会社売却の相場を知る3つの方法

会社売却の場合、株式譲渡や事業譲渡の方法にかかわらず、買手と売手の合意があればその取引価額で成立するのが原則だ。

しかし、あまりにも高額だったり安すぎたりすると、税務上において買手と売手の間に寄付や贈与があったとみなされてしまう可能性がある。したがって、社会的常識の範囲内で取引を行わなければならない。

通常は外部の第三者に株価算定などを依頼し、その価額を参考に売買される。株価の算定に用いる代表的な方法を確認してみよう。

算定方法1.純資産法

貸借対照表の純資産の価額が会社の株式価値であると考えて株価算定を行う方法である。純資産法には、簿価純資産法と時価純資産法がある。

簿価純資産法では、貸借対照表の簿価をそのまま利用する。時価純資産法では、貸借対照表の資産及び負債を時価評価して、その差額である時価純資産を株式価値だと考える

各方法で株式価値の例を示すと以下の通りだ。

【簿価純資産法】

会社売却の方法は?相場の考え方や注意点まで徹底解説

(資産の簿価200、負債の簿価100)

【時価純資産法】

会社売却の方法は?相場の考え方や注意点まで徹底解説

(資産に含み益が100あり、資産価値は300)

算定方法2.類似会社比較法

類似会社比較法とは、売却対象となる会社に類似する会社を上場会社から選出して、その評価額を算出する方法である。

非上場会社の場合、企業規模等が上場会社と類似していることは稀だろう。そのため、業界や取り扱いサービス、地域性、戦略などに着目して類似企業を抽出するのが一般的である。

類似する上場会社のPERに着目して、自社の一株当たりの利益から株価を逆算するのも手軽な方法といえる。

算定方法3.DCF法

DCF法とは、割引現在価値法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)を英語表記した略称である。

割引現在価値とは、将来に受け取れる収益が仮に現時点で受け取れるとしたときの価値をあらわす。DCF法は上場会社も含めて利用されることが多い株価算定方法である。DCF法を図にすると以下のようになる。

会社売却の方法は?相場の考え方や注意点まで徹底解説

左から右に時間軸がある。将来期待できる会社の営業利益や事業利益をキャッシュ・フローとし、CF1、CF2、CF3…で表している。それらを割引率で現在価値に変換してPV1、PV2、PV3…へ割り引く。

このとき、現在価値であるPV1、PV2、PV3…の合計と投資額を比較して、合理的かつ適切な投資案件を判断する。

割引現在価値についてさらに知りたい方は以下の記事も参考にしてほしい。

参考:割引現在価値とは?計算方法と利用ケースを徹底解説!

✉️経営、事業承継・M&Aの無料相談はこちらから