三菱UFJ信託銀行が、デジタル証券の普及に向けてSBIホールディングスが推進する売買市場への参画を決めたことが明らかとなった。6日、日本経済新聞が報じた。
デジタル証券とは、ブロックチェーン使ってデジタル化した有価証券を指す。従来の株式などであれば決められたロット数で購入するといった制限があったが、デジタル証券であれば小口から参画できるというメリットも存在する。一般に、デジタル化された証券をセキュリティトークン(ST)と呼び、これを用いた資金調達を「セキュリティトークン・オファリング(STO)」と称する。
これまで未上場企業などは資金調達手段が限られており、個人や小中規模の投資家が参画しにくい状況であった。セキュリティートークンの普及はこうした課題を解決する手段として期待されている。
三菱UFJ信託銀行は今年8月、不動産運用会社・ケネディクスが持つ居住用の不動産をデジタル証券として個人向けに販売。SBI証券も今年4月に自社が発行体となり、1億円分の社債型セキュリティトークンを発行した。
同月には、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC グループ)とデジタル資産を取り扱う「大阪デジタルエクスチェンジ(略称:ODX)」を共同で立ち上げた。この取引所は私設取引システム(PTS)として設立され、株取引における一極集中を回避することも期待されている。ODXでのデジタル証券の取引は2023年度中に開始される方針だ。
報道によると、三菱UFJ信託銀行はデジタル証券の流通市場の活性化に向け、ワーキンググループも立ち上げるようだ。大和証券やSBI証券などをはじめとした大手証券やシステム会社15社が参画する予定で、円滑な取引に向けた参加者の役割分担のほか、法改正を含めた提言を行うとしている。(提供:月刊暗号資産)