オーストラリア、シンガポール、マレーシア、南アフリカの中央銀行および国際決済銀行(BIS)は2日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を用いた国際決済のテストを実施すると発表した。

この取り組みは「Project Dunbar」と名付けられ、複数の中央銀行が発行するCBDCによる国際決済を可能とした共有プラットフォームにおけるプロトタイプの開発を目指す。共有プラットフォームの利用を通じ、取引時間の改善やコスト削減を目的としている。

オーストラリアやシンガポールなど4ヶ国、CBDC用いた国際決済のテスト実施へ
(画像=月刊暗号資産)

また、中央銀行がCBDCに関するインフラを共有することを可能にする様々なガバナンスや運用デザインを検討し、2022年初頭に結果を発表する予定だという。さらに、この取り組みで得られた成果は世界および地域のプラットフォーム開発に活用するとしている。

BISイノベーションハブ・シンガポールセンターのAndrew McCormackセンター長は、「有能で情熱的なパートナーがグループを結成し、我々が進める国際決済のためのマルチCBDCに関する研究が、実験の次の段階で新たな地平を切り開きグローバルな決済接続の基礎を築くことになると確信しています」とコメント。

またオーストラリア準備銀行のMichele Bullock副総裁は、「BISイノベーションハブや中央銀行のパートナーと協力し、複数のCBDCのための共有プラットフォームを利用してクロスボーダー取引にかかるスピードや、コスト効率、透明性をどのように向上させることができるかを探るこの重要な取り組みに協力できることを嬉しく思います」と述べ、今後の取り組みに対し期待感をにじませた。

現在、中国によるデジタル人民元開発の加速や、新型コロナウイルスの感染拡大などをきっかけに、世界各国でCBDCに関する議論が活発に行われている。

各国で検討が進むなか、日本においても今春から実証実験が開始された。日銀は現時点でCBDCを発行する予定はないとしており、第1弾における実証実験の結果に応じて第2段階に移行する計画を打ち出している。(提供:月刊暗号資産