■ガス発電の現状
一般には知られていないが、日本にはガス会社が建設した発電所が増えつつある。−162℃で液化するLNG(液化天然ガス)は、日本では、輸送用の専用タンカーを持つ商社、ガス会社、電力会社と、別々になっている。ガス会社は、電力会社の小売りエリア外で発電所を建設し、送電する一方、電力会社は、資源購入コストや輸送コストがかさむことからガス発電にあまり乗り気ではないのが現状だ。
もっとも、電力会社同士の提携となれば、話は変わってくる。お互いの資源購入コストや輸送コストを削減することができるからだ。そういうわけで、東京電力と中部電力の提携の話が持ち上がったのである。
■小売部門での問題
しかし一方で、日本経済新聞(2014年10月8日付)によれば、東電側は、小売り市場を荒らされるという危機感も抱いているという。
名古屋を本拠地にする中部電力からすれば、電力自由化後、関東での小売り事業に乗り出すことは、収益拡大に欠かせない。電力価格設定にも自信をのぞかせながら、着々とLNGタンカーの新規保有も進めている。
他方、東京電力の収益の要は東京中心の顧客層だ。できれば収益源である関東はそのままにしておきたいと考えるのは、当然のことだろう。そのため、提携はお互いの火力発電の新設やメンテナンスといった小売り以外の分野に留まる、というのが同社からのアナウンスメントだった。
地域独占の事業体をこれからどうやって自由化の波に乗せて行くのか、課題は尽きない。
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