結果の概要:失業率は7%台前半へ
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11月3日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
【ユーロ圏19か国失業率(2021年8月、季節調整値)】
【株価・対ドル為替レートの動き】
・失業率は7.4%、市場予想1(7.4%)と同じで、前月(7.5%)から改善した(図表1)
・失業者は1207.9万人となり、前月(1233.4万人)から25.5万人減少した
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1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
結果の詳細:多くの国で失業率がさらに低下
ユーロ圏の9月の失業率は7.4%と前月の7.5%から低下した。また、前月までの改定値もほぼ変更がなく、ほぼコロナ禍前の水準まで回復している。
失業者数は9月の前月差で25.5万人減(8月改定値:▲15.8万人)と一段と減少し、4月以降の減少数(5-9月累計)は118.6万人となった。失業者数は、ほぼ2020年2月と同じ(1208.0万人)であり、直近で最も失業者が少なかった20年3月(1149.8万人)まであと58.1万人という水準となった(図表1・4)。
若年失業率も9月には16.0%と前月(16.3%)から改善した。また、若年失業率の改定値は8月(改定前16.4→改定後16.3%)、7月(17.7→17.6%)、6月(17.3→17.2%)とやや改善方向に改定された。若年失業者数は9月には230.7万人となり、直近の最低値である20年3月(224.1万人)まであと6.6万人に迫っている(図表2)。
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国別の9月のデータを見ると、失業率が悪化した国が19か国中2か国、改善が15か国、横ばいが2か国、若年失業率では悪化が6か国、改善が8か国、横ばいが5か国となった(図表5・6)。9月は特にギリシャの若年失業率が大きく改善した。
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最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアでは9月は就業者が増加し失業者と非労働力人口が減少、他方、ポルトガルでは就業者が減少し失業者と非労働力人口が増加した(図表7・8)。ただし、ポルトガルでも労働参加率がコロナ禍前の水準を上回っており、広義失業者(未活用労働、labour underutilisation)も統計でさかのぼれる2011年以来の最低水準となるなど、労働需要は強いと見られる。
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高山 武士(たかやま たけし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 准主任研究員
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