DX取り組みのメリット
DXに取り組むことで得られる主なメリットは、以下の4つだ。
生産性の向上
デジタル化によって業務効率が向上することで生産性の改善が期待できる。作業時間の短縮の人件費削減、またヒューマンエラー減少により作業の正確性も向上する。
BCP(事業継続計画)の強化
業務効率の向上や企業資産となるデータ管理の分散化、多様性のある働き方の推進によって災害やテロ、システム障害など、不測の事態への備えとなる。
市場ニーズへの柔軟な対応
硬直化したビジネスモデルから柔軟性を持ち臨機応変に対応できる体制へと変化させられる可能性が広がる。
ビジネスモデルの変革による新たな市場開拓
最先端テクノロジーを受け入れる下地があれば商品・サービスへの開拓にも新たな視点を向けることができるようになる。分野を拡大しながらの市場開拓の可能性が広がるだろう。
DX取り組みへの課題
一方でDX取り組みについては、以下のような5つの課題もある。
本質的なDXに関する理解不足
上述したようにDXとは、単にIT技術を業務に取り入れるだけで終わるものではない。既存業務の一部をデジタルに換えても今後の戦略やビジョンが立てられないのでは、変革とは呼べないだろう。DXの本質的な部分を理解しておかないと、企業の生き残りをかけた戦略強化にはつながっていかない。
経営視点の欠如
企業のDXでは、恒常的な利益向上が重要だ。デジタル化に夢中になるあまり、損失が続くのでは本末転倒である。初期投資は必要だが「どの時点からDX効果による利益向上ができるのか」経営的な視野をもって進めていこう。
既存システムの肥大化・複雑化
既存システムがブラックボックス化してしまい、どこから手を付けてよいのか分からなくなっている可能性もある。最終的には、老朽化したシステムを一掃して最新技術に対応できるようにしなければDXが進行できない。外部の第三者的な視点を借りるなどしながら、レガシーシステムからの早期脱却を図る必要がある。
実施費用の不足
既存システムにかかる負担が大きいため、新たな実施に踏み切る余裕がない……そう考える企業もあるだろう。しかしそれではいつになっても変革は起こせない。時代から遅れることは、将来的に自社が淘汰されることにもつながってしまう。既存システムからクラウドシステムに乗り換えた場合の効果を試算し一歩踏み出す時期が到来している。
デジタル人材不足
DXを途中で挫折せずに推進するためには、現場の技術者のみならずデジタルを理解する幹部クラスの人材も必要となる。社内の人材育成の取り組みながら、外部からコンサルタント的な立場の人材を迎えるなど、あらゆる手段を使ってIT人材を確保していくよりほかはない。