本記事は、須藤亮氏の著書『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています

〈企画のタネ:アイデア〉どうすると発想が浮かぶか?

発明,発想
(画像=PIXTA)

POINT:
脳を発想しやすく仕向ける

企画の原石であるアイデアをどう発想するかの話をします。

アイデアと言っても降って湧いてくるわけではありませんし、頭が真っ白の状態から生まれてくるわけでもありません。

ではどう生まれてくるかというと、まず規定課題があって、その回答に関連する情報を脳が集め始めるという中で、アイデアは生まれてくることになります。

発想を刺激するワザ3例

脳が活発に発想を始めるためには、脳に適切な刺激を与えることです。刺激の与え方は大きく3つあります。

(1)オリエン書を何回も読む

•依頼を受けたという刺激自体で脳は活動を開始します。人間は人に何か解決ごとを頼まれるとそれに応えようとする存在です。

•私の経験から言うと、オリエン時やオリエン書を読んでいる時が、最も発想のスイッチが入る瞬間です。

•良いアイデアを出すために、脳は過去の記憶をたぐり寄せることから始めるわけですが、その際に浮かんだ発想は先にも言ったように、小さなことでも是非メモしておきましょう。

(2)自分勝手に情報収集する

•次に、課題回りで自分に知識や経験値などの事例がなければ、脳は「~についてもっと知りたい」「~を調べろ」という指令を送るようになります。そこで情報収集をし始めます。集まった情報がまた刺激となって、発想が拡大していきます。

•情報収集のコツは、自分の興味の範囲で自分勝手に集めていくことです。現代はまずは手軽にネットでググれるという強みがあります。ネットに情報が少ない場合は、識者に意見を聞く、話に出てきた現場に行ってみるなどのやり方もあります。

(3)仲間とブレストする

•さらに、仕事を共にする仲間内で課題の共有後、お互いに思いついたことを言い合い、それを刺激にしてアイデアを出していく方法が有力です。いわゆるブレーンストーミングです。

•ブレストはオリエン後、あまり間を置かずにすぐに実施するようにしましょう。人間は熱しやすく冷めやすいので、熱の冷めないうちにやるのが肝要です。

Checkit!
・アイデアが浮かぶ脳に仕向けるワザは、「オリエン書を何回も読む」「自分勝手に情報収集する」「仲間とブレストする」の3つ。

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(画像=『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』より)

〈企画のタネ:アイデア〉突出した発想は、実はオフの時

POINT:
浮かんだら逃さずメモしておこう

企画業務はオリエン時、デスクワーク、ブレストなど仕事としてのある意味ルーティンワークの中で考えるのが基本ですが、私の経験から言うと、実は仕事じゃない時、つまりオフタイムに企画のタネになるような今までにないアイデアが浮かぶことが多いです。

例えば、朝のシャワーの時間、散歩をしている時、通勤途中、ジムでランニングしている時、夜に一端起きて寝つけない時などなど。恐らく、仕事中はとにかく企画を考えねばならないという暗黙のプレッシャーがあるので、常識的な範囲で企画を発想しようとすることが多く、突飛なアイデアや気づきにくいアイデアが出てきづらいのだと思います。

ところがオフになると、何故か自然にインパクトのある企画が思い浮かぶことは少なくありません。

制約のある時間の合間で、考えるべき強制的なテーマがないので、脳のある種のタガが外れて、ゆるいけど自由な発想でのアイデアがポッと浮かんでくるのだと思います。

大事なのはアイデアが浮かんだらそれを逃さないことです。その場でメモしておきましょう。

Check it!:

  • 良いアイデアが浮かぶのはオフの時が多い
  • その時、逃さずメモしておくと何かの役に立つことがある

ここでは、博報堂のフィロソフィーでもある生活者発想をご紹介します。

生活者発想といっても特殊なメソッドがあるわけではなく、言葉そのものを会社の哲学にしています。定義は、「生活者は消費者より大きな概念」ということ。彼ら彼女らの生活全般を眺めて、そこから発想しようというものです。

「何だ、当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、あなたがどこかの会社に所属しているとすると、案外その会社のスコープでしか消費者を見ていないものです。特に、B to B企業などは、その先にある消費者の意識や行動を実はあまり捉えていないことが多いのです。

そこで、博報堂では、生活者の側に立って、彼ら彼女らの意識、行動を360°ホリスティック(包括的)に観察・分析し、それを得意先の商品サービスの販促や新商品、新事業開発に活かそうという哲学を設けたのです。

私にとって、この主義はかなり重宝しました。何故なら、ほぼ全ての企画の原点は“生活者”の感覚から発想されるのがベターだからです。

大事なのは自分の身の回りを見つめること

生活者発想とは、自分の身の回りを見つめることといっても過言ではないでしょう。これは難しいことではなく、皆さんの企画プラニングへも十分適用可能なコンセプトです。

つまり、普段何気なく感じている日常生活での便不便、「こうだったらいいな」という自分の妄想を張り巡らせて、いざ直面している企画に活かせるかどうかを考えればいいのです。

例えば、後章で[街の本屋さんの再生]という事例が出てきますが、このテーマなどは、あなたが普段、地元の本屋さんをどう見ているかという視点が活きてきます。「こうしたらもっといいのに」と思っていることをあぶり出し、企画に適用できるか考えてみればいいのです。

Check it!:
・「生活者発想」とは、別に難しいことではなく、自分の身の回りを見つめること。

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(画像=『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』より)
トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座
須藤亮(すどう・りょう)
マーケティングプランナー/株式会社TOM代表取締役社長。1980年早稲田大学法学部卒。博報堂で、35年間マーケティング職、ストラテジックプラニング職として、トヨタ自動車、花王、KFC、JT、味の素、全日空、マクドナルド、アステラス製薬などのクライアント企業を担当。途中、日本リーバ〈現ユニリーバ・ジャパン〉にアイスクリームのブランドマネージャーとして2年間出向。2001年よりタイのバンコクを皮切りに海外赴任生活に入る。タイのバンコクに博報堂アジア・ブランディング&ソリューション事務所を立ち上げ、その後、香港、広州、北京と渡り歩いた。博報堂での後半15年はトヨタ自動車をクライアントとし、電通との一騎打ちに奔走。博報堂のトッププレゼンターとして活躍。2013年帰国。2015年に博報堂を退社し、(株)TOM(トップ・オブ・マインド)を設立。(株)本TUBE取締役。さまざまな企業の実践マーケティング、ブランディング、コミュニケーション戦略プラニングなどのコンサルティングや地方創生事業などに従事。著書に『博報堂で学んだ負けないプレゼン』(ダイヤモンド社)、『スマホメモ 仕事と人生の質を上げるすごいメモ術』(CCCメディアハウス)がある。

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