本記事は、三井智子氏の著書『仕掛ける力』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋・編集しています。

データ,会社
(画像=PIXTA)

現場からニュースを掘り起こすポイント

月に200本もの記事がメディアに出たこともあるプランタン銀座では、会社として訴求したいテーマとは別に、広報が現場から「人・モノ・コト」のネタを発掘し、各メディアに売り込んでいました。

会社にはさまざまな情報が潜んでいますが、そこからメディアが興味をもってくれるネタを発掘することは容易ではありません。また、いくら面白いニュースだと思って売り込んでも、メディアの方に興味をもってもらえなければ意味がないのです。

自社の情報を発掘する、あるいはニュースにする際には、現場を知ることが最も大切です。

どのようにすれば現場を知り、現場からニュースを掘り起こせるか。これには2つのポイントがあります。

①自分の会社を熟知する

広報をするなら、まずは会社や売り込む案件にのめり込み、熟知すること。その1つの術として、今までメディアに掲載された記事やテレビ番組のVTRがあれば、すべてに目を通すことです。そこから自社の強みを把握し、その記事、番組内容は何をポイントにしていたかを探ります。

メディアの方が取材してくださった内容は、その時代の「自社の強み、特徴、方向性」であったり、その時の「ニュース」であったりするのは間違いないはず。自社の歴史や情報を知るには近道であると思っています。メディア掲載がなければ、会社概要、ホームページ、社員からヒアリングすることからスタートです。

広報の感覚は、恋愛と同じだといえます。好みの人がいたらもっと知りたいと思い、知れば知るほど良い面も悪い面もわかってきて、多面的にその人を理解することができます。

会社も同様で、知りたいという気持ちがあれば、様々な情報をいろいろな角度から見ることができ、より多くの情報も舞い込んでくるはずです。

②メディアの「なぜ? 」を活用する

メディアの「なぜ」とは、「この商品はどれくらい売れているか? 」「なぜ人気があるのか? 」「他社の商品と比べての違いは? 」「それは自社だけの傾向か? それとも業界全体の傾向か? 」「どんな人が利用するのか? 」「今後の目標は? 」など、メディアからの質問事項のことです。

これらのポイントは必ず聞かれます。また、テレビで放送されているインタビューを見てもこのような内容で編集されているはずです。

一般的に、商品や人物をニュースとして取り上げる時には、それが生まれてくる背景やストーリー性が求められます。たとえば、行列ができているスイーツ店をテレビで取り上げる時には、どんな人が、どういう理由で、どのくらいの時間並んでいるのか? 何が魅力なのか? 商品の特徴や、他店との違いなどを放送しています。時には、それを開発したシェフの思いなども報じられます。

このような、人気の要因を具体化してくれる質問項目すべてが「ニュースの視点」になります。売り込みたい「人・モノ・コト」をストレートに見るだけではなく、様々な角度から掘り下げて、付加価値をたくさんつけて魅力ある形にすることで新たな広報の視点がみつかります。

ヒントは様々な方との会話の中にもあり、自社の商品について「へぇー、そうなんですか」「すごいですね」「珍しいですね」と言われたら、メモのタイミングです。一般的に、人が驚いたポイントは、誰もが興味を示すポイントだといえます。そこにニュースが潜んでいることも多くあるはすです。

広報の目
まずは、自社、売り込む商品、サービスを熟知し、メディアのなぜを分析する。
仕掛ける力: 売れる広報の鉄則
三井智子
広報プランナー・プロデューサー・コンサルタント
株式会社Office Me 代表取締役
1988年、「OLの聖地」と呼ばれた伝説の百貨店・プランタン銀座に入社。自ら売り込む「企画広報」を考え、個性的なスイーツを集めた「プラ地下」や、コンセプト福袋など多くのブームを生み出し、メディアに引っ張りだこの百貨店へと成長させる。
プランタン銀座の株主変更を機に、2004年、銀座三越へ出向し、広報として福袋やふんどし、焼きいもなど、ヒットの一翼を担う。
2006年、広告代理店読売エージェンシーに出向し、銀座の商業施設のオープンから7年間広報プロデューサーを務めるほか、サービスエリアやアンテナショップのオープンの広報担当を務める。
2014年、株式会社Office Meを設立。自治体の地方創生、農業女子プロジェクト、その他食材や企業のブランディングなど幅広いジャンルの広報に携わる。キャリア約30年の広報知識と経験、ネットワークを生かし、世の中の話題になる企画づくりから、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・WEBなど、主要メディアへの露出機会拡大と話題づくりまでトータルプロデュースを行う。

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