東証一部に上場するメリットとは?
国内にはさまざまな上場市場があるが、その中でも東証一部上場にはどのようなメリットがあるのだろうか。ここからは、経営者が特に押さえておきたい3つのメリットを解説する。
1.知名度や信用性が飛躍的にアップする
東証一部上場の最も大きなメリットは、社会的な知名度や信用性がアップすることだ。ほかの市場と比べると東証一部の上場要件は厳しいため、審査を通過するだけで多方面から高い評価を受けられる。
また、知名度や信用性がアップすると、顧客や取引先から信用されやすくなったり、金融機関から融資を受けやすくなったりなど、さらにほかのメリットも生じてくる。
2.会社のブランド力が向上する
東証一部の上場企業には、誰もが知る有名な企業がずらりと並んでいる。そのため、東証一部に名を連ねるだけで会社のブランド力は向上し、商品やサービスのブランディングも容易になる。
また、ブランド力の向上によって採用活動のハードルが下がる点も、東証一部に上場する大きなメリットだろう。就活生や転職者にとって「東証一部」はステータスになるため、上場を果たせば自然と優秀な人材が集まりやすくなる。
3.社内組織が強化される
東証一部の上場要件のなかには、コーポレート・ガバナンスや内部管理体制に関するものが含まれている。そのため、東証一部上場に向けて準備を進めれば、必然的に社内組織が強化されていく。
このときに強化した社内組織は、規模拡大や新市場進出などあらゆるビジネスシーンで役に立つ。また、最近では企業のガバナンスに着目する投資家が増えてきたため、社内組織が強化されれば投資対象としての魅力も増すことになる。
2022年に「東証一部」はなくなる?市場再編について解説
実は東証一部をはじめとする東京証券取引所内の市場名称は、2022年の再編を機に使用されなくなることが決定している。
この市場再編が行われる主な要因は、世界の株式市場と比べて取引量が伸び悩んでいる点にある。例えば、アメリカの上場市場である「NYSE」や「NASDAQ」と比較すると、東京証券取引所の時価総額は3分の1程度に過ぎない(※2020年時点)。
そこで東京証券取引所は世界的な存在感を強めるために、市場区分を以下のように再編することを決定した。
上記の通り、これまでの東証一部の役割は「プライム市場」が担うことになる。ただし、上場基準の見直しもすでに決定しているため、プライム市場への上場を目指す場合は、改めて形式要件・実質要件を確認しなければならない。