目次

  1. 1. DeFi(分散型金融)とは?
  2. 2. DeFiのメリット
  3. 3. DeFiのデメリット
  4. 4. DeFiを活用して投資を行う方法とその仕組み
  5. 5. 主要DeFiトークンの概要
  6. 6. まとめ
ブロックチェーンのイメージ
(画像=ZARost / PIXTA(ピクスタ))

DeFiとはブロックチェーン上で構築できる金融サービスなどのアプリケーションである。DeFiは中央集権的な管理者がいない「分散型金融」として普及が進んでおり、ブロックチェーンという新しい技術を利用することで利便性の高い取引ができる。これまでの仮想通貨投資の概念とは異なり、資金をプールして利益を稼ぐ仕組みが特徴だ。メリット、デメリットを確認するとともに、DeFi の3つの投資方法と、8つの主要DeFiトークンを紹介する。

1. DeFi(分散型金融)とは?

DeFiとは、Decentralized Finance(「分散型金融」)の略。ブロックチェーン技術によって構築された金融アプリケーションを指すのが一般的で、主に仮想通貨のプラットフォームであるイーサリアムにおいて、スマートコントラクト技術を活用して構築されている。その特徴は、これまでインターネットで提供されてきた金融仲介サービスとは異なり、中央集権的な管理者が存在しないことだ。

2. DeFiのメリット

DeFiには以下の4つのメリットがある。

Defiのメリット1:手数料が安い

DeFiの取引はすべてブロックチェーンで行われる。そのため、送金手数料などは不要だ。

DeFiは手数料が安いといわれるが、それは2つの側面で考える必要がある。1つはブロックチェーンで行われる取引に対する手数料だ。三菱UFJ銀行のインターネット振り込みを利用し、3万円以上振り込む場合の手数料は330円(税込)である。対してDeFiで振り込みを行う場合は金融機関を仲介しないため、当事者同士の送金には原則として手数料がかからない。

もう1つは投資で利用する場合である。投資する人が多い代表的な銘柄で比較してみよう。ビットコイン(BTC)をbitflyer(ビットフライヤー)で購入する場合の手数料は0.01~0.15%である(銘柄によって手数料は異なる)。対して純資産総額1兆円を超える人気の投資信託「未来の世界(ESG)」を購入する場合の手数料は3.3%(税込)+信託報酬年率1.848%+信託財産留保額0.30%とかなり高額だ。仮想通貨の手数料は投資信託と比べても安い水準といえる。

ただし、DeFiで流動性プールに仮想通貨を預けて金利を稼ぐレンディングなどを利用する場合は、購入手数料の他に、「ガス代」を分散型取引所(ユニスワップなど)に払う必要がある。ガス代とはトークンを別のトークンに両替するなど、仮想通貨のネットワーク内で動かすときに発生する手数料のこと。ガス代の計算式はgas(取引の容量)×gas fee(自分が設定した報酬)である。

DeFi投資の手数料水準は安いものの、人によって手数料の総計は異なることを心得ておく必要がある。ただし、手数料が無料の場合でも、(販売所が提示する)購入価格と売却価格の差額であるスプレッドを負担しなければならないため、必ずしも(DeFiの取引コストが)ゼロというわけではない。

Defiのメリット2:どこでも利用可能

DeFiにはどこでも利用が可能というメリットがある。銀行口座を作るときのような審査がないため、どんな国や地域でも利用することができる。これまで銀行口座を持てなかった人でも、住んでいる地域に関係なく(DeFiは)利用できるので、取引の裾野が広がることが期待できる。

Defiのメリット3:金融機関を介さないので取引の手間を減らせる

DeFiは、金融機関を仲介しないという特徴がある。これまでは振り込みを行う際は金融機関を介する必要があり、銀行の店舗まで出かけるのが一般的であった。DeFiではブロックチェーンを介して当事者が直接振り込めるので、取引時間を大幅に削減できる。振込手数料も原則としてかからないので、振り込みを行う人にとっては恩恵が大きい。インターネット環境があれば手軽に利用できるのがDeFiの大きなメリットなのだ。

Defiのメリット4:売買せずにプールしたまま金利を得られる

4. DeFiを活用して投資を行う方法とその仕組みで詳細を説明する。

3. DeFiのデメリット

DeFiにはデメリットもある。次の3つのデメリットにはあらかじめ注意しておきたい。

DeFiのデメリット1:補償制度がない

銀行預金には元本1,000万円+利息を保証する「ペイオフ制度」があるが、DeFiには補償制度がない。2017年に「改正資金決済法」が施行され、仮想通貨取引所の運営が登録制に変わったことで、利用者財産の分別管理が義務付けられたが、補償制度はまだ用意されていない。

DeFiのデメリット2:金融バブル崩壊の危険性

金融バブルの崩壊がいつ、どこで発生するかを予測するのは難しい。仮想通貨の価値が急激に上昇するたびにネットでは「バブルではないか」との議論が巻き起こる。高くなり過ぎた価格に対する警戒感の現れだが、DeFiもこの議論とは無縁ではない。

仮想通貨の適正価格を判断することは困難である。不動産には収益利回り、株式ならPER(株価収益率)など、投資判断の目安になる指標があるが、仮想通貨投資にはそのような指標が確立されているとはいえない。

DeFiのデメリット2:取引先リスク(カウンターパーティーリスク)

DeFiは分散型金融で中央集権者(金融機関等)がいないため、ブロックチェーン上における取引(送金など)にカウンターパーティーリスクは存在しない。しかし、後で紹介する取引所を利用した資金プールで金利を稼ぐサービスにおいては、中央集権型の取引所を介するため取引先(投資家から見ると取引所)のリスクに注意する必要がある。

金融取引を行う際に相手方(カウンターパーティー)が債務不履行に陥れば、契約によって定められた契約が履行されないことになる。仮想通貨でいえば、取引所が倒産したり、ハッキングされて通貨を失うといった事例が過去にあった。

カウンターパーティーリスクとは、広義には、取引先が破綻するなどして契約が履行されずに損失を被る信用リスクをいう。仮想通貨の取引では取引先=取引所という狭義の考え方があるため、カウンターパーティーリスクには2種類あると考えたほうがよいだろう。

2021年9月の時点では、ビットフライヤーが独自に補償を実施している。同社ではサイバー攻撃による盗難とパスワードの不正取得による盗難の両方を補償する。

コインチェックは利用規約で補償を規定していないが、2018年に起きた仮想通貨「ネム」のハッキング事件では日本円での補償を行った。

4. DeFiを活用して投資を行う方法とその仕組み

次にDeFiを活用して投資を行う方法とその仕組みを見てみよう。仮想通貨の売買取引は価格変動リスクが高い。売買せずにプールしたまま金利を得られるのがDeFiの大きな魅力であるといえる。以下、DeFiを活用したいくつかの投資方法を紹介する。

4.1. DeFi関連銘柄(仮想通貨)に投資する

DeFi関連銘柄(仮想通貨)に投資して稼ぐ方法としては、「取引所に流動性を供給する(イールドファーミング)」「仮想通貨を貸し出す(レンディング)」「仮想通貨をステーキングする」の3つがある。DeFiはイーサリアム上で動くため、まず仮想通貨取引所でイーサリアムを購入する必要がある。

4.2. DeFi関連銘柄に投資して稼ぐ仕組み:イールドファーミング

最も注目されているのがイールドファーミングである。

イールドファーミングとは、流動性プール(貯蔵庫みたいなもの)に仮想通貨を預けて流動性を提供する見返りに、(仮想通貨の)時価売買時の取引手数料収入を得ることができる仕組み。流動性を提供するとプラットフォームのガバナンストークン(新しい機能の開発やプロジェクトの運用の決定に影響を与えることができる投票機能が付与されているトークン)が報酬として配布される。

イールドファーミングが可能な代表的な関連銘柄としては「Uniswap(ユニスワップ)」が挙げられる。ただし、ユニスワップなどの分散型取引所(DEX)は金融庁の認可を受けていないため、投資はすべて自己責任となる。ユニスワップの特徴は、(ユニスワップの取引所内に)仮想通貨をプールすることで、独自トークンのUNI(ユニスワップ)を受け取れる点。 「Media Argo」 によると、ユニスワップの始め方は以下の手順となる。

イールドファーミングが可能なユニスワップの始め方

  1. はじめに国内の仮想通貨取引所に口座を開設する。基本的にはどこの取引所でも可能
  2. ウォレットを登録する。ユニスワップには独自のウォレットがないため、ユニスワップに対応しているウォレット(メタマスクなど)を利用して取引する必要がある
  3. 取引所で通貨を購入する。ユニスワップでは手数料やガス代の支払いが必要になる。ガス代の支払いにはETH(イーサリアム)の購入が必要なので、ETHは必ず購入し、必要に応じて他の通貨(選択は任意)も購入する
  4. 取引所で購入したETHと他の通貨をウォレットに送金する
  5. ウォレットとユニスワップを同期する
  6. ユニスワップでETHと選択できる仮想通貨を交換する
  7. ユニスワップで交換した通貨を流動性プールに預ける。流動性プールとは、市場参加者間の市場の流動性を高めるための技術基盤をいう。流動性プールの一番有名な使用例がユニスワップになる。通貨を預けることでUNIを受け取ることができる。預けるのは「通貨ペア」のため、2種類の通貨が必要になる。通貨の数量は1:1の比率にする必要がある。流動性プールに預けた通貨が取引されようになると、報酬として金利が入るようになる。

4.3. 資金をプールして金利を得る(レンディング)

2つ目は、「レンディング」を利用し、資金をプールして金利を得る方法である。レンディングとは貸仮想通貨のことで、自分が保有している仮想通貨を取引所に貸し出し、金利を得るサービスのことをいう。

たとえば、レンディングを行っている仮想通貨取引所でビットコインを貸し出すと、Coincheck(コインチェック)の場合、年利1~5%の金利が得られる。金利は貸出期間によって設定されており、365日間の5%が最も高い。超低金利時代には有利な金利といってよいだろう。株式投資における「貸株」と同じような仕組みと考えればわかりやすいかもしれない。

レンディングを始めるには、コインチェックをはじめとするいくつかの取引所で「貸仮想通貨口座」を開設する必要がある。コインチェックの例では、二段階認証、電話番号認証、本人確認が完了したらレンディングがはじまる。ログイン後、「コインを貸す」画面から貸し出したい仮想通貨の数量と貸出期間を指定する。コインチェックが取り扱っているすべての銘柄が利用可能だ。

貸出期間が終了すると、貸し出した通貨に金利が上乗せされて戻ってくる。さらに続けたい場合は「自動貸出機能」を利用すると、自動的に再貸し出しとなる (他の取引所では異なる場合がある)。

二段階認証、電話番号認証、本人確認が完了したらレンディングがはじまる。ログイン後、「コインを貸す」画面から貸し出したい仮想通貨の数量と貸出期間を指定する。コインチェックが取り扱っているすべての銘柄が利用可能だ。

貸出期間が終了すると、貸し出した仮想通貨に金利が上乗せされて戻ってくる。さらに続けたい場合は「自動貸出機能」を利用すると、自動的に再貸し出しとなる(コインチェックの場合)。

4.4. ブロックチェーンの生成に貢献することで金利を得る(ステーキング)

3つ目の「ステーキング」は、仮想通貨取引所が指定する仮想通貨を一定期間保有して、ブロックチェーンの生成に貢献することによって金利を得ることができる仕組みである。

ステーキングを行うには仮想通貨取引所に口座を開設する必要がある。コインチェックやビットフライヤーなど数社でステーキングを扱っているが、たとえばコインチェックとビットフライヤーでステーキングの対象になる仮想通貨はリスク(LISK)である。

ステーキングは対象通貨を保有しているだけで何もしなくても金利を得られるのがメリットだ。デメリットは、ステーキング中は資金がロックされるため自由に移動できないことである。ステーキング中に仮想通貨の価格が高騰した場合に売ることができず、反対に相場が下落すれば含み損を抱えることになる。

5. 主要DeFiトークンの概要

DeFi にはさまざまな系統のトークンが存在する。8種類のDeFiトークンを紹介する。

5.1. 主要DeFiトークン1:DEX系

DEXとは、Decentralized Exchangeの略で「分散型取引所」を指す。DeFiを利用し、管理者を介することなく個人間で(ウォレットを通し)直接取引する仕組みである。

取引所を介さないことから、DEXはCEX(Centralized Exchange:中央集権型の取引所)と比べて取引手数料が安い。シークレットキーを個人で管理できるため、もし取引所がハッキングされた場合でも、個人のウォレットがハッキングされる危険性は(そうでない場合と比べて)低い。

本人確認が必要ないので、メールアドレスとウォレットがあれば、その日から取引を開始できる。非中央集権型ゆえに、メンテナンスやサーバーダウンがほぼ起こらない。

DEXのデメリットは、非中央集権型による流動性の少なさや、希望価格での取引の難しさだろう。管理者がいないため、シークレットキーの紛失や送金先を間違えた場合などは補償されない。取引は同一チェーンの通貨ペアに限られる。

【銘柄例】SushiSwap(SUSHI):流動性提供者に対し、独自トークン「SUSHI」によるインセンティブ提供を行っている。ファーミングされた「SUSHI」のうち2/3は6ヵ月間ロックアップ(仮想通貨を発行する企業や団体が一定期間発行した仮想通貨を売りに出さないこと)され、売り圧力(売り注文が急速に増える状態)が減る仕組みになっている。すでに出ているユニスワップもDEX系に分類される。

5.2. 主要DeFiトークン2:レンディング系

DeFiレンディングとは、銀行などの仲介者なしで仮想通貨を使ってローンを提供する仕組みのこと。貸し手はDeFiレンディングのプラットフォーム(ユニスワップ、Compound、AAVEなど)に登録し、借り手はプラットフォームを通じて直接融資を受けることができる。貸し手は利息を受け取ることで収益を確保できる。

DeFiレンディングのメリットは、銀行よりもはるかに高い金利を得られることだ。先に例を挙げたコインチェックの場合は最大5%だが、それ以上の金利になるケースもある。また、レンディングでもガバナンストークンを得られる場合がある。

デメリットは、貸出期間中は売買ができないこと。貸出期間中は資金がロックされるため、余裕資金で運用する必要がある。

【銘柄例】Compound:2018年に立ち上げたレンディングサービスである。イーサリアムを中心に仮想通貨のレンディングサービスを提供している。貸し手と借り手をスマートコントラクトで結ぶのが特徴。利用者は流動性を提供することで銀行に預けるよりも高い金利を得ることができる。COMPはCompoundが発行するトークンである。 

5.3. 主要DeFiトークン3:ブリッジ系

ブロックチェーンのブリッジとは、ビットコインとイーサリアムのように異なるネットワークや、ルールの異なる各種チェーン間の相互運用を可能にする仕組みをいう。ユーザーはブロックチェーンにあるデジタル資産を他のチェーンのdApps(分散型アプリケーション)で展開できる。

【銘柄例】Wrapped BTC(WBTC):ビットコインをイーサリアムで利用できる。プロダクトの1つであるBit Goがカストディ(主に金融・証券業界において有価証券等の保管・管理を行う業務のこと)としてビットコインを預かり、(ビットコインと1:1で交換できる)ERC20トークンを発行することで、ビットコインの資産性をイーサリアムでも利用できるようになる。デメリットは、中央集権型であるため、カウンターパーティーリスクを背負うことだ。COINPOSTによると、WBTCはDeFiトークンではあるが中央集権型に分類されている。

5.4. 主要DeFiトークン4:合成資産系

数は少ないが、合成資産系に分類される銘柄もある。代表的な銘柄のSynthetixは、イーサリアム上のDeFiで使われている合成資産である。sETHのsはSynthsを指し、sETHは合成イーサリアム、sBTCは合成ビットコインを表している。イーサリアム上で合成資産(Synthetic Assets)を発行するプロトコル(送受信の手順を定めた規格)の1つであるSynthetixが発行する合成資産Synthetic Assetsを略してSynthsと呼ぶ。sETHのsはSynthsを指し、sETHは合成イーサリアムであることを表している。

【銘柄例】Mirror Protocol(MIR):Synthetixと並ぶ合成資産の1つであるMirror Protocol(MIR)は、Terraで発行されるステーブルコインを担保として合成資産を発行できるプラットフォームである。価格等の情報を取得できれば、合成資産の価値が担保資産を上回らないことを条件に柔軟に商品開発できるメリットがある。MIR はMirror Protocolによって発行されるトークンである。  

5.5. 主要DeFiトークン5:ステーブルコイン系

ステーブルコインとは、価格変動(ボラティリティ)のない通貨を指す。ステーブル(安定していて、変動しないさま)という言葉のごとく、価格が一定しているのが特徴だ。ステーブルコインには「法定通貨担保型」「仮想通貨担保型」「無担保型」の3つがある。

最も一般的なのが法定通貨型で、市場から一定の信任を得ている法定通貨を担保にすることで価値が安定する。ユーザーは安心して預金や送金、決済手段として利用することができる。法定通貨を担保にしていることから市場の信任が厚く、預金、送金、決済手段としても利用できるのがメリットだ。

【銘柄例】Maker-Dai:米ドルにソフトベッグされた分散型仮想通貨である。簡単に生成、アクセスができるメリットがある。生成、購入、受領されたDaiは他の仮想通貨と同様に使うことが可能。他者への仮想通貨の送付、商品やサービスの決済にも使える。また、Makerプロトコルの機能を活用して貯蓄することもできる。

5.6. 主要DeFiトークン6:アグリゲーション系

アグリゲーションとは、「集合体、集約(する)、凝集(する)、などの意味を持つ英単語。同種の複数のものをまとめて一体化したもの、および、まとめる処理や作業のことを意味する」(IT用語辞典)。DeFiのアグリケーション系とは、LPトークンや仮想通貨を預ける先を最適化して運用してくれるプロダクトのことをいう。

DeFi市場には毎日のようにプロダクトが更新されているため、個人がいちいち金利が高いものに預け替えるのは手間である。最適なものに自動で資金を移動してくれるなら投資家のメリットは大きいだろう。

【銘柄例】Yearn Finance(FYI):レンディング等のDeFiプロトコルの中から、最適なものへ資金を移動してくれるプロトコルである。DeFiのプロトコルは数が多く、最適なものを見つけ出すのは根気のいる作業になる。FYIではCompound、dydx、Aabe(一例)など最適なプロトコルに資金を移動させてくれるので、アグリゲーション(集約する)の定義に合ったサービスといえるだろう。FYIは、Yearn Financeが発行するトークンである。

5.7. 主要DeFiトークン7:オプション系

「将来の予め定められた期日に特定の商品(原資産)を現時点で取り決めた価格で売買する権利の取引」( 日本取引所グループ )のことをいう。DeFiのオプション系とは、仮想通貨(下記HEGICの場合は主にETHとWBTC)のオプション取引を分散型システムの上に構築することを目指す仕組みのことをいう。オプション取引に必要な流動性はユーザーたち自身で供給する。

【銘柄例】Hegic:Opynと並ぶオプション取引のプラットフォームである。満期日や行使価格を柔軟に設定できるメリットがある。流動性提供者は双方向性プールにETHをデポジットし、オプションの売買に応じてプールが自動で相対取引に必要な原資を確保していく仕組みをとっている。HEGICは、Hegicが発行するトークンである。

5.8. 主要DeFiトークン8:レイヤー2系

レイヤー2(セカンドレイヤー)とは、メインのブロックチェーン以外で取引するための技術を指す。大量の取引が行われると、送付遅延の問題が生じる。ブロックチェーンですべての取引を処理することが難しい場合に用いられるのがセカンドレイヤーだ。

CoinPartnerによると、DeFiのセカンドレイヤー(レイヤー2)とは、ブロックチェーンネットワークの上に重ねて、さまざまな便利な利用方法を実現するための構造のことをいう。レイヤー2とはブロックチェーンにおける階層の2層目という意味である。ブロックチェーンですべての取引を処理することが難しい場合に用いられるのがセカンドレイヤーだ。

セカンドレイヤーは、メインのブロックチェーンで処理を行わないため、処理に負荷がかからない。これにより、スケーラビリティ問題(処理できる範囲以上に需要があって起きる問題)を解決できる。

セカンドレイヤー系の実装例としては、ライトニングネットワーク(ビットコインに対応)、ライデンネットワーク(イーサリアムに対応)、サイドチェーン(LISKに対応)などのセカンドレイヤー技術がある。

【銘柄例】Loopling(LRC):イーサリアムのスマートコントラクトを利用した、分散型自動取引プロトコルである。分散型であるため、盗難などのカウンターパーティーリスクがないというメリットがある。ウォレットにある資産を他のウォレットに移さずに取引できるため、ウォレット間での送金費用を削減できる。LRCはLooplingが発行するトークンである。

6. まとめ:新しい資産運用方法としてのDeFi

DeFiへの投資は、コストが安く利用しやすい半面、補償制度がない、取引先リスクがある、日本の金融庁から許可を得られないなどの問題点もある。しかし、価格変動の大きい仮想通貨をプールするだけで金利や独自トークンを得られるのは大きな魅力だ。リスクを負って売却益を狙うこれまでの仮想通貨取引にはない、新しい資産運用方法として検討したい商品といえる。

DeFiトークンの概要を理解し、実際に購入したいと思ったら、まずは仮想通貨取引所に口座を開設する必要がある。取引所によって扱う通貨が多少異なるので、取引したい通貨を扱っているかを確認し、まずは口座を開いてみてはいかがだろうか。

*1:本記事はDeFiの概要を紹介するものであり、特定の取引所の利用を推奨するものではありません。

*2:仮想通貨は現在、暗号資産と呼ばれるのが通例となっていますが、本記事では仮想通貨で統一しています。

丸山

丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している。