9月27日、ソニーグループ(以下、ソニー) <6758> の株価が一時1万3200円まで買われ、約21年半ぶりの高値を記録した。今年5月13日の安値9989円から約4カ月で32.1%の上昇である。後段で述べる通り、ソニーのインド子会社と同国最大のテレビネットワーク企業の経営統合に関するニュースのほか、ESG(環境・社会・企業統治)時代を見据えた新技術への期待、さらには市場関係者の過去最高収益予想を後ろ盾に機関投資家などの買いが広がったようだ。

今回はソニーの話題をお届けしよう。

人口13億人、インドの放送事業で主導権を狙う

ソニー,株価
(画像= VectorManZone / pixta, ZUU online)

9月22日、ソニーのインド子会社で映像事業を手掛けるソニー・ピクチャーズ・ネットワーク・インディアが、同国最大のテレビネットワーク企業ジー・エンターテインメント・エンタープライゼズの買収に向けた独占交渉のため、法的拘束力のない条件確認書を締結したことが明らかになった。ソニーの投資額は約1500億円で、株式の過半数を取得する見込みだ。実現すれば人口13億人のインドの放送事業で最大手となる見通しである。

インドは世界でも有数のエンターテイメント大国だ。UNESCO(国際連合教育科学文化機関)によると、2017年のインドの映画製作本数は世界第1位の1986本で、2位の中国(874本)の2倍以上、3位の米国(660本)の3倍以上となっている。また、インドの放送サービスは有料の衛星放送やケーブルテレビが中心であるが、ジー・エンターテインメント・エンタープライゼズの発表資料によると、インドにおける2021年1〜3月期の視聴占拠率はウォルト・ディズニー系が第1位で24.6%、2位のジー・エンターテインメント・エンタープライゼズが18.9%、そしてソニー・ピクチャーズ・ネットワーク・インディアが5位で8.9%となっている。つまり、今回の経営統合が実現すればウォルト・ディズニー系を抜いてTOPに立つ可能性が濃厚となる。