東証一部上場に関するQ&A

最後に、ここまで解説しきれなかった東証一部上場に関する基礎知識をQ&A形式で紹介していこう。

Q1.上場にはどれくらいの時間がかかる?

東証一部への上場を目指す場合、一般的な準備期間は3~4年程度と言われている。再編されるプライム市場に関しても、東証一部と同じく細かい要件が定められているため、短くても数年単位の準備期間が必要になるだろう。

Q2.プライム市場(再編後)の上場要件は厳しい?

2022年の市場再編が実施されると、プライム市場(現東証一部)の要件は以下のように変更される。

東証一部上場とは?ほかの市場との違いやメリットに加えて、市場再編についても解説

株主数のように緩和される要件もあるが、特に経営成績や財政状況に関する要件はますます厳しくなる。また、実質要件(数値化されない基準)についてもコンセプトに則って変更されるため、東証一部より上場基準が下がる可能性は低い。

Q3.東証一部上場にデメリットはある?

前述ではメリットを紹介したが、東証一部上場には次のようなデメリットもある。

・社会的な責任が増大する
・会社情報の開示が義務づけられる
・上場の維持コストがかかる
・上場準備が長引くと従業員に負担がかかる など

また、上場をすると投資家の動向に経営が左右されるため、不況などの影響で投資規模が小さくなると、経営面に大きなダメージが及ぶ可能性も考えられる。

Q4.上場を目指す場合の相談先は?

上場を目指す場合はさまざまな準備や知識が必要になるため、以下のような専門家に相談することも検討したい。

・コンサルティング会社
・日本取引所グループが運営するIPOセンター
・上場を専門とする弁護士、会計士、税理士 など

ただし、専門家によってサポートしてくれる範囲や得意分野などは異なるため、相談先を選ぶ際にも入念な情報収集が必要になる。

上場を目指すかどうかは状況次第で判断を

東証一部は多くの企業にとってステータスであり、上場をするだけでさまざまなメリットが発生する。ただし、2022年の再編後には市場の名称・要件が変更されるため、これまでとは状況が変わる可能性も考えられる。

最近では、資金調達の多様化によって上場自体の意味合いも変わりつつあるので、「上場を目指すかどうか?」はその時の状況を見て慎重に判断したい。

著:片山 雄平
1988年生まれのフリーライター兼編集者。2012年からフリーライターとして活動し、2015年には編集者として株式会社YOSCAに参画。金融やビジネス、資産運用系のジャンルを中心に、5,000本以上の執筆・編集経験を持つ。他にも中小企業への取材や他ライターのディレクション等、様々な形でコンテンツ制作に携わっている。
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