2014年に経営破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所マウントゴックス(Mt.Gox)の債権者への補償を目的とした再生計画が、東京地方裁判所の認可を経て最終的に決定された。再生管財人である小林信明氏が16日、再生計画の認可が確定したことを発表した。

マウントゴックス
(画像=月刊暗号資産)

2021年2月15日付で再生管財人が東京地方裁判所に提出した再生計画案は、大多数となる83%の債権者から賛同を集め、10月20日付で可決。これを受けて、今回の認可決定が確定した。

今後、本再生計画に従い、確定再生債権を保有する債権者対して弁済を実施するという。弁済の具体的な時期、手続および金額等の詳細については、追って債権者に通知する予定としている。

マウントゴックスは2010年に設立された暗号資産取引所だ。当時は世界最大級の規模を誇り、2013年には世界の70%のビットコインを保有していた。

しかし、2011年のハッキングと2014年の流出事件により、取引所が破綻。2014年2月初旬、同取引所はデジタルウォレットに不審な動きがあったと主張し、出金を停止した。

このニュースを受けて、ビットコインの価格は20%以上急落。同社は、当時流通していたビットコインの6%以上に相当する85万BTC以上を「紛失」したことを公表した。

その後、20万BTCを見つけることができたものの、失われた65万BTCは不明なままで、市場に大きな影響を与えた。この65万BTCは執筆現在のレートにして約4兆4,200億円に相当する。なお、この事件の真相は明らかになっていない。

同事件で当時のCEOであるマルク・カルプレス氏は、横領とデータ改ざんの容疑で告発された。同氏は、最終的に記録の改ざんで有罪となり、執行猶予付きの判決を受けている。

同社は東京地方裁判所に破産を申請し、2014年4月に清算を命じられた。しかし、不正を訴える訴訟やビットコイン価格の乱高下による利害関係の不一致などで、論争が長引く。2018年から民事再生法の手続きに移行していた。(提供:月刊暗号資産