本記事は、三井智子氏の著書『仕掛ける力』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています。

ポイント
(画像=PIXTA)

「メディア分析」で最適な売り込み先を見極める

広報担当者の使命は「どうやって『メディアの視点』を見極められるか」にかかってきます。そのためには「メディア分析」をして、日頃から新聞記事や番組を研究することが重要です。

メディア分析をしておくと、売り込みたい情報が出てきた時に、的を射たアプローチが可能になります。

どんなに良い情報であったとしても、見当違いのコーナーに売り込んでいては取材にはつながりません。ここなら興味を持ってもらえるだろうと思えるようなコーナーや記事を見つけるために、メディア分析をすることをお勧めします。

私は新卒で入社した当時から、メディア分析をし続けてきました。「これは最も大切な仕事だったのだ」とのちに気づき、その本質を理解するようになりました。この分析がしっかりできていれば、広報は成功するとさえ思っています。

新聞に目を通す時は、以下のポイントを念頭に置いて紙面を読んでいきます。

(1)紙面と担当部署、さらに署名をチェックする

経済面は経済部、社会面は社会部が担当していますが、生活面は、生活部、生活情報部、文化部、または社会部だったりするところもあり、新聞社によって担当する部署は異なります。最近では署名記事も多いので、特に興味のある内容の記事を書かれている記者の名前はチェックしておくとよいでしょう。

(2)何面に何の記事が、どういうポイントから掲載されているか

同じテーマであっても、掲載される面によって記事の切り口が異なります。何をポイントに取り上げていただきたいと思うかで、売り込む部署が変わります。

たとえば「バレンタイン商戦」の記事でも、経済面ではバレンタイン商戦の売上見込み、今年の傾向や、チョコレートがどう商況に影響するか? などをニュースとして取り上げます。取材のタイミングは、百貨店などがチョコレートの流行の傾向を発表する時期や、新商品の発表時、チョコレートの催事場が設けられた初日などとなります。

一方、トレンド面や生活面になると、今年ならではの目新しいチョコレートや、チョコレートの原料やカカオ豆の栄養素などに注目するなど記事の視点が異なります。露出のタイミングは、バレンタイン商戦が始まってからのほうが多いように思います。

(3)レギュラーコーナーの掲載日、頻度をチェックする

新聞各紙には、毎月、毎週、定期的に同じタイトルでコラム化されているレギュラーコーナーがあります。記事の内容をよく分析してみてください。各紙を調べると、レギュラーコーナーは結構あります。

たとえば産経新聞では、「近ごろ都(みやこ)に流行るもの」という企画記事が、ほぼ毎週月曜日に掲載されます。ここではちまたで流行る旬なものや時代の特徴を示すトレンドなど、様々なジャンルの情報を扱っています。読売新聞には「装」というファッションが切り口のコーナーがあります。

また「人物欄」は各紙に必ずあります。新聞によって新社長の紹介や話題の人の紹介など、切り口も様々です。日々これらに目を通し、その特徴や傾向をしっかり把握しておくのがお勧めです。売り込みたい情報が出た時に、とっさに「あのコーナー」に合うのではないか? と頭に浮かぶようになると広報の仕事がしやすくなります。

イベントや催事などの告知の欄に関しても、新聞によって体裁が異なります。文字だけの欄もあれば、写真付きの欄もあり、記事あたりの行数なども違います。一度見比べてみると勉強になると思います。

また、同業他社の記事の分析もぜひ行ってみてください。その際に確認することは、次の3点です。

  • (1)1社の独占記事なのか複数同業他社の絡んだ記事なのか
  • (2)異業種との組み合わせ記事なのか
  • (3)どんなテーマなのか、自社との共通点はないか

それらを分析した上で、その記事に自社も載れる可能性がなかったのかを確認します。可能性があったとすれば、「そんな切り口で取材してもらえるのか」というニュースの視点を学んだことになります。

他社の記事を読んで少しでもヒントを学ぼうとする意識が、広報にとっては一番大切であり、これは他のメディアにおいても同じです。

広報の目
「メディア分析」をして、定期コラムなどをまとめておくと、スピーディーに広報ができる。
仕掛ける力: 売れる広報の鉄則
三井智子
広報プランナー・プロデューサー・コンサルタント
株式会社Office Me 代表取締役
1988年、「OLの聖地」と呼ばれた伝説の百貨店・プランタン銀座に入社。自ら売り込む「企画広報」を考え、個性的なスイーツを集めた「プラ地下」や、コンセプト福袋など多くのブームを生み出し、メディアに引っ張りだこの百貨店へと成長させる。
プランタン銀座の株主変更を機に、2004年、銀座三越へ出向し、広報として福袋やふんどし、焼きいもなど、ヒットの一翼を担う。
2006年、広告代理店読売エージェンシーに出向し、銀座の商業施設のオープンから7年間広報プロデューサーを務めるほか、サービスエリアやアンテナショップのオープンの広報担当を務める。
2014年、株式会社Office Meを設立。自治体の地方創生、農業女子プロジェクト、その他食材や企業のブランディングなど幅広いジャンルの広報に携わる。キャリア約30年の広報知識と経験、ネットワークを生かし、世の中の話題になる企画づくりから、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・WEBなど、主要メディアへの露出機会拡大と話題づくりまでトータルプロデュースを行う。

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