現在の東京の不動産投資市場はバブルだといわれています。実際に東京の不動産投資市場はバブルなのでしょうか?そこで本記事では、東京の不動産市場がバブルといわれている理由と、それとは逆にバブルではないという声もあることから、別の視点からも考察し今後不動産価格の下落が起きるかなどについて詳しく解説していきます。

不動産市場のバブルとは

東京の不動産投資市場はバブルなのか?その理由とこれからの不動産価格の動き
(画像=picturecells/stock.adobe.com)

国内における不動産市場のバブルとは、1980年代後半から1990年代にかけて実体経済と乖離して地価が高騰したことです。金融緩和政策の結果、余剰資金が土地への投資に使われたことがバブル発生の原因の一つといわれています。

その後、政府が高騰しすぎた地価を戻すため、総量規制、地価税の導入などによって1990年以降地価が暴落しました。この地価の高騰の時期をバブル期、暴落の時期をバブル崩壊と呼びます。

東京の不動産投資市場がバブルといわれている理由

まずは、東京の不動産投資市場が「バブルでは?」といわれている理由を見ていきましょう。

東京のマンション価格が2013年から上昇し続けている

理由のひとつが2013年以降、東京のマンション価格が上昇し続けているからです。以下のグラフは日本経済新聞(2021年1月18日付)による「東京23区の中古マンションの価格指数」になります。

東京の不動産投資市場はバブルなのか?その理由とこれからの不動産価格の動き
(出典:日本経済新聞 2021年1月18日付

マンションの価格が順調に上昇しているのがわかります。この価格上昇が起きた要因は金融緩和政策や東京への人口集中、再開発、オリンピックなどがあげられます。

なかでも政府の金融緩和政策が最大の要因といわれており、これにより低金利となったことで住宅ローンの金利が下がりマンション需要が高まりました。こうしてマンション価格は上昇し続け、不動産バブルといわれるようになったのです。

東京の地価も上昇している

東京の地価が上昇していることも、不動産バブルといわれる要因のひとつです。以下のグラフは、国土交通省が公表している「主な都市における商業地の「最高」価格の推移」です。

東京の不動産投資市場はバブルなのか?その理由とこれからの不動産価格の動き
(出典:国土交通省 令和2年 主な都市における商業地の「最高」価格の推移

ご覧のように、東京23区(23特別区)の商業地の地価は平成13年(2001年)から大幅に上昇しています。地価の上昇に関しては、東京の人口増加が要因です。1平方メートルあたりの地価がバブル期の最高額である3,850万円を超えて6,000万円台に迫ろうとしています。

このようにバブル期以上の地価を記録していることも、不動産バブルといわれている大きな要因になっています。

不動産投資市場はバブルではないという意見もある

また、逆に「バブルではない」という見方をする専門家もいます。それは、どのような理由からなのでしょうか。

UBSグローバル不動産バブル指数

UBSグローバル不動産バブル指数とは、スイスの金融大手USBが世界主要都市の居住用不動産価格の動向を分析したものです。過去のデータから不動産市場がバブル化するパターンが繰り返していることが分かるため、そのパターンに基づいて不動産バブルを評価したものになります。

1.5以上の指数になっているものは、不動産バブルのリスクが高いとされており、0.5〜1.5以下は不動産価格が割高という評価です。つまり、1.5以上の指数の都市は不動産バブルが発生している可能性があるというものなります。

分析した内容が以下の表になります。

東京の不動産投資市場はバブルなのか?その理由とこれからの不動産価格の動き
(出典:UBS ウェルス・マネジメント-日本 UBSグローバル不動産バブル指数

UBSの分析によると日本の不動産価格は1.20と割高ではあるのですが、前述のように指数は1.5以下であるため、不動産バブルが起きている状況ではないとされています。このことからバブルではないと主張する人も少なくありません。

住宅地の平均価格はバブル時ほどではない

東京の商業地の地価はバブル期の最高額を超えて上昇していますが、一方で住宅地の価格はバブルの半分以下しかありません。以下のグラフは国土交通省が発表している「主な都市における住宅地の「平均」価格の推移」になります。

東京の不動産投資市場はバブルなのか?その理由とこれからの不動産価格の動き
(出典:国土交通省 令和2年 主な都市における住宅地の「平均」価格の推移

グラフの左端の昭和63年(1988年)はまさにバブル経済の真っ只中でした。バブル期の都市部は、商業地や住宅地に関係なく土地を買うと値上がりする状態だったのです。

例えば、昭和63年の東京の住宅地の平米単価は136.1万円です。バブルのときの東京の平米単価で、2018年の注文住宅における平均の床面積約127平方メートル(約38坪)の土地を購入した場合、1億7,284.7万円ほど掛かることになります。

土地だけで上記の値段が掛かるため、東京で家を建てると2億円近く必要になっていたのです。このように商業地の地価は大きく上昇していますが、住宅地の地価はバブル期のように異常な高騰を見せてはおらず、バブルではないという見方をする人も多いのです。

東京の地価の上昇や不動産価格の上昇には根拠がある

また、東京の地価の上昇や不動産価格の上昇には、人口の増加などの根拠があるため、バブルではないという意見があります。確かに東京の人口は平成13年(1988年)から10%以上伸長しており、人口が増加し続けています。

以下のグラフは東京都が公表している「令和2年中の人口の動きと総人口の推移」です。

上記のように人口が増加し経済活動が活発化することによって不動産需要が増加します。さらに、東京はオリンピックの決定後、再開発が活発化し、さまざまな場所で不動産価格の上昇が起きたことも事実です。

現状はそれにともなって土地や不動産価格が上昇している状況になります。つまり、今の地価の上昇は都心を中心に需要の高いところがスポット的に地価が上昇していると捉えることができます。

不動産価格の下落がすぐに起きる可能性は低い

不動産バブルが起きているという見方も起きていないという見方もどちらも一定の根拠があるため、不動産バブルについて判断するのは非常に難しいといえるのが正直なところです。しかし、見方を変えて「東京の不動産価格の下落が直近で起きるか」と問われた場合、答えは可能性が低いと答えざるを得ません。

その理由について見ていきましょう。

東京の再開発は今後も続いていく

東京の再開発はオリンピック開催後もさまざまな場所で計画されており、今後も続いていきます。例えば、虎ノ門ヒルズ駅では、2022年1月竣工予定の「虎ノ門ヒルズ レジデンスシャルタワー」の建設と2023年7月に竣工予定の「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」といった大規模なビルの建設が予定さており、再開発が進んでいる状況です。

他にも、渋谷は「渋谷スクランブルスクエア」を中心とした再開発が行われている状況で、中央棟と西棟の建設を含めた全体の完成は2027年を予定しています。

さらに、2027年には品川・名古屋間のリニア中央新幹線が開業する予定になっており、それにともなって品川駅周辺も再開発が構想されている状況です。また、上記の再開発以外にもさまざまな場所で再開発が行われているため、すぐに不動産価格が下落するという状況が起きる可能性は低いといえます。

金融緩和は今後も続くと予想されている

現在日本銀行は大規模な金融緩和を実施しており、今後も金融緩和は続くと予想されています。また日本銀行は、物価上昇目標の2%を達成するために、「持続的な形で金融緩和を継続していく」と発表してもいます。つまり、大規模な金融緩和は長期化する可能性が高いといえます。

今後も金融緩和によって住宅ローンの低金利は続くため、住宅需要がすぐに低下して不動産価格が下落する可能性は低いといえるでしょう。

withコロナでも駅チカ立地など利便性の高いマンションは人気

2020年に発生した新型コロナウイルスによってマンション価格が一時的に下落しましたが、現在は上昇しています。下記のグラフは国土交通省が2021年5月に発表した住宅の不動産価格指数です。

withコロナにおいても、駅チカなどのマンションは利便性が高いことから多少高額でも人気は衰えず、今後も価格は上昇していくと予想されています。このように都心を中心に東京のマンション需要は今後も高まる可能性があるため、不動産価格の下落がすぐに起きる可能性は低いといえます。

まとめ

現在の不動産市場がバブルであるかを判断するのは難しい状況です。不動産バブルである可能性も否定できないため、定期的に不動産市場の情報を集めて分析することが重要になります。そうすることで、仮にバブルだったとしても、リスクを軽減することができます。

一方で、現在が不動産バブルであるかどうかに関わらず、すぐに不動産価格が下落する可能性は低いといえます。今後も金融緩和や再開発が続くなど不動産価格が低下する可能性は低く、むしろ上がる可能性のほうが高いといえるでしょう。特にマンションは価格が下落する可能性が低いため、おすすめの投資対象になります。

(提供:Dear Reicious Online



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