クレジットカード大手のJCBとブロックチェーン関連事業を手がけるKeychainは29日、NFC(近距離無線通信)を活用したオフライン決済ソリューションのシステム実装ならびに稼働検証を行う実証実験に成功したことを発表した。
5G普及やモノのインターネットであるIoT技術の進展により、今後モノとモノがヒトを介さず自動的に契約執行や決済を行うMachine to Machine(M2M)の未来が予想されている。
IoTが機械同士の情報をインターネットやクラウドに情報を集めるのに対し、M2Mは機械同士が接続することを意味する。こうしたM2Mが実現した未来では、ヒトの意志表示による契約行為や商行為ではなく、モノとモノが事前に決められたルールに従って契約行為・商行為をブロックチェーンやスマートコントラクトを用いて自動執行するようになると考えられている。
しかし、現時点において実現する上での課題は少なくない。そこでJCBとKeychainは、M2M領域におけるマイクロペイメント向け決済インフラに着目し、両者共同でソリューションの開発と実証実験を進めてきた。
今回はNFCを活用した新たなシステムの実証実験を実施。新システムは、外部の決済処理センターとの通信を必要とせず、デバイス間の相互認証処理やデバイスに近接した上位レイヤーのデバイス(ルーターやサーバーなど)での承認処理により決済を実現するというもの。
実際に利用する際は、消費者がスマートフォン、クレジットカード、スマートウォッチなどを店舗決済端末にかざし利用する非接触型決済と同様の手順となる。
今回はオフラインの環境や複数の通信手段など、いくつかのシナリオを検証し、稼働が確認できたという。
同実装で採用した「Keychain Core」は多数の表彰を受けているアプリケーション開発フレームワークだ。ブロックチェーン技術や分散台帳技術を一般的な開発チームでも実装できるような環境を提供し、自己主権的デジタルアイデンティティ、データセキュリティ、様々な端末や通信環境における合意コンセンサス・取引を実装できるという。
プレスリリースでは、新システムはオフラインであることから高速処理が可能となるため、将来的には処理件数の増加への対応や自動運転車や料金ゲートでの決済等、時間的余裕のない場面での活用も見込まれるとしている。(提供:月刊暗号資産)