中国の不動産開発大手・中国恒大集団の香港市場での株式売買停止、日本では岸田新政権誕生で金融所得税の引き上げ懸念、米国では連邦債務上限引き上げ不合意によるデフォルト懸念、インフレ懸念から予想よりも早期にFRB(米連邦準備理事会)が金融引き締め政策を開始するとの憶測も広まり、世界株式市場は大幅下落した。

ビットコイン、株式市場と乖離し上昇 5万ドル見据えた推移続く
(画像=月刊暗号資産)

米国ではS&P500が9月2日に付けた終値での過去最高額を5%下回る水準。構成銘柄のうち71銘柄が下落率が20%を超えた。8月下旬のハリケーン襲来でメキシコ湾の海上油田施設に被害が出て、この影響が来年まで続くとの見通しから原油先物価格も高騰したままだ。世界の金融市場は逼迫した状況に置かれている。

そんな状況下で、堅調に推移しているのが暗号資産(仮想通貨)市場だ。ビットコインは10月に入ってから崩れることなく上昇トレンドに入り、5日現在では4万9000ドル(約545万円)を超えている。5万ドル(約555万円)の大台復帰は時間の問題と言えそうだ。日足の140日線4万9270ドル(約547万円)がレジスタンスとして存在しているが、それを超えれば5万ドル回帰へは何の抵抗線もなくなる。超えると逆にサポートラインとなるのでさらなる上昇が期待でき、5万2000ドル(約578万円)まで上昇の余地がある。

過去、他の金融市場の影響を受けていた暗号資産市場だが、現在の相場はほとんど影響を受けていない。市場をとりわけ牽引しているのはビットコインだ。4万8000ドル(約533万円)を超えたあたりでの急激な高騰は大口トレーダーがショートポジションを解消したことが原因とみられている。

元々10月は暗号資産にとって好調な市場になりやすい傾向にあるが、現在の価格上昇の要因として、機関投資家による暗号資産投資商品への資金流入が指摘されている。CoinShares(コインシェアーズ)のレポートによれば、ビットコイン投資商品は先週6870万ドル(約76億3,700万円)の流入を生み出した。イーサリアム投資商品への投資も増加し、前週比3.2%の2020万ドル(約22億4,500万円)だった。アルトコイン投資商品への流入はカルダノ(ADA)が110万ドル(約1億2,200万円)、ソラナ(SOL)が70万ドル(約7,780万円)を記録。ポルカドット(DOT)とバイナンスコイン(BNB)はそれぞれ80万ドル(約8,900万円)を記録し、マルチアセット型の商品は190万ドル(約2億1,100万円)の流入があった。

また、SEC(米証券取引委員会)によるビットコインEFT(上場投資信託)の承認が数週間以内に実現する可能性があるという声もあり、もし実現すれば年末の価格高騰を引き起こす可能性があると市場では見られている。一般の人々も簡単に投資することができるようになるからだ。

日本市場ではコインチェックに上場したOMG(オミセゴー)と、5日にビットバンクで上場を果たしたSymbol(XYM)の価格が上昇。OMGは10月に入り1,000円付近から1,800円前後へと推移中で、XYMはビットバンクへの上場後、17円付近から25円近くまで上昇した。ビットバンクにおいては、一時約33円まで上昇する場面もみられた。(提供:月刊暗号資産