本記事は、須藤亮氏の著書『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています

〈ミソレーニアス〉質疑応答が苦手ならどうする?

メモ
(画像=Rhetorica/PIXTA)

POINT
筆者も質疑応答が苦手だった

プレゼン時の質問に答えるのが苦手という方もいると思います。その理由は、プレゼンと違って即応性が必要だからです。特に、思ってもみない角度から質問が飛んできたりすると、一瞬頭の中が真っ白になってしまいますよね。私も何度もこれを経験しました。

ここでは、そんな時、慌てずにどうこなすかのティップスを述べます。なお、ミソレーニアスとはその他の留意点のことを言います。

(1)想定問答集を幅広く網羅し整理しておく

[〈最終調整〉「想定問題集」をつくる]で、想定問答集を事前に準備しておくことをお勧めしました。

依頼事項のポイントや相手の立場や癖などから、想定問答を幅広く網羅し整理しておけば、飛んできた質問がそのどれかに関連している確率は高いです。全く同じ質問でなくとも、答える時はそれをアレンジすれば良いわけなので、わりとしっかり答えることができます。

(2)一瞬の考える時間を確保する

質問中にも答えが浮かび「これを言おう」と思ったとしても、すぐに答えず、どう言おうかという組み立てまで考えて受け答えすると、聞き手に「この人はスマートだな」と映るなど印象が違ってきます。

そして人間の頭というのは、5〜6秒あれば考えをまとめられるものです。従って、一瞬の考える間をつくるテクニックを身につけておくと便利です。一番わかりやすいのは、聞かれた質問を繰り返すことです。

例えば、「今ご質問いただいたのは、○○という意味でよろしいでしょう か?」と切り出すことで、一瞬の考える間を確保できます。

(3)正直に考える時間をくださいと言う

質問の中には、全くの想定外で、かつ専門性を持って受け答えなければならないものも出てきます。その時は、少しお時間をくださいと正直に言いましょう。ポイントは、「非常に重要な質問なので」などとその理由をしっかり言うことです

その場で解決できる場合は、いくつかの質疑の間に考え、最後に回答します。

また、その場ではわからない場合は、「○○に関しては、社内の専門家の意見が必要なので後日回答させてください」と言うこともできます。

プレゼンの骨格に関わるようなことではなく、また、施策にしても細かい部分に関することであれば、それでも問題はないはずです。

質疑応答に関しては、何と言っても場数をこなすことが一番のスキルアップになります。避けて通らず、上記の3つを念頭にプレゼンごとに質疑応答の時間を設けて体験し、あなたの血肉にしていきましょう。

Checkit!
・質疑応答への対応は、想定問答を事前に幅広く整理しておくことが一番。
・結局、場数をこなすことが一番のスキルアップになる。

5-1
(画像=『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』より)

〈ミソレーニアス〉企画書は点数化される

POINT
戦略、施策、実績のポイントが高い

競合プレゼンを経験された方も多いでしょう。その目的は、複数ある提案の中で一番良いものを選ぶということです。

選ぶからには基準が必要で、我々もよくその基準と点数配分表をクライアントから見せられることがありました。

この選定基準は、当然業界によって様々ですが、ざっくりと分類すれば①戦略、②施策、③実績、の3つです。

広告会社で言えば、①戦略、②クリエイティブやメディアの実行プラン、③スタッフィングと今までの実績、であったりします。

冒頭に、良い企画書は、戦略が要(かなめ)だと申し上げ、リボンフレームでそれを実践する方法論を紹介してきました。ですので、ここまで読んでくださった方なら、①戦略やそれに基づいた②の施策の部分は自信を持てるはずです。

一方、③実績は、[〈最終調整〉アペンディックスのつくり方②]で、自分たちを信用させる頁を入れようと述べました。ですから、それらを踏まえていれば平均点以上の企画書となるはずです。これは何も競合プレゼンに勝つためではなく、全てのプレゼンに通用する原則です。

プレゼンが終わっても企画書は残り、採用のための討議材料となります。企画書作業のフィニッシュは、上記の3つの基準をしっかり意識しましょう。

Checkit!
・プレゼンで点数が高い部分は、戦略、施策、実績。

5-2
(画像=『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』より)

〈ミソレーニアス〉次に活かすメモを残す

POINT
プレゼンが終わると大事な気づきを忘れてしまう

プレゼンは、数あるビジネスシーンの中でも、最も緊張感が高まる場面の一つです。本番前は、寝ても覚めてもプレゼンのことで頭がいっぱいになるものですし、失敗することがないように企画書を何度も見直すなど、準備に余念がありません。

だからこそ、プレゼン直後は、「ああしておけば良かった」「こうしておけばもっと違ったのに」など数々の気づきがあります。その高揚感から、スタッフ間でそのあたりの反省を話すこともありますが、月日が経つと詳細はすっかり忘れています。

しかしその中には、次回につながる大事な気づきやティップスが含まれている場合も少なくありません。「これは覚えておこう」と思ったら、すかさずメモに残しておきましょう

●企画書がどう評価されたのかヒアリングする

企画が不採用の場合、その理由は通常は告知されますが、通り一遍の理由の場合も少なくありません。

どの点が評価されどの点が評価されなかったのか、他社はどうだったのかなど、できれば依頼者にヒアリングしましょう。企画の評価を詳細に知ることにより、こちらが見落としていたこと、次回は気をつけるべきことがわかったりします

それを着実に活かすことによって、次回の企画書づくりのスキルが確実にアップします。

下図は、プレゼン後の実際のメモの例です。参考にしてください。

5-3
(画像=『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』より)

Checkit!
・プレゼン後のヒアリングをしよう。
・次に活かせる気づきをメモに残すことが大事。

トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座
須藤亮(すどう・りょう)
マーケティングプランナー/株式会社TOM代表取締役社長。1980年早稲田大学法学部卒。博報堂で、35年間マーケティング職、ストラテジックプラニング職として、トヨタ自動車、花王、KFC、JT、味の素、全日空、マクドナルド、アステラス製薬などのクライアント企業を担当。途中、日本リーバ〈現ユニリーバ・ジャパン〉にアイスクリームのブランドマネージャーとして2年間出向。2001年よりタイのバンコクを皮切りに海外赴任生活に入る。タイのバンコクに博報堂アジア・ブランディング&ソリューション事務所を立ち上げ、その後、香港、広州、北京と渡り歩いた。博報堂での後半15年はトヨタ自動車をクライアントとし、電通との一騎打ちに奔走。博報堂のトッププレゼンターとして活躍。2013年帰国。2015年に博報堂を退社し、(株)TOM(トップ・オブ・マインド)を設立。(株)本TUBE取締役。さまざまな企業の実践マーケティング、ブランディング、コミュニケーション戦略プラニングなどのコンサルティングや地方創生事業などに従事。著書に『博報堂で学んだ負けないプレゼン』(ダイヤモンド社)、『スマホメモ 仕事と人生の質を上げるすごいメモ術』(CCCメディアハウス)がある。

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