣をよりよいものに変えていくことで、少しずつ勝利を重ねていくしかないのです。
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