米リップル社は22日、ブータンの中央銀行である王立通貨庁(RMA)と協力し、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)を試験導入すると発表した。
RMAは現在の決済インフラをベースに、リップルの分散型台帳技術を用いて、企業や個人が利用する「リテール決済」、銀行間の決済である「ホールセール決済」、さらに国際送金の実験を行うという。
ブータンでは、2023年までに国民の金融包摂率を85%に引き上げることを目標に掲げている。2020年12月に発表されたRMAのレポートでは、2019年に67.6%となっていた。
ブータン王立通貨庁のYangchen Tshogyel副総裁は、「リップル社の画期的な技術により、ブータンの既存決済インフラでCBDCを実験的に導入することができ、効率的で費用対効果の高い国境を越えた送金が可能になる」とコメントした。
RMAは現在、安全かつ堅牢な決済システムの開発に取り組んでいる。2019年には、大規模支払いの電子送金を可能にする「GIFTシステム」を導入。また、政府の電子公共支出管理システム(e-PEMS)を補完し、政府と銀行システム間における取引の効率化を図っている。
さらにブータンは、経済活動によって排出される温室効果ガス(CO2および水蒸気など)よりも、吸収する温室効果ガスが多いカーボンネガティブな国として、リップルが進める持続可能性への取り組みに共感しているという。
プレスリリースによると、今回用いられるリップルが開発したオープンソース「XRP Ledger」をベースにした「CBDC Private Ledger」は、温室効果ガスの排出量と吸収量の総和がゼロである「カーボンニュートラル」な設計になっているという。消費電力は従来のプルーフオブワーク(PoW)型のブロックチェーンと比べ「最大12万倍も効率性が高い」としている。
リップルの中央銀行業務担当副社長であるJames Wallis氏は、「RMAのCBDCプロジェクトでパートナーとなり、より持続可能でアクセスしやすく、包括的な金融サービスを生み出すという共通の価値観を育むことができ、非常に嬉しく思う」と語った。
さらに同氏は、リップルの技術をベースにした「CBDC Private Ledger」を活用することで、中央銀行は高い機能性と互換性を享受できるようになると付け加えた。
なお、今回のCBDC試験導入に関する具体的な時期については発表されていない。(提供:月刊暗号資産)