14日、日経平均が一時約31年ぶりの高値を記録した。午前の取引においては一時348円高の3万0795円まで上昇し、今年2月16日に付けた1990年8月以来の高値である3万0467円を上回った。なお、終値は前日比222円73銭(0.73%)高の3万0670円10銭となっている。
今月3日、菅義偉首相が退陣を表明したのをきっかけに、日経平均は大きく上昇。新型コロナウイルスの感染拡大を念頭に経済の先行き不透明感が強まったことで軟調であった市場が一変した格好だ。
買い材料となっているのは、ワクチン接種率の向上と新規感染者がピークアウト傾向にあること、そして次期政権による経済対策への期待感だ。
現在、実質的な次期首相を選ぶ自民党総裁選の動向が慌ただしくなっている。すでに立候補を表明している岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎行政改革担当相による三つ巴の展開が想定されており、経済対策も三者三様だ。
しかし、いずれにしても有事の際における財政出動の重要性を説いており、さらに市場の期待感によって外堀を埋められつつあることを踏まえると、締め付けを強める可能性は考えにくい。株式市場は引き続き次期政権による経済対策や新型コロナウイルス対策を見据えた取引が展開されそうだ。
一方、暗号資産(仮想通貨)市場は先週の下落以降、軟調な推移となっている。
ビットコインは節目である500万円台付近で取引が行われていたものの、停滞感を払拭するには材料が乏しかったこともあり13日には490万円台まで下落。その後、480万円台前半まで下落した。
アルトコインもビットコインに連動する形で価格は右肩下がりに推移した一方で、ライトコインには急変動する場面もみられた。
13日、米大手スーパーマーケット・Walmart(ウォルマート)がライトコイン決済を導入すると伝わると、同通貨は前日比35 %以上高騰し1万9,000円台から2万5,000円超まで上昇。その後、ウォルマートがこの報道を否定すると価格は急落し、再び2万円を割った。ビットコインや主要アルトコインもライトコインの価格動向を受け急騰したものの、同様に価格を下げている。
しかし14日になり米MicroStrategy(マイクロストラテジー)がビットコインを追加購入したことや、英米大手金融機関による暗号資産部門の立ち上げ等の要因も重なり下げ止まった。
日経平均をはじめアジア市場が堅調に推移していることも重なり、記事執筆時点でビットコインは498万円を推移している。アルトコインでは、前日大きく下げていたソラナ(SOL)が価格を上げているほか、アバランチ(AVAX)やコスモス(ATOM)といった銘柄が続伸している。(提供:月刊暗号資産)