すでにマンション経営をしている人、もしくは検討している人、そのどちらであっても一度は気になる存在、それが「文教地区」ではないでしょうか。大都市圏には必ずといってよいほど存在し、学校など教育施設が多く良好な住環境を想像する人が多いと思います。さらに高級住宅地であるイメージも強く、文教地区に住むことを一種のステータスと考える人も少なくありません。

それでは、文教地区とはどんな地区なのかを正確に説明できる人がどれだけいるのかというと、意外に少ないのではないでしょうか。そこで今回は、マンション経営を考えるうえで必ず一度は意識する文教地区について、その定義やマンション経営の観点からのメリット、デメリットを解説します。

文教地区とは?

マンション経営を考えると一度は気になる「文教地区」の魅力とは
(画像=nancy10/stock.adobe.com)

文教地区とは単なる俗称ではなく、都市計画法で定められた特別用途地区の1つです。住宅地に分類される地区のなかで、とくに教育施設や図書館、美術館、博物館といった文化施設が集積している地区をそれぞれの市町村が「文教地区」と指定することによって一定の規制を加えることが可能になります。

文教地区に指定された地区では文化・教育活動にとって悪影響があると考えられる施設の建築が制限されます。該当するのは主にパチンコ店、映画館、劇場、モーテルなど、風営法の適用を受ける施設は原則として建築不可です。

さらに、文教地区には「第一種文教地区」と「第二種文教地区」があります。前者の第一種は住居系用途地域内に指定するため規制が強く、後者の第二種はそれ以外の用途地域内に指定するため、若干ではありますが規制が緩い特徴があります。

一般的には「学校が多くて環境がよい地域」のことを文教地区と呼ぶ傾向が見られますが、そのなかには法的な裏付けのある地区とそうではない地区があります。

また、よくあるのが文教地区に隣接していることからよく似た都市景観になっている場合です。厳密には文教地区に指定されていないものの、文教地区に準ずるブランド価値を有するエリアもあります。

全国各地にある文教地区は人気エリアであることが多い

文教地区に指定されているエリアやその周辺には良好な教育環境を求める人が集まりやすく、教育熱心な人が多い傾向があります。これは必ずしもイコールではありませんが、教区熱心な層の人たちには富裕層が多いため、そういった層の人たちが好む文教地区がブランド化しやすいのも、全国の大都市で見られる傾向です。

文教地区がブランド化しやすいということは、それが地価にも反映しやすくなります。文教地区内で分譲されるマンションは文教地区であることをセールスポイントにするでしょうし、そのブランド価値もあって分譲価格は高くなりがちです。もちろん、その影響を受けて賃貸物件の家賃相場も高くなります。

マンション経営の視点からこの事実を見ると、保有する物件の資産価値が毀損しにくく、長期的に不動産を保有するのに魅力的なエリアであると考えることができます。

文教地区でのマンション経営で得られるメリット

それでは、文教地区でのマンション経営にはどんなメリットがあるのか、以下に整理してみました。

1.人気エリアであることが多く、賃貸需要が安定している
2.需要が高いことから資産性が維持される
3.場合によってはさらなる地価上昇によってキャピタルゲインもあり得る
4.文教地区に指定されると風俗営業などが不可なので良好な環境が維持される
5.収益物件に自分が住むことを考える際にも魅力的な環境

空室リスクはマンション経営の大敵なので、そのリスクが低いことは大きなアドバンテージです。また高い需要が維持されることで資産価値が低下しにくく、エリアによっては地価の上昇によって売却益(キャピタルゲイン)を狙える可能性もあるため、マンション経営のメリットがより大きくなります。

さらに、保有している物件の資産価値は周辺環境からの影響を強く受けますが、文教地区では環境悪化が懸念されるような施設の建設が規制されているので、そのリスクも低いと考えられます。

最後の5つ目については、他の投資にはなくマンション経営にだけあるメリットです。ゆくゆくは自分が住むことを前提に現役世代のうちにマンション経営を始める人も少なくありませんが、自分が住むための候補地としても文教地区は魅力的だといえます。

文教地区でのマンション経営で考えられるデメリット、リスク

メリットだけを見ると文教地区でのマンション経営には死角がないようにも見えます。文教地区でのマンション経営にもデメリットやリスクがあるので、こちらもしっかり押さえておきましょう。

1.物件価格が高い
2.それゆえに利回りが低くなりがち
3.物件の供給量が少なく選択肢が限られている

1つ目と2つ目は、いずれも文教地区が人気エリアであるがゆえのデメリットです。良好な環境や資産性の高さは誰から見ても魅力的なので、文教地区のマンション物件は人気化しやすく、高額になることもしばしばです。

文教地区は家賃相場も高いので他のエリアよりも高い家賃収入を見込むことができますが、それ以上に物件を購入する費用が高くついてしまうと利回りはどうしても低くなります。そのため、文教地区でのマンション経営は目先の家賃収入というより、長期目線での資産形成に適していると考える投資家も多くいます。

3つ目のデメリットについても、文教地区というエリアが無限ではないゆえのものです。例えば東京都千代田区であれば「番町」や御茶ノ水、神田駿河台などが文教地区に指定されているエリアですが、千代田区全体から見ると一部にすぎません。

今後もそう簡単に文教地区が拡大することは考えにくいので、その限られたエリアのなかで供給される物件は絶対数が限られてしまいます。選択肢が多いことはマンション経営の成功に直結しますが、文教地区ではなかなかそれを望めないところがデメリットとなります。

マンション経営初心者の文教地区進出はアリか

ここまで文教地区でのマンション経営についてお読みになって、その感じ方はさまざまだと思います。初心者には難しそうだと感じる人がいる一方で、むしろ初心者向きではないかと感じる人もいるでしょう。実際のところは、どうなのでしょうか。

結論としては空室リスクが低く家賃下落や資産価値低下のリスクも低いため、文教地区でのマンション経営は初心者にとって安全度が高い選択肢といえます。ただし、物件価格が総じて高いため誰でも参入できるものではないところに注意が必要です。

ここまで文教地区の魅力やマンション経営での優位性について述べてきましたが、文教地区のマンションであれば何でもよいわけではありません。先に述べたような物件価格や住まい環境、将来性などを総合的に判断し、投資に適しているかを判断するようにしましょう。

(提供:Dear Reicious Online



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