不動産投資をする中で、家賃設定について以下のように感じたことはないでしょうか。
・物件購入時に提示された空室の想定家賃が妥当か不安
・空室が発生したが、募集家賃をいくらに設定すべきか分からない
・既存入居者との契約更新時に家賃を上げる交渉をしたい
家賃設定を何となくの感覚や管理会社に任せっきりで行うと、家賃収入の下落や空室期間の長期化に繋がる可能性があるため、正確な家賃設定は不動産投資家の必要スキルといえます。
本記事では、不動産投資のパフォーマンスを最大化させるための正確な家賃設定をする方法について3点ご紹介します。
正確な家賃設定をする方法3点
不動産投資家として身につけるべき、正確な家賃設定をする方法は以下の3点です。
・その物件の成約実績の推移を確認する
・競合物件の募集条件と成約実績を参照する
・周辺家賃相場のトレンドを理解する
家賃設定をする物件のこれまでの実績に加えて、お客様が同時に検討すると思われる競合物件および物件所在エリア全域と、視野を広げながらマーケット全体を俯瞰して家賃設定をすることが重要といえます。
その物件の成約実績の推移を確認する
その物件の成約実績とは、これまでの入居者といくらの家賃で契約が成立してきたかという履歴のことです。
これまでの成約実績を確認することで、その物件における家賃の方向性と騰落率(年間◯%の上昇または下落等)を把握できるとともに、家賃水準の大まかな適正値(7万円台前半、9.5万円前後等)を見積もることができます。
その物件の成約実績の確認方法として、以下の3つが挙げられます。
・現在および過去の「レントロール」を閲覧する
※「レントロール」とは、当該物件における家賃・敷金・契約日・契約期間といった契約条件や入居者情報(氏名・年齢・職業等)のことです。
・賃貸管理会社から情報を取得する
・売主に直接問い合わせる
その物件におけるこれまでの成約実績は、家賃設定をするうえでの最も重要な基準であるため、特に直近の成約実績をはじめに確認しておくといいでしょう。
競合物件の募集条件と成約実績を参照する
競合物件とは、その物件と条件(最寄駅・駅徒歩・広さ・築年数等)が類似しており、実際に部屋探しをするお客様が候補として比較することが予測される物件のことです。
競合物件を見極める際は、同じ物件内かつ同じ間取りの住戸を第一に参考にするといいでしょう。
区分マンションにおいても一棟物件においても、同じ物件内かつ同じ間取りであれば最寄駅・駅徒歩・広さ・築年数等の諸条件が同じであるため、家賃が大幅に異なるということは想定しにくいためです(タワーマンションの最上階と最下階のように、眺望や階数差に明白な差がある場合はこの限りではありません)。
競合物件の募集条件と成約実績を参照することで、競合物件の現在の募集状況とこれまでの家賃推移を知ることができるうえ、家賃設定をする物件の家賃が適正か否かを相対化して判断することもできます。
具体例として、空室住戸で新規入居者の募集をする際に、その物件(Aマンション201号室)の成約実績が9万円前後の家賃である一方で、競合物件(Aマンション202号室、301号室)は過去に10万円前後の家賃で成約しており現在も同水準で募集中であった場合を想定します。
本事例では、Aマンション201号室の過去の成約家賃が相場よりも割安であったという仮説に基づき、家賃を1万円前後上げられる可能性があるでしょう。
実際に部屋探しをするお客様の目線で、多くの競合物件の中からその物件に決めてもらうためにはいくらの家賃が妥当かを考えることが重要です。
周辺家賃相場のトレンドを理解する
再開発や新駅の設置等により人口流入が進み、賃貸需要が活発化しているエリアにおいては、家賃相場が全体的に上昇することがあります。
一方で、地方都市などの人口減少が続いているエリアにおいては、賃貸需要の冷え込みにより家賃相場が全体的に下落することがあります。
家賃相場にトレンドが発生しているエリアの物件を購入することで、トレンドに乗って購入後に家賃が上下する可能性があるでしょう。
周辺家賃相場のトレンドを理解する手段としては、アットホームのサイト上でそのエリアにおける家賃相場の推移を参考にするのが選択肢の一つです。
同サービスでは、日本全国の特定のエリア(東京都渋谷区、吉祥寺駅等)における間取りごとの家賃相場とその過去の推移を参照できます。
そのエリアにおける家賃相場のトレンドを理解する判断材料の一つとして役に立つかもしれません。
家賃設定スキルが必要になるタイミング3点
不動産投資をするうえで、家賃設定スキルが必要になるタイミングは以下の3点です。
・物件を購入する時
・空室住戸の募集活動をする時
・賃貸借契約を更新する時
物件を購入する時
物件を購入する時に必要な家賃設定スキルは、検討物件の現状の家賃(入居者がいる物件を購入する場合)または想定家賃(空室の物件を購入する場合)が適正か否かを測るためのスキルです。
現状の家賃または想定家賃が適正水準よりも高く設定されている物件においては、以下2つのリスクが顕在化する可能性があります。
・家賃下落による収支悪化リスク
・購入価格が相場よりも割高になるリスク
物件価格は年間家賃収入を周辺相場の利回りで割り戻すことで算出されることがあり(収益還元法)、割高な家賃収入を基準にして物件価格を算出すると利回りが相場通りでも物件価格が割高になってしまう可能性があります。
資金計画を立てる際および物件価格の妥当性を検討する際は、不動産業者に提示された家賃を鵜呑みにせず、適正な家賃を自ら査定し、基準値として引き直す必要があるということです。
現状の家賃または想定家賃が適正水準よりも低く設定されている物件においては、以下2つのリスクが顕在化する可能性があります。
・投資としてのパフォーマンスが下がるリスク
・割安価格で売却せざるを得なくなるリスク
賃貸住宅においては原則として家賃交渉ができますが、貸主からの家賃値上げ要請に強制力はないため、家賃が割安であるとしても借主には応じる義務はありません。
割安な家賃のまま同じ入居者が居住し続けた場合、物件の収益性が落ちることで投資としてのパフォーマンスが下がるだけでなく、売却時に不利になることも想定されます。
割安な年間家賃収入を基準値とすると、売却価格が適正であったとしても利回りが相場よりも低くなり、投資家から敬遠される可能性があるためです。
空室住戸の募集活動をする時
空室住戸の募集活動をする時に必要な家賃設定スキルは、入居者募集において家賃収入を最大化させつつ空室期間を最短化できる家賃を見極めるためのスキルです。
入居者募集においては、設定した家賃が割高だと競合物件にお客様を取られて空室期間が長期化し、割安だと家賃収入が下がり収支が悪化しやすくなるため、高い収益性と短い空室期間を両立させられる家賃設定をするスキルが必要になります。
賃貸借契約を更新する時
賃貸借契約を更新する時に必要な家賃設定スキルは、定期的に行われる契約更新の際に既存入居者との家賃交渉を優位かつ円滑に進めるためのスキルです。
賃貸住宅の賃貸借契約は2年間の契約期間とされている場合が多いため、2年ごとに契約更新が行われ、その際に家賃が見直されることがあります。
家賃を見直した結果、増額または減額の交渉が行われることも珍しくないため、周辺の家賃相場や競合物件の動向といった客観的な根拠を示すことで、家賃の据え置きや値上げを了承してもらえるような交渉をしましょう。
(提供:Incomepress )
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